木場弘子氏(以下敬称略):昨年、閣議決定された「エネルギー基本計画」にはコージェネレーション(熱電併給)システムの推進という項目も盛り込まれました。家庭用燃料電池コージェネ「エネファーム」も2020年に140万台、2030年に530万台の普及を目指すとの目標が掲げられています。これが実現すると、エネルギーシステムはどんな姿になるのでしょう。
柏木孝夫氏(以下敬称略):イメージは「百花繚乱」です。大輪のヒマワリのように大きな発電所がある一方で、デマンドサイドにはそれよりも小ぶりな花々が咲いている。工場にはラン、ビルにはカトレアのようなコージェネが、家庭にはナデシコのようなエネファームが入っている。こんな姿です。2030年には総発電量の約15%をコージェネで供給できるとみています。
コージェネはBCP(事業継続計画)の観点からも重要性が高まっています。東京・港区の「六本木ヒルズ」は開業時からコージェネを稼働させてきました。その結果、東日本大震災の際もビル内の電力は一切止まらなかった。BCP性の高さが評価され、コージェネを導入していない近隣ビルから六本木ヒルズに転居してきた会社も多いそうです。
木場: では、コージェネが想定通りに普及するためにはどんな点が課題といえますか。

「工場にはラン、ビルにはカトレアのようなコージェネが、家庭にはナデシコのようなエネファームが入って、2030年には総発電量の約15%をコージェネで供給できるとみています」(柏木氏)
柏木: エネルギー自由化の流れに沿って、電力の売り手と買い手が存在する市場が機能し、きちんと売買できること。デジタル化され、株式のデートレーダーのように、リアルタイムで売ったり買ったりできるようになることです。
同時に、電力の使用状況をリアルタイムで把握するHEMS(住宅エネルギー管理システム)などの普及も必要です。「今、どれぐらいの量の電力を発電し、どれぐらいの量を使っているか」「今、市場の電気代はいくらか」といったことを瞬時に把握し、売買の指令や電気のスイッチをオン・オフする指令を出す。
使っている電気機器には優先順位別に「S」「A」「B」「C」とランクがついていて、発電量が少ない、電気代が高い時には優先順位の低い「C」ランクのものは自動的に切れる。必要な電力を上回る発電量がある時にはエネファームのスイッチをオンにして、お風呂を沸かす。このように最適なエネルギー制御を行うシステムです。HEMSがコージェネ、太陽光発電設備、蓄電池とすべての家電・設備をつなぐ指揮者となるわけです。