柏木孝夫氏(以下敬称略):日本の制御技術は、本当に優れています。新幹線がこれだけ正確に運行されているのも優れた制御技術の賜物です。また、いくつかの物を完璧に擦り合わせる器用さも、日本の強みと言っていいでしょう。

「分散型システムを国際インフラとして展開し、日本の成長戦略につなげていくことで、地域活性化、経済成長、国際標準化を達成する。そんな時代に突入しています」(柏木氏)
ところが、日本の技術を国際標準化する力は弱いと言わざるを得ません。例えば、米国は、スマートコミュニティの一端を担う電気自動車のバッテリーの規格に関して、あっと言う間に決めていってしまいましたよね。日本から仕掛けていくためには、日本の技術を国際標準化する戦略的な対策も必要です。
ただ、スマートハウス向けの制御やセンサーネットのプロトコル(通信手順)については、日本で規格化した「ECHONET Lite」が、ISO(国際標準化機構)規格およびIEC(国際電気標準会議)規格として国際標準化されました。ネットワーク化されたスマートハウス内のスマートメーターや発電機器、家電製品などが、ECHONET Liteのプロトコルで情報をやり取りするようになります。そうした成果が、国際的に羽ばたける次世代の日本の力になるのだと思います。
海外へ展開していく場合は、日本の制御系技術を使いながら、その国の商品もうまく使っていく、というような心構えで進めた方が良いのではないでしょうか。ECHONET Liteのような国際標準規格を用いて手本となるインフラを設計し、ビジネス特許などを取得しておけば、日本が市場を主導していけるようになります。

「少子化という危機に直面しているからこそ、多様なシステムをネットワークしていくような新しいアイデアも生まれ、新たな街が形成される可能性もありますね」(増田氏)
増田寛也氏(以下敬称略):少子化という危機に直面しているからこそ、多様なシステムをネットワークしていくような新しいアイデアも生まれてくるような気がします。
柏木: 適切な所に適切な規模の分散型システムを導入することで、自分たちの生活や産業基盤は維持できるようになります。そのようなシステムの構築を国内の必要な場所に導入していけば、そこに若い人が集まってくる可能性もある。
増田: そして、やがては、新たな街が形成される可能性もありますね。分散型の国土形成に向かうための一つの出発点と言えます。
柏木: それをさらに国際インフラとして展開し、日本の成長戦略につなげていくことで、地域活性化、経済成長、国際標準化を達成する。そんな時代に突入しています。
増田: グローバルにもローカルにも、両方に効果を発揮する戦略だと思います。