インタビュー

[コージェネ普及セミナー対談] これからの日本のエネルギー ~エネルギーミックスと分散型電源~(後編)

[コージェネ普及セミナー対談] これからの日本のエネルギー ~エネルギーミックスと分散型電源~(後編)
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2015年7月22日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

前編に続き、東京工業大学特命教授でコージェネ財団理事長でもある柏木孝夫氏と、キャスターで環境・エネルギー分野での活動も多い千葉大学客員教授の木場弘子氏の2人が、エネルギーシステムの将来像や我々の暮らしへの影響などについて議論する後編。昨年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」は、エネルギー産業の自由化と規制緩和を盛り込んでいる。エネルギーを「買う時代」から「売る時代」へ、「大規模電源」からオンサイトの「分散型電源」へと、エネルギーシステムは大きく変化していく。中でも分散型電源の中核的存在といえるのがコージェネレーション(熱電併給)システム。BCP性も高く、自治体などが導入すれば国土強靱化にもつながると期待が高まっている。

コージェネ普及でヒマワリからナデシコまで百花繚乱に

木場弘子氏(以下敬称略):昨年、閣議決定された「エネルギー基本計画」にはコージェネレーション(熱電併給)システムの推進という項目も盛り込まれました。家庭用燃料電池コージェネ「エネファーム」も2020年に140万台、2030年に530万台の普及を目指すとの目標が掲げられています。これが実現すると、エネルギーシステムはどんな姿になるのでしょう。

柏木孝夫氏(以下敬称略):イメージは「百花繚乱」です。大輪のヒマワリのように大きな発電所がある一方で、デマンドサイドにはそれよりも小ぶりな花々が咲いている。工場にはラン、ビルにはカトレアのようなコージェネが、家庭にはナデシコのようなエネファームが入っている。こんな姿です。2030年には総発電量の約15%をコージェネで供給できるとみています。

 コージェネはBCP(事業継続計画)の観点からも重要性が高まっています。東京・港区の「六本木ヒルズ」は開業時からコージェネを稼働させてきました。その結果、東日本大震災の際もビル内の電力は一切止まらなかった。BCP性の高さが評価され、コージェネを導入していない近隣ビルから六本木ヒルズに転居してきた会社も多いそうです。

木場: では、コージェネが想定通りに普及するためにはどんな点が課題といえますか。

「工場にはラン、ビルにはカトレアのようなコージェネが、家庭にはナデシコのようなエネファームが入って、2030年には総発電量の約15%をコージェネで供給できるとみています」(柏木氏)
「工場にはラン、ビルにはカトレアのようなコージェネが、家庭にはナデシコのようなエネファームが入って、2030年には総発電量の約15%をコージェネで供給できるとみています」(柏木氏)

柏木: エネルギー自由化の流れに沿って、電力の売り手と買い手が存在する市場が機能し、きちんと売買できること。デジタル化され、株式のデートレーダーのように、リアルタイムで売ったり買ったりできるようになることです。

 同時に、電力の使用状況をリアルタイムで把握するHEMS(住宅エネルギー管理システム)などの普及も必要です。「今、どれぐらいの量の電力を発電し、どれぐらいの量を使っているか」「今、市場の電気代はいくらか」といったことを瞬時に把握し、売買の指令や電気のスイッチをオン・オフする指令を出す。

 使っている電気機器には優先順位別に「S」「A」「B」「C」とランクがついていて、発電量が少ない、電気代が高い時には優先順位の低い「C」ランクのものは自動的に切れる。必要な電力を上回る発電量がある時にはエネファームのスイッチをオンにして、お風呂を沸かす。このように最適なエネルギー制御を行うシステムです。HEMSがコージェネ、太陽光発電設備、蓄電池とすべての家電・設備をつなぐ指揮者となるわけです。

 
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プロフィール
木場弘子(きば・ひろこ)氏

木場弘子(きば・ひろこ)
キャスター
千葉大学 客員教授
岡山市生まれ。千葉大学教育学部を卒業後、1987年、TBSにアナウンサーとして入社。同局初の女性スポーツキャスターとして『筑紫哲也ニュース23』など多数のスポーツ番組を担当。92年、与田剛氏(NHKプロ野球解説者)との結婚を機にフリーランスに転じ、現在はテレビ出演、コーディネーター、講演や執筆活動など多方面で活躍する。教育や環境・エネルギーに関わる活動が多い。2001年、千葉大学教育学部非常勤講師に就任。2007年、洞爺湖サミット・クールアースアンバサダー、2007年第1次安倍政権で規制改革会議、2008年、福田、麻生政権で教育再生懇談会メンバーとなる。2013年より千葉大学客員教授。生活者の視点を大切に経済産業省や環境省、国土交通省など5つの省庁で審議会メンバーを務めている。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
東京工業大学 特命教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授・名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。総務省が2014年11月に立ち上げた「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」の座長も務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。