AI搭載の自動収穫・運搬ロボットを労働力確保の切り札に!

JA鹿追町や立命館大学が参画、共同研究を進めるスマート農業

大規模な畑作地帯である北海道・十勝地方。帯広から車で約1時間、大雪山系南麓にある鹿追町は加工・業務用キャベツの作付けを拡大しているが、深刻な労働力不足が大きな課題となっている。省力化によって労働力不足を解決し、新たな栽培体系の確立を目指して、立命館大学やJA鹿追町、農研機構などが連携し、露地野菜の自動化・ロボット化に向けた研究開発が進んでいる。鹿追町で開催された実演公開で、AIを活用したキャベツの自動収穫とコンテナの自動運搬・積載、タマネギの自動収穫とコンテナへの自動伴走積載などが実施された。

 次々にキャベツを引き抜きながらゆっくり進む自動収穫機。運転席は無人で、走る方向や引き抜く高さは自動制御されている。収穫したキャベツでコンテナがいっぱいになると、無人の自動運搬車がするすると収穫機に近づいてきてドッキング。キャベツの入ったコンテナは自動運搬車へと積み替えられた。

 「AIを搭載したロボットによる露地野菜の収穫・運搬」の実証実験が、9月18日~19日の2日間、北海道河東郡鹿追町で実演公開された。これは、立命館大学や農研機構、JA鹿追町、農器具メーカーなどが連携して取り組んでいる共同研究プロジェクト(農研機構「革新的技術開発・緊急展開事業」のうち人工知能未来創造プロジェクト)。

 この日の実演会では、キャベツの自動収穫の様子をはじめ、タマネギの自動収穫とトラクターの自動伴走、自動飛行ドローンによる農薬散布、自動運転フォークリフトによる荷物の積み込み作業などのデモンストレーションが行われた。

実用化を前倒し 残された時間は多くない

立命館大学理工学部の深尾隆則教授(写真:箕浦伸雄)

 農業は担い手の高齢化が進み、労働力不足が深刻な問題になっている。プロジェクトの代表を務める立命館大学の深尾隆則教授は、「負担の大きい収穫から出荷までの作業を自動化・ロボット化することで労働力不足を解消し、農家の所得の大幅拡大を実現したい」と狙いを話す。

 当初は目標達成の目途として「2023年」を掲げていたが、現在は、一部分でもいいから前倒しで実用化することを目指している。というのは、労働力不足の事態が当初想定されていたよりもずっと深刻で、農業の担い手が想定外の速さで減少しているからだ。

 「私たちに残された時間は多くない。一刻も早く手を打たないと、生産量が減り、これまでのような価格で野菜が食べられなくなってしまう可能性もある」と深尾教授は力を込める。