自家用車は当面レベル2、開発の効率化が課題に

CES 2020で見えてきた方向性
自動運転はいつ実現するのか

Sensor Realistic Simulation

実写に近い高解像度の走行画像データを生成

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 自動運転の十分な安全性を検証するためには、100億km以上という膨大な試験走行距離が必要だ。しかし、これを現実の世界で実現することが容易でないのはもちろん、シミュレーションの世界でもこれだけの仮想試験走行を実現するための画像データを実写データから作成するのは簡単ではない。dSPACEは現在、この実写データからシミュレーション可能な3Dアニメーション映像に自動変換する技術に取り組んでいる。さらに、路面の凹凸や他の車両のランプの路面への反射、雨天や降雪など、様々は条件で実写画像データに近い高い解像度の走行画像データを生成できるツール「Sensor Realistic Simulation」を開発中だ。

 先に紹介したAUTERAで収集した画像データを、Data Enrichmentを活用して処理し、テストシナリオを自動作成。このシナリオに基づいてSensor Realistic Simulationにより高解像度のシミュレーション画像を生成することを想定する。ここで生成した画像を直接画像処理半導体に入力したり、あるいはスクリーンやディスプレイに画像を投影してカメラで撮影したりすることで、カメラ込みでシステムの物体認識の性能を評価することができる。このときに特長的なのがテストシナリオの情報(車両の速度や対向車などの物標)がパラメーター化されており、容易に条件を変えて繰り返しテストを実行できることだ。

DARTS

ミリ波レーダーの性能試験を省スペースで可能に

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 ミリ波レーダーは数百m先にある物体を検知することができるセンサーだ。これまではレーダーの性能を評価するのに、離れた場所に物体を置いて試験する必要があり、どうしても評価のための設備は大掛かりにならざるを得なかった。

 これに対してdSPACEは、レーダーの試験装置を小型化する高度な技術を持つmiro・sysおよびITS(Innovative Technical Systems)とパートナーシップ契約を締結し、両社の高度なレーダー試験システムを独占販売する権利を取得した。両社のレーダー試験システム「DARTS(dSPACE Automotive Radar Test Systems)」は、レーダーから発射されたミリ波信号に対して、検知したい物体との距離や物体の相対速度を模擬した反射波を生成しレーダーに送信することができる。

 レーダーから数十cm離れた受信・送信アンテナを使って、最長1000m離れた物体からの反射波を模擬でき、評価設備の省スペース化が図れるだけでなく、高速で接近する物体の検知など、実車試験では危険が伴う条件でも評価できる。さらに天候などに左右されることがないため試験の再現性が高いのも特長。1台の試験装置で同時に4つのターゲットから戻ってくる反射波を模擬することも可能だ。

自動運転システム評価用の多様なシナリオ作成を
トータルで支援するソリューションを提供

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 ここまで紹介してきたように、安全性・信頼性の高い自動運転システムの開発には、実際の公道では到底評価しきれない膨大な試験が必要であり、そのためにはシミュレーション技術の活用が不可欠だ。そしてシミュレーション技術を活用した多様な試験を実施するためには、あらゆる条件を網羅した大量のテストシナリオを作成することが必要だ。

 dSPACEは、こうした膨大なシナリオを効率的に作成するためのソリューションをトータルで提供できる体制をいち早く整備。これまで強みとしてきたMBDに加え、実際に収集したデータを活用し、シミュレーションで評価を行う「データドリブン開発」を展開することで、開発の効率化を強く迫られている自動車メーカーや部品メーカーの要求に応えていく。