世界の開発現場を知るdSPACEに聞く

パンデミックがもたらした
自動車産業の変化とは

日本における市場の変化

次に、dSPACE Japanの宮野社長に伺います。先ほどゲッツェラーCEOが語られた「New dSPACE」について日本法人としてのお考えをお聞かせください。

宮野日本としても同様な市場要求があり、ソフトウエアツール関連を強化するため専門のエンジニアの増員や社内教育にも力を入れています。さらにコンサルティングや製品単体売りからソリューション全体での提案ができるようdSPACE Japanとしてもローカルパートナーとも組み、幅広いソリューションを提供できるように進めています。また、より効率的なソフトウエア開発環境として、日本のお客様に合ったクラウド対応を進めています。

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dSPACE Japan
代表取締役社長
宮野 隆

海外のユーザーと日本のユーザーで、CASEへの取り組みに違いはありますか。

宮野日本は海外に比べると早くからHEV/EVなどの電動化に取り組んでおり、これからも世界をリードするでしょう。また、自動運転の分野では、超高齢化社会での移動手段として、MaaSと組み合わせたソリューションに期待が高まっています。車両に対しこれまで以上に安全性とセキュリティが要求される中、市場に投入するためのテストをシミュレーションでも実車でも行えるよう、dSPACEでは開発環境をいち早く準備し、日本のお客様に提供していきたいと考えています。

日本のユーザーの関心が高いソリューションにはどのようなものがありますか。

宮野自動運転において重要な役割を果たすのが外界を認識する複数種類のセンサー群です。既に高機能なADASを実現するためにはカメラやレーダーが搭載されていますが、今後はLiDAR等も搭載され、各種センサーが正確に外界を認識するか、どのような異常検出をするかをシミュレーションで再現する必要があります。したがって、最先端のセンサーを車両に搭載する日本のOEMにとってはセンサーシミュレーションへの関心が高く、またセンサーの挙動を現実に近いシーンでシミュレーションする必要があります。先ほどゲッツェラーCEOも触れていましたが、自動運転のシナリオを生成するソリューションへの関心が高いのは各国共通のようです。

最後に、読者へ向けてメッセージをお願いいたします。

宮野既に2015年の時点で、自動車の開発工数におけるソフトウエアが占める比率は5割と言われていました。現在ではもっと増えているでしょう。最近では、自動車を販売した後でソフトウエアをアップデートし、ADASの性能を向上させるといった、従来では考えられなかったことも起きています。もちろん、ミリ波レーダーやカメラなどセンサーの性能も大事ですが、ソフトウエアのアルゴリズムが、ADASの性能を左右するようになってきているのです。またパワートレーンの電動化が進み、モーターの制御ソフトウエアの評価では、従来のエンジン制御とは比べものにならない高速の処理が必要になっています。

 そして、今後さらなる技術的進化を加速する上では、業界全体で協調領域を設けることが必要だと考えています。ユーザーメリットやリソースを考えれば、すべての領域で各社が縦割りで開発競争している場合ではないはずです。当社としては、協調領域の部分で協力できないか、これまでも提案してまいりました。今後も技術の進化を先取りしながら、中立的な立場で日本の自動車産業の技術革新に貢献したいと思っています。