インタビュー

新春特別対談 エネルギーインフラの未来 地域を活性化する「真の地産地消型システム」構築を(前編)

新春特別対談 エネルギーインフラの未来 地域を活性化する「真の地産地消型システム」構築を(前編)
2019年12月25日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

令和時代、エネルギー分野では一層大きな変化が起きそうだ。パリ協定の発効により、世界は脱炭素化に向けて走り出し、我が国ではエネルギー市場の自由化・デジタル化が同時に進行中だ。そんな中、2018年に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」には再生可能エネルギーの主力電源化が盛り込まれ、調整電源となるコージェネレーション(熱電併給)システムの重要性が増している。

今後は大規模電源と分散型電源を組み合わせ、デマンドサイドをきめ細かく制御しながら環境性・経済性・安定性の高いエネルギーシステムを構築することが求められる。2019年に「真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟」を立ち上げ、会長を務めるなど、エネルギー分野に精通する衆議院議員の古屋圭司氏と、エネルギーシステム研究の第一人者として国のエネルギー政策に長年かかわってきた東京工業大学特命教授/名誉教授でコージェネ財団理事長の柏木孝夫氏が、新時代のエネルギーシステムのあるべき姿を語り合った。

「第5次エネルギー計画」は「チャンス」の到来

柏木孝夫氏(以下敬称略): 令和の時代に入り、エネルギー分野には変化の波が顕著に見え始めています。第1が電力化。世界で使用する電力量は1990年には10兆kWhでしたが、令和元年である2019年には22兆~23兆kWhと2.2~2.3倍に拡大しました。第2がパリ協定の発効に伴う脱炭素化。第3がデジタル化。これら3つの変化に対応するためには、大規模電源のみに頼るのではなく、分散型電源をうまく取り込み、面的活用を進めることが必要となります。

 古屋さんは2019年に「真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟」を立ち上げ、会長を務めていらっしゃいます。「燃料電池議員連盟」幹事長や初代国土強靱化担当大臣を務めるなど、分散型エネルギーに最も精通した議員の1人でもある古屋さんが、今回、どのような思いから、真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟を設立したのかを教えていただけますか。

「せっかく地産地消型のエネルギーシステムをつくっても、過度に自立型にこだわるあまり、結果として経済性を損なう例、また地域内の経済循環に寄与しない、つまり地域にお金が落ちない例があることなどを非常に問題だと思っています」(古屋氏)
「せっかく地産地消型のエネルギーシステムをつくっても、過度に自立型にこだわるあまり、結果として経済性を損なう例、また地域内の経済循環に寄与しない、つまり地域にお金が落ちない例があることなどを非常に問題だと思っています」(古屋氏)

古屋圭司氏(以下敬称略): 私がエネルギー問題に取り組むようになったのは19年前、経済産業副大臣に就任したのがきっかけです。エネルギーについての様々な話を聞き、原子力発電を中心とする大規模発電の重要性を十分に理解しつつも、これからは間違いなく分散型エネルギーシステムがトレンドになると考え、普及に努めてきました。当時は燃料電池もまだ出たばかり。国会で燃料電池車の試走会を行うなど、様々な普及策、支援策を講じました。

 中でも印象深いのは2005年の「愛・地球博(愛知万博)」での取り組みです。日本政府館で消費する400kWhの電力を燃料電池や自然エネルギーでまかないました。当初、「半分の電力量ならできる」という話がありましたが、「半分ではやる意味がない。やるなら100%」と押し切りました。蓄電池を導入したり、古いリン酸型燃料電池を持ち込んだりと工夫し、最終的に中部電力からは1Whの電力も購入することなく、6カ月間の会期を終えるという画期的な成果を挙げることができました。この時の経験が、地産地消型エネルギーシステムに取り組む私の活動の原点となっています。

 2018年に政府が閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーの主力電源化や分散型エネルギーシステムの確立が明確にうたわれています。この基本計画を見た時に、私は「今こそチャンス」と思いました。かつて、1台1億円を超えた燃料電池自動車は、政府の支援もあり、今は500万~600万円になっています。同じことを電力の分野でもできるという思いから、議員連盟を立ち上げました。

 
前ページ前ページ 123 次ページ次ページ
 
インタビュー 記事一覧
 
 
 
プロフィール
古屋 圭司(ふるや・けいじ)氏

古屋 圭司(ふるや・けいじ)
衆議院議員
真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟会長
資源確保戦略推進議員連盟会長
1952年生まれ。90年岐阜県第5選挙区(多治見市・土岐市・瑞浪市・恵那市・中津川市)に初当選。以来10期連続当選。法務政務次官、経済産業副大臣、衆議院商工委員長、文部科学委員長を務める。2012年12月、第2次安倍晋三内閣で国務大臣(国家公安委員会委員長、拉致問題担当、防災担当、初代国土強靭化担当)に就任。16年自由民主党選挙対策委員長、17年衆議院 議院運営委員長等を歴任。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学特命教授/名誉教授
コージェネ財団理事長
1946年東京都生まれ。70年東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年博士号取得。80~89年米商務省NBS招聘研究員、88年東京農工大学工学部教授などを経て2007年東京工業大学大学院教授に就任。12年東京工業大学特命教授に。専門はエネルギー・環境システム。03年日本エネルギー学会学会賞(学術部門)、08年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)など受賞多数。経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長、同調査会総合部会委員等でも活躍。著書に『スマート革命』『エネルギー革命』『コージェネ革命』『超スマートエネルギー社会5.0』など。

News & Topics

コージェネ財団は、SDGsの推進およびコージェネのSDGsに対する貢献の紹介を目的として、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構 理事長 村上周三氏を顧問に、東京農工大学教授 秋澤淳氏を主査とし会員企業より構成するワーキンググループを設立し、「コージェネレーションのSDGsへの貢献 参照ガイド」と「コージェネ提供価値アイコン」を作成、これを広くご利用いただけるようにいたしました。

詳細はこちら詳細はこちら

一般財団法人
コージェネレーション・
エネルギー高度利用センター

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-4
アーバン虎ノ門ビル4階
TEL. 03-3500-1612
FAX 03-3500-1613