AI搭載の自動収穫・運搬ロボットを労働力確保の切り札に!

JA鹿追町や立命館大学が参画、共同研究を進めるスマート農業

6人でやっていた収穫作業を2人で

 キャベツの生産において、最も時間のかかるのは収穫作業だ。「収穫機を使ったとしても、全労働時間の半分以上を収穫作業が占めることになる」(今田氏)。

 自動収穫機はこの負担を大幅に削減するものとして期待されている。なぜなら「自動収穫機を使えば、これまで6人1組でやっていた収穫作業が2人でできるようになる見込み」(今田氏)であるからだ。

 これは今まで収穫時期に集中しがちだった労働時間が平準化されることを意味する。「自動化が進めば、アルバイトや派遣の力を借りずに収穫作業を行えることになる。労働力に困らなくなれば、耕地面積の拡大や所得の向上につながるはず」と深尾教授は見ている。

 プロジェクトのゴールは、当初2023年までに農家の所得の大幅拡大を達成することだったが、前述したように担い手の減少が猶予を許さぬ状況となり「2023年まで待てない」との声が上がっている。

 今田氏も「少しでも早い時期に部分的にでも現場に普及させてほしい」と話す。深尾教授は、「まずは収穫作業だけにしぼり、完全自動化でなくてもいいからある程度の自動化を進めるところからやっていく」と説明する。「離農が進み、担い手がいなくなってからでは難しい。そうなる前に、できるところから実用化していくことが大切だ」

深尾教授は、自動収穫機は、熟練したオペレーターが操作した現状の収穫作業とほぼ同レベルに到達したと言う(写真:箕浦伸雄)

 キャベツ自動収穫機・自動運搬車の導入コストは、約1900万円。維持管理コストは年間約10~30万円。「鹿追町のような収穫に2~3カ月かかる大規模圃場なら、収穫作業にかかる人件費の減を見合いに3、4年で回収できる計算だ」(深尾教授)

農業に就きたい人を増やす

 現在、JA鹿追町では、収穫機6台のうち3台は、個人収穫ができない人のためにJAが委託収穫を受けて収穫するために使用し、3台は個人に貸し出している。

 自動収穫機が導入されたら、収穫はどのような形になるのか。

 「基本的にJAが機械を一括購入して活用する形になる。従来のような委託収穫や個人・地域への貸し出しは行いつつ、『共同圃場』を作ることを考えている。そこでは収穫シーズン中は毎日収獲が行われるため、収穫適期の見逃しがなくなり、防除の効率化やドリフトの軽減、コストの低減にもつながり、安定収穫が見込めるはずだ」(今田氏)

立命館大学と豊田自動織機が開発する自動フォークリフト。レーザーセンサーで障害物などを把握する。フォークリフトはコンテナに貼られた画像をもとに持ち上げ、トラックの荷台へ積み込んだ(写真:箕浦伸雄)

 深尾教授は、「自動収穫機を導入後、必要になってくるのは農業に就きたい人を増やすこと」と指摘する。「農業をやりたい人がいなければ、いくら自動化・ロボット化を進めても、就農者を増やすことにはつながらない。新しい就農者が入ってきやすくするための栽培支援の仕組みなり、システムなり、ロボットなりを作っていくことが、次に我々がやるべきことなのではないか」(深尾教授)