「ウェビナー」
モダナイゼーション
アプリケーションモダナイゼーションの
必要性と乗り越えるべき課題とは
FPTジャパンホールディングスは2022年4月12日、アプリケーションモダナイゼーションをテーマにしたウェビナーを開催した。パネリストとして、日本マイクロソフトの横井羽衣子Azureビジネスグループ シニアプロダクトマネージャー、日経BP総合研究所の大和田尚孝イノベーションICTラボ所長、FPTコンサルティングジャパンの荒木寛デジタルプロセッシングサービス事業部 ITマネージド・サービス部部長が参加。モデレータを、FPTジャパンホールディングスのファビアン・ルディエ デジタルトランスフォーメーション(DX) デプロイメントストラテジストが務めた。
日本でもモダナイゼーションが本格化
(右上)日経BP総合研究所 イノベーションICTラボ所長 大和田 尚孝
(右下)FPTコンサルティングジャパン株式会社 デジタルプロセッシングサービス事業部 ITマネージド・サービス部部長 荒木 寛氏
(左下)FPTジャパンホールディングス株式会社 デジタルトランスフォーメーションデプロイメントストラテジスト ファビアン・ルディエ氏
FPTジャパンのルディエ氏は冒頭で、2019年にTechTargetが実施したIT部門の支出に関する調査結果を紹介した。2020年に投資したい分野として挙がったのは、上位から「クラウドインフラの展開とマイグレーション」、「ネットワークとインフラのモダナイゼーション」、「DXイニシアチブをサポートするレガシーアプリのモダナイゼーション」だった。ルディエ氏は「新型コロナウイルスの流行以前からアプリケーションのマイグレーションやモダナイゼーションは長期的な目標としてニーズが顕在化しており、コロナ禍でそれらが喫緊の課題になった」と指摘した。
ルディエ氏は日経BPの大和田氏に「モダナイゼーションを実施しないとどのようなリスクがあるか」と質問した。大和田氏は「デジタル変革に乗り遅れることだ。2年前にコロナが流行してから急速に社会とビジネスのデジタル化が加速した。その中でビジネスおよびアプリを、ニーズに合わせて柔軟に変える必要が高まっている。システムが旧式だとそういった対応ができない」と回答した。
大和田氏は日本企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の状況についてIPA(情報処理推進機構)のDX白書のデータを基に、「米国より遅れているが、2020〜2021年から『いよいよやらなくては』と考えるようなフェイズになっている。コロナ禍ではテレワークやオフィスワークのデジタル化が優先されていたが、アフターコロナを見据え、世の中が動き出している状況だ」と解説した。
内製と外部リソース活用はどちらも重要
次にルディエ氏は、アプリケーションのモダナイゼーションに企業が取り組む意義について、FPTコンサルティングジャパンの荒木氏に聞いた。
荒木氏は「アプリのモダナイゼーションができていると、ビジネスデマンドに応じた柔軟なインフラ拡張、運用面でのコスト低減、ディザスタリカバリー、クラウドプロバイダが用意した高度なセキュリティ機能の利用、といったメリットが享受できる。言い換えると、もしこれらが享受できていないならモダナイゼーションをする意義がある」と説明した。
荒木氏はアプリのモダナイゼーションに際して企業が直面するチャレンジとして、「未知への恐れ」「知識不足」「データ移行」「品質の保証」の4点を挙げた。
「未知への恐れ」について荒木氏は「日本での実績が少ないことに加え、クラウドアプリを開発するためのアジャイルなどのノウハウや、その後の運用のノウハウがない」と説明した。「知識不足」に関しては、「現行システムを開発した人材が既にいなかったり、仕様書がなくなっているケースがある。その場合、パートナー企業と連携し、リバースエンジニアリングを行う必要がある」(荒木氏)。
「データ移行」について荒木氏は「データアーキテクチャを変える必要があるケースも多い。これをしっかりやらないと、クラウドを使うメリットを最大限に引き出せない」とした。最後の「品質の保証」については「モダナイゼーションでシステムの動作に影響があっては駄目だ。モダナイゼーション後も安定して動作するよう、検証をしっかり行う必要がある」(荒木氏)。
ルディエ氏は日本マイクロソフトの横井氏に対し、「オンプレミスのシステムをクラウドに移行する際、どんなことが課題になっているか」と尋ねた。
横井氏は「従来は、ビジネスロジックを含めてシステム開発をSIerに丸投げしている企業が多かった。しかしクラウドのメリットを最大限に活用し、ビジネスをスケールさせるためには、まずビジネスロジックは企業自身でしっかりコントロールしつつ、専門性の高いところはSIerなどのITパートナーなどに相談しながらどのように全体をモダナイズしていくかを判断することが重要」と語り、「クラウドの場合、変化する市場動向や環境に合わせ、新たに生まれてくるニーズをシステムに柔軟かつ迅速に取り込み続けることができる。しかし、ビジネスロジックまでSIerに委ねてしまうと、システムの更新を判断してから作業が終わるのに半年~1年かかり、環境変化のスピードにシステム変革が追随できない状況に陥ってしまうこともある。結果として、現状のビジネスとシステムがどんどん乖離してしまい、企業の競争力を損なってしまうことになってしまう」と続けた。
クラウドへの移行が上手く進んでいる企業について横井氏は「共通しているのは、内製する力があること」と指摘した上で、「それはSIerとの関係を絶て、という意味ではない」とした。「ビジネスロジックを手の内化したとしても、ビジネスとシステムの両面で、アジャイルやリーンマネジメントの実践が必要になる。その際、DevOpsをはじめとした様々な手法や、AIなどの専門性の高い領域の部分においてパートナーに適切に支援してもらう形になっていくだろう」(横井氏)。
日経BPの大和田氏も「自分達で手を動かすことが大切になっている一方で、自らサーバーを買ってきて設定することが必要か、と言えばそうではない。IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)などは外部から調達し、ビジネスやアプリに関する部分については主導権を持って取り組むなど、メリハリを付けることが大切だ」と語った。
日本マイクロソフトの横井氏は、より簡素なモダナイゼーション手法としてMicrosoft Power Platformを使ったやり方も紹介した。「社内ポータルやMicrosoft SharePointやMicrosoft Teamsの延長で、それらをカスタマイズして使いたいというニーズが今でも根強くある。従来はそれらに何か変更を加えたい場合、IT部門やパートナーに依頼して完成までに数カ月を要していたが、Power AppsやPower Automateを使えば、現場の社員がUI(ユーザー・インタフェース)やワークフローなどを含めて簡単にカスタマイズできる。これで全て対応できる訳ではないが、既存の社内IT資産を上手く使うという点では効果的なモダナイズの手法の一つだ」(横井氏)。
ビジネスのゴールも事前に明確化する
ルディエ氏はFPTコンサルティングジャパンの荒木氏に対し、FPTのアプリモダナイゼーションに関するプロジェクトで表面化している課題について聞いた。荒木氏は「ゴールが不明確になりやすいのが一番の問題だ。ITだけでなくビジネスにも関わることなので、ビジネス面でのゴールも設定する必要がある」とし、「柔軟性なのか、アジリティなのか、保守運用コストの低減なのかを明確化しないと、結局何がしたかったのか、という事態に陥ってしまう」と説明した。
クラウドリフト&シフトだけで満足してしまい、アプリのクラウド化まで進めないケースも多いという。「レガシーアプリはクラウド向きに作られていない。データモデルや構成などを見直して初めてスケーラビリティやセキュリティなどクラウドのメリットが得られる。自社だけでなく、パートナーと連携して取り組むことが大切だ」(荒木氏)。
クラウド化について日本マイクロソフトの横井氏は「ビジネス変革に欠かせないのがクラウドだ。当社でも様々なツールを出している。パートナーと共創も含めて、是非使っていただけたら」と語った。
運用についても、「モダナイゼーション後はやり方を大きく変える必要があるが、上手く切り替えられないケースが多くある」(荒木氏)。モダナイゼーション後は、ITIL((IT Infrastructure Library))に基づいた運用設計、レポーティングの標準化、自動化、運用を効率的に進めるためのユースケースの設定、マニュアルの整備などが必要になる。FPTがこれらをサポートする機会は多いという。
FPTコンサルティングジャパンの荒木氏は「FPTはモダナイゼーションやクラウドに力を入れているが、『ベトナムの企業にしっかりできるのか』と懸念される方もいるだろう。当社の方法論や事例をご紹介する機会をいただければ、グローバルでの取り組みやオフショア活用の実際の流れなどについて詳しくご説明させていただく」と語る。続けてFPTの強みとして、ベストプラクティスによる市場投入までの時間を短縮する「ビジネスアジリティ」、FPT独自のフレームワークを使った「サービス品質」、クラウド活用のノウハウなどを生かした「コストメリット」、過去案件に基づく「潜在的問題を回避」の4つを挙げ、本ウェビナーを締めくくった。
DXアクセラレート2024、
デジタル活用の勘所

