インタビュー

新春特別対談 脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム 「システム思考」で最新技術を社会に実装(後編)

新春特別対談 脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム 「システム思考」で最新技術を社会に実装(後編)
------------------
2019年1月16日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

前回に続き、科学技術やイノベーションの分野で産学官連携の研究開発を行う「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」などを担当する内閣府の赤石浩一政策統括官とエネルギーシステム研究の第一人者として国のエネルギー政策に長年かかわってきた東京工業大学の柏木孝夫 特命教授/名誉教授が語り合う。SIPの3本柱に据えた「ワイヤレス電力伝送システム」「革新的炭素資源高度利用技術」「ユニバーサルスマートパワーモジュール」や、それらをネットワーク化し、全体最適化するための「エネルギーマネジメント」について、研究開発における思想や実現した際の影響の大きさなど議論を深めた。日本が持つ技術をシステム思考で上手に活用することで、地方創生も実現でき、世界が抱える問題解決にも貢献できると確認し合った。

電力の無線化は社会に大革新をもたらす

柏木孝夫氏(以下敬称略): 政府は今、科学技術やイノベーションの分野で産学官連携の研究開発を行う「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を推進しています。SIPで取り組む12の課題のうちの一つが「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」。私はこの課題のプログラムディレクターを務めています。

 2018年夏には、新たに2022年度まで取り組む第2期の計画を発表し、日本が主導的地位を担うべき基盤技術として、「ワイヤレス電力伝送システム」「革新的炭素資源高度利用技術」「ユニバーサルスマートパワーモジュール」の3本柱を据えました。さらに、いちばん大事なのが、これらをネットワーク化し、全体最適化するための「エネルギーマネジメント」。ここでも、「System of the Systems」の発想がカギを握ると考えています。

「ワイヤレス電力伝送システムが実現すれば影響は極めて大きいと思います。エネルギーの少し先を行く情報通信の世界では、無線化が進んだことで世の中が大きく変わりました。電力も無線になったら、産業、社会インフラ、ライフスタイルなどに大革新をもたらすでしょう」(赤石氏)
「ワイヤレス電力伝送システムが実現すれば影響は極めて大きいと思います。エネルギーの少し先を行く情報通信の世界では、無線化が進んだことで世の中が大きく変わりました。電力も無線になったら、産業、社会インフラ、ライフスタイルなどに大革新をもたらすでしょう」(赤石氏)

赤石浩一氏(以下敬称略): これまでにもスマートコミュニティーなどの取り組みはしてきましたが、個別のプロジェクトは進んでも、エネルギー全体のアーキテクチャーができていませんでした。SIPでプログラムディレクターを務める柏木先生が個別テーマにエネルギーマネジメントをかぶせ、「System of the Systems」によってエネルギーの全体構造を描こうとしたのは大変素晴らしいことだと感じています。

 個別テーマでいうと、ワイヤレス電力伝送システムが実現すれば影響は極めて大きい。エネルギーの少し先を行く情報通信の世界では、無線化が進んだことで世の中が大きく変わりました。電力も無線になったら、産業、社会インフラ、ライフスタイルなどに大革新をもたらすでしょう。

 
前ページ前ページ 123 次ページ次ページ
 
インタビュー 記事一覧
 
 
 
プロフィール
赤石 浩一(あかいし こういち)氏

赤石 浩一(あかいし こういち)
内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション・原子力担当)
1985年東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2004年経済産業省資源エネルギー庁エネルギー政策企画室長、05年経済産業省通商政策局米州課長を経て06年日本機械輸出組合ブラッセル事務所長に就任。07年経済産業省商務情報政策局情報政策課長、11年経済産業省大臣官房会計課長(併)監査室長、12年経済産業省大臣官房審議官(環境問題担当)、13年内閣官房副長官補室日本経済再生総合事務局次長、14年経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)を務める。17年内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)(併)内閣府大臣官房審議官(科学技術・イノベーション担当)を経て18年7月より現職。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学 特命教授/名誉教授
コージェネ財団 理事長
1970年東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授/名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経済産業省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に『コージェネ革命』『超スマートエネルギー社会5.0』など。

News & Topics

コージェネ財団は、SDGsの推進およびコージェネのSDGsに対する貢献の紹介を目的として、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構 理事長 村上周三氏を顧問に、東京農工大学教授 秋澤淳氏を主査とし会員企業より構成するワーキンググループを設立し、「コージェネレーションのSDGsへの貢献 参照ガイド」と「コージェネ提供価値アイコン」を作成、これを広くご利用いただけるようにいたしました。

詳細はこちら詳細はこちら

一般財団法人
コージェネレーション・
エネルギー高度利用センター

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-4
アーバン虎ノ門ビル4階
TEL. 03-3500-1612
FAX 03-3500-1613