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ロシアの戦争でアフリカが飢える
ロシアによるウクライナへの侵攻は、ロシアやウクライナから遠く離れた国へも影響を及ぼしています。日本でも、エネルギー・原材料高、円安などが相まって、物価が上がりました。値上がりした代表的なものとしては、ロシアが世界一、ウクライナも世界6位の輸出国である小麦があります。さらには食用油、ロシアへの経済制裁により供給が減ったガソリンなどの石油製品があります。
もちろん、影響を受けているのは日本だけではありません。むしろ、小麦を主に北米から輸入している日本は、どちらかというとあまり影響を受けていないほうです。
では、どのような国が大打撃を受けているのでしょうか。
「食料の国際価格が不安定になったことで最もダメージを受けているのは、アフリカの国々です」とJICA経済開発部部長の下川貴生さんは言います。
データを見てみましょう。国連食糧農業機関(FAO)が2022年8月に、ロシアとウクライナからの輸入小麦に頼っている国々の統計をまとめています。
依存度の高い国を見てみると、ロシア、ウクライナの近隣国であるアルメニアやモンゴルなどに加え、エリトリアやソマリア、エジプト、タンザニア、ナミビアといったアフリカの国々が目立ちます。
こうした国々の多くはロシアによるウクライナ侵攻以前から、食料に不安を抱えていました。
例えば、新型コロナウイルスの感染拡大も、食料事情を悪化させました。この20年ほど右肩下がりだった世界の栄養不足人口、つまり飢餓に悩む人の割合は、コロナ禍によって約8%から約10%に増加したと見られています。(出所:FAO, IFAD, UNICEF, WFP and FAO (2022) : The State Food Security and Nutrition in the World)
中でもアフリカでは約5人に1人が栄養不足状態にあります。この割合は、世界平均の倍以上です。特に、南スーダンやブルキナファソ、マリ、ニジェールでは人口の5割以上が飢餓に苦しんでいます。(出所:Own analysis based on from WFP 2022)
なぜアフリカばかりが大打撃を受けてしまうのでしょうか。それは、食料の多くを輸入に頼らざるを得ないからです。ではなぜ輸入に依存しているのかというと、そこには3つの要因があります。
まず、人口の急増です。アフリカは現在、人口が増え続けています。2050年には世界人口の4人に1人はアフリカの人が占めると見られています。人口が増えればそれだけ多くの食料が必要となりますが、人口増のスピードに食料の増産が追いついていません。なので、輸入依存度が高く、社会情勢の変化の影響を色濃く受けてしまうのです。
また、アフリカには紛争をしている国がたくさんあります。
「食料が足りないから紛争が起こるのか、紛争が起こるから食料不足になるのかは定かでありませんが、紛争の起きている国で食料が不足しているのは確かです」と下川さん。
国連世界食糧計画(WFP)が公表している慢性的な飢餓に陥っている国をまとめた「ハンガーマップ」を見ても、アフリカで食料が不足しているのは明らかです。
アフリカは気候変動の影響を強く受けていることも忘れてはなりません。特に、サハラ砂漠より南に位置するサブサハラアフリカと呼ばれる国々では、洪水や豪雨が頻発する一方で、砂漠化や干ばつが深刻化しています。
農業、そして人間の生活が脅かされているのです。
JICAはアフリカの食料生産改善、農家の育成・民間農業開発、栄養改善、気候変動対策に長年取り組んできました。近年の食料や肥料の価格の高騰を受け、2022年11月にはアフリカ食料安全保障イニシアティブと銘打ち、これまでの取り組みを一層強化する方針を示しました。
そのうちのひとつは、1970年代からアフリカで取り組んでいるコメの生産支援です。例えばタンザニアは、小麦の輸入の6割以上をロシアとウクライナに依存している国です。ところが、ロシアのウクライナ侵攻による食料危機は起こっていません。そこに日本の支援の力がありました。