




AI活用の取り組みが、AIモデルを構築する「学習」から、AIをビジネスの中で具体的に活用する「推論」に移行している。製造現場や店舗、物流拠点など、データが生まれる現場でリアルタイムにAIを活用するニーズが高まっていることがその背景にある。
こうしたAI活用領域の拡大に伴って、それをサポートするベンダー側にも製品やサービスの幅広いポートフォリオが求められるようになった。クラウド、オンプレミス、エッジ環境を用途に応じて使い分ける「ハイブリッドAI」の考え方が広がるなか、企業にはそれらを統合的に活用できる基盤が必要になっているからだ。レノボでは、こうしたAI活用を包括的に支援する「Hybrid AI Advantage」を展開する。
「学習」に対する投資の中心となるデータセンター(DC)やサーバーから、「推論」に対する投資の中心となるオフィスや製造現場で利用するデバイスや社内サーバーまで─。それらをトータルにサポートするスタイルを、レノボでは「ポケットからクラウドまで」と表現する。
「ポケットに入る携帯端末から、タブレット、PC、社内サーバー、DC。そのすべての領域を網羅し、かつ日本全国に展開する拠点をベースにして、企業のAI活用を統合的に支援できるのが当社の強みです」と檜山 太郎氏は語る。
企業活動にAIが幅広く実装されることで顕在化する課題もある。とりわけ大きいのが、DCで消費する電力量の増大である。DCの電力消費量は2030年までに現在の2倍になるとされ、さらにAIに特化したDCでは3倍に達するという予測もある。
DCで使われる電力の多くは、サーバー稼働によって生じる排熱処理に使われている。それだけに、排熱処理の効率化は最優先事項ともいえる。これまでは送風によってサーバーを冷却する空冷が主な方法だったが、近年ではより冷却効果の高い水冷が使われるようになっている。
「『Lenovo Neptune』は、常温の水でサーバーを効率的に冷却する独自の技術です。これを活用することで、DCの消費電力を最大で40%削減することができます」と檜山氏。レノボは、実際のDCに近い環境で水冷効果を検証できる「Neptuneラボ」を展開し、水冷技術の普及を推進している。
一方、AIを活用しようとする企業にとって大きなハードルとなるのが初期投資だ。どのようなAI環境を整備し、どの程度投資すべきなのか。それを判断するのは容易ではない。
そうした課題に対するレノボのソリューションが、従量課金型のインフラ活用サービス「TruScal e(トゥルースケール)」だ。インフラを利用量に応じて活用でき、戦略や環境の変化に応じて柔軟に増減できる。こうした特性から、スポーツイベント、特にグローバルスポーツ大会のように、短期間でインフラ需要が大きく変動する用途に適しているという。
新しいテクノロジーの社会実装の過程では、様々なプレーヤーの協業が求められる。レノボはAIの普及と実装に向けた協業を広げる枠組み「関西 AI Hub」を2026年7月に創設した。これは「関西の産業界、大学・研究機関、AIスタートアップ、投資家、行政などを結びつけて、AIを社会全体のインフラとする取り組みを進めていくコミュニティ」だと檜山氏は説明する。
AIをめぐるレノボの多様な取り組みを支えているのが、「Smarter AI for All」という理念だ。
「あらゆる企業や組織、個人にAIの恩恵を届けること。誰もが使いやすいと感じるAI体験を創出すること。それが私たちのミッションです。この理念のもとで、AIの普及と推進に引き続き取り組んでいきたいと考えています」(檜山氏)
ハイブリッドAI基盤の構築から産学官の協業を広げるコミュニティづくりまで、AIの社会実装に向けた同社の取り組みは、日本企業の成長を支える一助となりそうだ。