令和時代、エネルギー分野では一層大きな変化が起きそうだ。パリ協定の発効により、世界は脱炭素化に向けて走り出し、我が国ではエネルギー市場の自由化・デジタル化が同時に進行中だ。そんな中、2018年に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」には再生可能エネルギーの主力電源化が盛り込まれ、調整電源となるコージェネレーション(熱電併給)システムの重要性が増している。
今後は大規模電源と分散型電源を組み合わせ、デマンドサイドをきめ細かく制御しながら環境性・経済性・安定性の高いエネルギーシステムを構築することが求められる。2019年に「真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟」を立ち上げ、会長を務めるなど、エネルギー分野に精通する衆議院議員の古屋圭司氏と、エネルギーシステム研究の第一人者として国のエネルギー政策に長年かかわってきた東京工業大学特命教授/名誉教授でコージェネ財団理事長の柏木孝夫氏が、新時代のエネルギーシステムのあるべき姿を語り合った。
柏木孝夫氏(以下敬称略): 令和の時代に入り、エネルギー分野には変化の波が顕著に見え始めています。第1が電力化。世界で使用する電力量は1990年には10兆kWhでしたが、令和元年である2019年には22兆~23兆kWhと2.2~2.3倍に拡大しました。第2がパリ協定の発効に伴う脱炭素化。第3がデジタル化。これら3つの変化に対応するためには、大規模電源のみに頼るのではなく、分散型電源をうまく取り込み、面的活用を進めることが必要となります。
古屋さんは2019年に「真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟」を立ち上げ、会長を務めていらっしゃいます。「燃料電池議員連盟」幹事長や初代国土強靱化担当大臣を務めるなど、分散型エネルギーに最も精通した議員の1人でもある古屋さんが、今回、どのような思いから、真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟を設立したのかを教えていただけますか。

「せっかく地産地消型のエネルギーシステムをつくっても、過度に自立型にこだわるあまり、結果として経済性を損なう例、また地域内の経済循環に寄与しない、つまり地域にお金が落ちない例があることなどを非常に問題だと思っています」(古屋氏)
古屋圭司氏(以下敬称略): 私がエネルギー問題に取り組むようになったのは19年前、経済産業副大臣に就任したのがきっかけです。エネルギーについての様々な話を聞き、原子力発電を中心とする大規模発電の重要性を十分に理解しつつも、これからは間違いなく分散型エネルギーシステムがトレンドになると考え、普及に努めてきました。当時は燃料電池もまだ出たばかり。国会で燃料電池車の試走会を行うなど、様々な普及策、支援策を講じました。
中でも印象深いのは2005年の「愛・地球博(愛知万博)」での取り組みです。日本政府館で消費する400kWhの電力を燃料電池や自然エネルギーでまかないました。当初、「半分の電力量ならできる」という話がありましたが、「半分ではやる意味がない。やるなら100%」と押し切りました。蓄電池を導入したり、古いリン酸型燃料電池を持ち込んだりと工夫し、最終的に中部電力からは1Whの電力も購入することなく、6カ月間の会期を終えるという画期的な成果を挙げることができました。この時の経験が、地産地消型エネルギーシステムに取り組む私の活動の原点となっています。
2018年に政府が閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーの主力電源化や分散型エネルギーシステムの確立が明確にうたわれています。この基本計画を見た時に、私は「今こそチャンス」と思いました。かつて、1台1億円を超えた燃料電池自動車は、政府の支援もあり、今は500万~600万円になっています。同じことを電力の分野でもできるという思いから、議員連盟を立ち上げました。