dSPACE Japan User Conference 2021 Digital開催

自動運転、E-Mobility、5Gなど
技術開発の最前線が一堂に
トヨタ自動車や米マイクロソフトが基調講演

トヨタ自動車
先進技術開発カンパニー
チーフプロフェッショナルエンジニア
曽我雅之氏 イベント直前特別インタビュー

dSPACE Japanは2021年9月15日(水) ー16日(木)にJapan User Conference(JUC)を2年ぶりに開催する。新型コロナウイルス感染症対策のため初のオンライン開催となる今回は、「Accelerate to Win」をテーマに、トヨタ自動車、米マイクロソフトが基調講演をするほか、J-QuAD DYNAMICSやトヨタテクニカルディベロップメント、アイシン、日立Astemo、ホンダ、いすゞ自動車といった日本を代表する自動車関連企業が事例を紹介。さらに、dSPACEのパートナー企業によるプレゼンテーションなどが行われる。このインタビューでは、基調講演に登壇するトヨタ自動車先進技術開発カンパニーチーフプロフェッショナルエンジニアの曽我雅之氏にトヨタにおける技術開発の考え方や、今回の講演への思いを語ってもらった。(聞き手:dSPACE Japan 営業部 部長 徐理源氏)

新開発の運転支援システムは
トヨタ生産方式に通じる

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トヨタ自動車
先進技術開発カンパニー
チーフプロフェッショナルエンジニア
曽我 雅之

初めに、曽我さんのご経歴をご紹介ください

曽我私は1983年にトヨタ自動車に入社し、最初は実験部に配属され、その後1990年に設計部に移りました。ちょうどABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の標準装備化が始まった頃で、1995年にはVSC(横滑り防止装置)に発展し、その後の自動ブレーキにつながるシャシー系の制御や予防安全技術の開発に携わりました。

 印象に残っているのは、1997年に発売した初代「プリウス」以降に搭載されている回生協調ブレーキシステムの開発です。回生ブレーキは、減速時にモーターで運動エネルギーを回収する機構ですが、油圧ブレーキと協調させる必要があり、電子制御が必須となります。回生協調ブレーキシステムは今なおハイブリッド車だけでなく、電気自動車や燃料電池車などにも共通して必要な技術であり、初期段階から開発に携われてよかったと思います。

その後シャシー開発から現在は自動運転技術の開発に携わっておられます。100年に一度の改革期と言われる今、どのような思いで開発に取り組んでおられますか。

曽我2014年頃からは自動運転技術を開発しようと率先してプロジェクトを立ち上げました。その最新の成果が、2021年4月に「レクサス LS」と燃料電池車の「MIRAI」に搭載して実用化した先進運転支援システム「Teammate Advanced Drive」です。もともとこのシステムはその名の通り人とクルマが協調しあう「Teammate」というコンセプトで開発を進めてきたのですが、その思想はトヨタ生産方式が理念とする「自働化」に通じるものがあります。

 自働化は、機械が誤動作しても不良品を作り続けることがないように、自動的に止めるようにすることを指しますが、その思想は「人間を機械の番人にしない」ということです。もしこういう仕組みがなければ、人間が機械のそばで不良品が生じないように見張っている必要があります。これはとても非生産的・非人間的な行為であり、人の能力を最大限に生かすというトヨタ生産方式の考え方と相容れません。

 それと同様に、Teammate Advanced Driveの開発に当たっても、人と機械の協調はどうあるべきかを考え、機械の得意な部分は機械に任せ、人間はより高度な判断を必要とする部分を担当するように配慮しました。人と機械がチームメイトとして協力することで、より高度で安全な交通社会の実現につなげていきたいという願いを込めています。