AI搭載の自動収穫・運搬ロボットを労働力確保の切り札に!

JA鹿追町や立命館大学が参画、共同研究を進めるスマート農業

労働力不足と規模拡大が同時進行

 この実証実験の舞台となっている鹿追町は、帯広市から北西に約30kmの大雪山系の麓にある人口約5500人の小さな町である。耕地面積は山手線内側の約2倍にあたる1万1635㏊と広大。畑作農家1戸あたりの耕地面積が48haという非常に大規模な農業が行われている。

 農家1戸当たりの所得は道内のほかのエリアと比べて高い方だが、労働力不足は、人口が少ないだけに都会よりもずっと深刻。とくに多くの人手が必要になる収穫時期の労働力確保は大きな課題で、派遣や学生アルバイトなど安定的に確保するのが難しい労働力に任せざるを得ない状況が続いているという。

 今回のプロジェクトの共同研究機関のひとつであるJA鹿追町の今田伸二審議役は、「労働力が十分に確保できないのに、農家1戸あたりの耕地面積の拡大が進んでいる。少ない人数でも農産物を生産できるように、作業の大幅な省力化を進めることが必要だ」と指摘する。

収穫機を動かす人が足りない

 鹿追町でキャベツの生産が本格化したのは、JA鹿追町がキャベツの生産者組織をつくった1991年に遡る。その後、JAは予冷施設や育苗センターを整備して生産を後押ししてきた。さらに、2011年からは農機メーカーと共同でキャベツ収穫機の開発に着手。この収穫機6台が本格稼働を開始した2013年には、キャベツの生産量も栽培面積も急激な伸びを示した。ところが翌2014年で栽培面積の伸びはストップ、以降増えていない。一体何が起こったのか。

 その理由を今田氏はこう説明する。

JA鹿追町の今田伸二審議役(写真:箕浦伸雄)

 「とにかく人手が足りない。収穫機1台を動かすのにオペレーター1人、収穫機の後方で作業をする人が4人、搬出を担当する人が1人、最低でも6人必要。これを6台動かすためには単純計算で36人確保しなくてはならないが、現実にはこれができず、満足に稼働できなくなってしまった」

 こうしたなかで耕地面積を拡大し、生産量を増やすにはどうしたらいいのか。収穫機をもう1台増やしたところで、収穫作業に従事する労働力を確保できないのであれば、耕地面積の拡大は見込めない。生産量を増やすためには、収穫機自体をもっと少人数で効率的に動かせるものにしなくてはならないのではないか――。

 今田氏は、そうした問題意識から様々な可能性を模索するなかで、このプロジェクトと出合い共同研究に参画することになったのである。