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dentsu Japan

分人AI・未来望遠鏡が支援する「意思決定」暗黙知の価値化と
日本型産業エコシステムの再興

AIは、経営の意思決定をどう変えていくのか。その1つの答えとして、dentsu Japan(国内電通グループ)の1社である電通総研は「未来望遠鏡」という独自のAIプラットフォームを開発し、プロトタイプを提供している。意思決定の基準となる「創業者の判断軸」や、財務・技術・人事といった「専門家の知見」、現場に生かせる「熟練者の暗黙知」などをAIでモデル化した。

パネルディスカッション-1-1

AIは産業革命、問われる経営トップの覚悟
人口減少社会もポジティブに捉える契機になる

パネルディスカッション-1-2

AI活用による同質化、回避には「自社らしさ」へのこだわり
システムは作って終わりではない、そこからがスタート

パネルディスカッション-2-1

楽しい買い物がしたいわけで、AIを使いたいのではない
人とAIの役割分担で新しい顧客体験へ

パネルディスカッション-2-2

日本の資産「製造業の暗黙知」を形式知に変える
他社データも使える「秘密計算」活用に官民が関心

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AI実験から経営の武器へ
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AIトランスフォーメーション

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クラウドを使わないAIワークステーション
機密データを守りながら、
AIを現場で使う

伊藤忠テクノソリューションズ

AIチャット全社展開からAIを
業務フローに組み込む段階に
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業務変革する未来図

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組織に眠る紙とPDFの山を
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AIが変える広告の定石
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デジタル運用の勝敗を分ける

デロイト トーマツ

AI活用のゴールはビジネスモデルの変革
企業価値を最大化する
3つの進化フェーズ

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解決から関係構築へ
AIエージェント時代に問われる
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dentsu Japan

分人AI・未来望遠鏡が支援する「意思決定」
暗黙知の価値化と
日本型産業エコシステムの再興

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どう育てるか

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次世代の意思決定

熟練者のノウハウをAI化し
無形資産を収益フローに変換

dentsu Japan DXプレジデント
電通総研 常務執行役員
妹尾 真氏

AIは、企業の経営にどのような価値をもたらしていくのか。30年以上にわたり製造業のDXを支援してきた、dentsu Japan DXプレジデント/電通総研 常務執行役員の妹尾氏が、経営の意思決定のあり方や、日本の産業エコシステム全体をAIで変えていく、力強い構想について語った。

dentsu Japan DXプレジデント
電通総研 常務執行役員
妹尾 真氏

ある総合化学メーカーは、AIを「無形資産の財務化装置」と位置付ける。「数万回に及ぶ実験のデータ」や「顧客との長年の信頼関係」はお金では買えない無形資産であり、参入障壁だ。この「知のストック」をAIで「収益のフロー」に変換しようとしている。別の総合空調メーカーは、AIを「現場感覚の装置」として活用している。製造現場の熟練工が持つ暗黙知とAIを組み合わせ、ベテランにしか分からなかった五感をデジタルで再現し、「止まらない工場」を実現しようとしている。

共通するキーワードは「暗黙知の実装」だ。AIは人の代替ではなく、企業の無形資産や熟練者の暗黙知を可視化し、ビジネスに実装する装置である。

一方、日本はグローバル市場において「技術で勝ち、構造で負ける」という課題に直面してきた。個社ごとの最適化が限界に達し、今後は業界横断、さらには国家レベルでデータ主権を備えたエコシステムの構築が求められている。

「それには、産業知の新たなプラットフォームが必要です」と妹尾氏は述べる。

製品やテクノロジーといった競争領域では各社が切磋琢磨しつつも、日本全体の最適化を目指すエコシステムの構築については協調していく必要がある。「企業の枠を超えたデータ連携により、『分断された知』から『All Japanの共有資産』へ進化させる必要があります」(妹尾氏)

創業者の「判断軸」をAI化
経営の壁打ち相手として活用

こうしたニーズに対応し、電通総研は「未来望遠鏡」という独自のAIプラットフォームを開発している。これは「未来を当てる装置」ではなく、「未来を見通す装置」だ。「社会の潮流」を企業独自の「価値観」と「判断軸」でフィルタリングし、そこから「自社にとっての意味」を発見する装置として機能する。 

「『社会の潮流』『創業者の哲学・判断基準』『専門家の知見(財務・技術・人事など)』をモデル化し、レンズのように重ね合わせることで、一見、無意味に思えるデータから、意味のある『像』を取り出します」(妹尾氏)

「未来望遠鏡」のコンセプト。「未来を当てる」のではなく、「未来を見通す」装置と位置付けている

例えば、その企業のアイデンティティーに多大な影響を与えてきた創業者の哲学や判断基準、そして長年にわたり企業が大事にしてきた価値観をAIに学習させ、「創業者分人AI」を作る。「分人」とは、「ペルソナ」のことだ。創業者の哲学や価値観をAIでモデル化し、判断軸として再現する。経営者は「創業者分人AI」を壁打ち相手として、その企業らしさや特徴を勘案した経営判断を可能にする。

一方、専門家の知見を学習させたAIを「専門分人AI」と呼んでいる。「財務分人」「技術分人」「人事分人」など、異なる専門性を備えた分人AIで構築し、経営者はこれらの「専門分人AI」と対話しながら様々なリスクや可能性を検討できる。

「同じファクトやデータを基に、分人AI同士で議論させることもできます。これにより、単一の解答を引き出すのではなく、企業が何を良しとしてきたのかという価値観の交渉過程を可視化します。また、日本の産業界が挑むべき課題や目指すべき方向性を見出すことも可能になります」と妹尾氏は説明した。

違う専門性を持つ分人AI同士を議論させたり、壁打ち相手としながら、経営判断の死角をつぶしていく。未来望遠鏡は「思考拡張装置」として機能する。

創業者の判断軸や、財務・技術・人事などの専門家の視点をAI化し、必要に応じて切り換えながら自社に必要な「像」を得る

AIを生かす3つの論点
意思決定に欠かせない装置へ

「未来望遠鏡を日本の産業全体のために活用することを考えた場合、3つの論点があります」(妹尾氏)

1つ目は、「個のDNA」と「全体の標準化」のバランスだ。「All Japan」という視座に立った時、個社ごとに競うべき領域と、協調すべき領域の境界線を、どこに引くかが課題となる。

2つ目は、企業の枠を超えて活用される分人AIだ。近い将来、各社の分人AIがネットワーク上で相互に対話し、人が行ってきた調整や交渉を支援するようになる。人の最終判断を支え、意思決定プロセスを大幅に効率化する。

3つ目は、直感をリスクデータに変換することだ。日本の弱点とされる「意思決定の遅さ」をどう克服するか。経営者の直感を、未来望遠鏡がリスクデータとして可視化する。

データ量が爆発的に増える中で、膨大なデータを素早く分析し、経営の意思決定に生かすためには、AIの導入が欠かせない。同時にAIは、ビジネスパーソンの思考を拡張するパートナーにもなっていく。多様な視点と専門性を提供し、リスクを可視化して、思考の死角を減らしてくれる。

講演後のQ&Aセッションでは、日経BP 執行役員の森重和春が「熟練者の感覚や直感をどうデータ化し、AIに学習させるのか」と質問した。妹尾氏は「暗黙知をデータ化し、再現性のあるAIツールにしていくには、地道な努力が欠かせない」と述べた。

「未来望遠鏡に興味のある方は、ぜひご活用ください」(妹尾氏)

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