新社長トップインタビュー
SDVの定義と
最新動向
AIの安全性は
どのように検証すべきか
次世代のクルマとして、自動車業界全体がSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の開発に取り組んでいる。しかしその開発には大規模で複雑なソフトウエア開発が伴う。車載ソフトウエア開発ツール大手であるdSPACEの日本法人代表取締役社長に2025年1月に就任した宇野重雄氏に、最新の動向について聞いた。
新社長トップインタビュー
次世代のクルマとして、自動車業界全体がSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の開発に取り組んでいる。しかしその開発には大規模で複雑なソフトウエア開発が伴う。車載ソフトウエア開発ツール大手であるdSPACEの日本法人代表取締役社長に2025年1月に就任した宇野重雄氏に、最新の動向について聞いた。
—人によって「SDVとは何か」の捉え方は異なるようです。dSPACEの考えるSDV像とはどのようなものなのでしょうか。
宇野端的に言えば、「市場に出てから、ユーザーと共に成長していくクルマ」だと考えます。その実現には、クルマの内外に様々な仕組みが必要です。
SDVでは、ユーザーの手元に渡ってからも、無線通信を介したソフトウエア更新(OTA:Over-The-Air)で機能を最新の状態に保つことや、新たなソフトウエアを追加することが可能になります。さらには、高度な自動運転やAIエージェントなど、これまでのクルマにはなかった機能が実装できます。
一方で、ソフトウエア更新がある以上、サイバーセキュリティーの確保や、更新するソフトウエアの品質確認が非常に重要になります。
dSPACE Japan
代表取締役社長
宇野 重雄氏
—クルマのアーキテクチャーが大きく変わる点でも注目されています。
宇野現在のクルマには数十のECU(電子制御ユニット)というハードウエアが搭載されていますが、SDVでは「ゾーンECU」「ドメインECU」などと呼ばれる3〜5個程度の高性能のECUに機能が統合されます。
この高性能なECU上でソフトウエアを動作させるためには、OS(基本ソフトウエア)やミドルウエアも必要になりますし、搭載するアプリケーションがどのメーカーのクルマでも動作するような標準化も必要です。
また、ソフトウエアに焦点が合いがちですが、将来的には「ハードウエアをどのようにアップデートしていくか」も課題になるでしょう。現在のクルマは10年以上使われるのが当たり前ですが、ECUを10年も15年も使えるように能力に余裕を持たせようとすれば、価格も高くなってしまいます。このため、ハードウエアを入れ替えられるような仕組みも将来的には必要になるかもしれません。
—他にも、ソフトウエアの更新があることで招く変化はありますか。
宇野例えば、クルマの「型式認証制度」においても、大きく対応が変化してきています。市場に出てからもソフトウエアが更新されるのであれば、当然ながらソフトウエアを更新する都度、型式認証を取らなければなりません。
そこで現在、制度化が進んでいるのが「デジタルホモロゲーション(デジタル認証)」です。これは実車ではなく、仮想環境によってソフトウエアをテストすることで、型式認証での検証範囲を広げると同時に、検証負荷を軽減することを目的としています。既に欧州や韓国では導入の検討が始まっており、いずれは日本でも導入される可能性が高く、当社もこれに応えるソリューションを提供しています。