進む「農福連携」 農業の担い手不足を解決し、障がい者の働く場所を確保

ユニバーサル農業への取り組みなどが評価され、第48回日本農業賞 個別経営の部大賞を受賞した(写真:廣瀬貴礼)

 「今の時代、変化に対応できず変われない企業は衰退しています。僕らは、障がいを持った子たちを受け入れ続けることで、変わり続ける選択をしました。変わり続ける習慣を手に入れられたことで、より強い農業へと変わってこられた、それが一番大きかった気がします」

 障がい者が働ける農業に変わることができれば、日本の農業はもっと発展するのではないか、と鈴木氏は力を込める。

 「担い手が不足しているなかで、障がい者だけでなく多様な人を受け入れていくことがこれからの時代は大切な視点だと思います。僕の理想は高齢者も受け入れて90歳まで働ける農園をつくること。男女比が5対5、障がいを持った人と健常者の比率が4対6、そして、年齢構成は10代から90代までという100人くらいの会社をつくれたらいいなあと思います」

農福連携プラスαの連携へ

 前出の濱田氏も、「農福連携の『福』の対象者は障害者だけにとどまらず、実はもっと広い」と指摘する。

 現在障がい者は、936.7万人、要介護認定の高齢者は約650万人だ。これを単純に合計すると人口の1割を超える約1500万人が、生きるうえで何らかの障がいを持っている人ということになる。

(写真:市川史樹)

 そして、これらの人たちを福祉サービスを必要としている「コストの対象」と見るのが今の社会だ、と濱田氏は指摘する。重度な障がいを持つ方は難しいかもしれないが、その大半は『農福連携』の考え方のなかでは、社会に対して何らかの価値を生み出してくれる人たちだと言うのだ。

「この人たちが社会の中で役割を果たせる機会をつくらなくてはいけない。サービスは受けているけれども、社会に対して役割も果たしている存在であると、そのほうが本人にとっても生きやすいのです。ニートや引きこもり、生活困窮者も同様で、役割がもてれば、彼らは日本の大きな労働力として、社会を支えることができるはずです。」(濱田氏)

 いろいろな人々がそれぞれ誰1人欠かせない存在であり、そんな人たちをつなげていく、それが農福連携の大きな意義なのだろう。そして。この人たちが何らかの役割を持つことによって、農業と福祉だけでなく、地域全体が輝く可能性がある。

 「重要なのは、農福連携からさらに+αの連携になること。農福商業連携、農福工業連携、農福介護、農福医療、農福産業……。地域に様々な連携の形が生まれることが地域を元気にしていくことにつながるのではないでしょうか」