インタビュー

[新春特別対談] コージェネが加速する社会インフラ革命 分散型システム、熱の有効活用から生まれる 新たなビジネスと経済成長(前編)

[新春特別対談] コージェネが加速する社会インフラ革命 分散型システム、熱の有効活用から生まれる 新たなビジネスと経済成長(前編)
2017年1月4日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

2016年11月、20年以降の地球温暖化対策について定めた「パリ協定」が発効した。産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑えるという目標達成のため、世界は「低炭素」から「脱炭素」へと舵を切ろうとしている。デジタル革命でデマンド側からのきめ細かな制御も可能になった今、コージェネレーション(熱電併給)システムや自然エネルギーを取り入れた分散型エネルギーシステムを構築し、脱炭素に向かいつつ、新たなビジネス創出や地域活性化を実現して経済成長を果たしたい。その可能性や解決すべき課題について、エネルギー政策を指揮する経済産業省 資源エネルギー庁の藤木俊光 省エネルギー・新エネルギー部長とエネルギーシステム研究の第一人者として国のエネルギー政策に長年かかわってきた東京工業大学の柏木孝夫 特命教授/名誉教授が議論、提言する。

パリ協定発効で世界は「低炭素」から「脱炭素」へ向かう

柏木孝夫氏(以下敬称略):2016年11月4日、20年以降の地球温暖化対策の枠組みを定めた「パリ協定」が発効しました。協定は世界共通の目標として、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑え、さらに1.5℃に抑えるよう努力することを明記しています。これによって世界は一気に「低炭素」から「脱炭素」へと舵を切ったと感じています。2017年は世界が競って脱炭素に向かい走り始める1年になるのではないでしょうか。

「実は消費されるエネルギーのうちの75%は熱など、電気ではない。ですから、熱の有効活用は省エネの大きな柱となり、コージェネの重要性も増しています」(藤木氏)
「実は消費されるエネルギーのうちの75%は熱など、電気ではない。ですから、熱の有効活用は省エネの大きな柱となり、コージェネの重要性も増しています」(藤木氏)

藤木俊光氏(以下敬称略):パリ協定は国際社会が一致団結して地球温暖化に取り組むことを決めた画期的な協定だと思います。先進国も途上国も関係なく、すべての国が参加して合意するというのは大変なことです。しかも、単に数合わせでCO2(二酸化炭素)削減量を決めようという姿勢ではなく、きちんと結果を出すために地球の温度上昇の限度を目標に据えた。まさに歴史的な合意です。

 パリ協定で日本は30年に温室効果ガス排出量を13年比26%削減する公約を掲げています。今後はこの目標をどう達成していくかが問われます。

柏木: 国際社会での取り決めですから、机上の空論に終わらせるわけにはいきません。日本は今まで以上の省エネを進めなくてはならない。同時にデジタル革命を活用し、デマンド側からきめ細かく制御して効率的なエネルギーシステムを構築する必要があります。

藤木: 生産現場の人たちに話を聞くと、削って削って、という省エネは既にかなり手を尽くしている。別の角度から考えていくべき時期です。もしかしたら中期目標だけなら今までの延長で我慢に我慢を重ねて削っていけばギリギリで達成できるかもしれません。しかし、その先には「21世紀後半には排出量ネットゼロを目指す」という長期目標も控えています。これは我慢の省エネでは到底、達成できない。イノベーションと新たなインベストメントが必要です。

柏木: 今後、さらなる省エネを進めていく上で要となるのが熱の利用でしょう。デマンド側で地産地消型のエネルギーシステムを構築し、排熱も有効利用できるコージェネレーション(熱電併給)システムを導入して熱を使い尽くすことが不可欠だと思います。

 15年に策定された「エネルギーミックス」の中で、コージェネは30年に1190億kWh、デマンド側で使う電力量の12%超を供給するという目標が掲げられました。定量的な数値が明記されたのは初めてのこと。コージェネがこのように位置づけられたのは画期的でした。

藤木: 実は消費されるエネルギーのうちの75%は熱など、電気ではない。ですから、おっしゃる通り、熱の有効活用は省エネの大きな柱となります。その意味でコージェネの重要性も増しています。単に機器を普及させるだけでなく、どう有効に利用するかが問われる局面になってきていると思います。

 例えば、補助金を投じたある工業団地では規模の大きなコージェネシステムを導入し、その中の幾つかの工場が熱と電気を融通し合いながら活用しています。ここにICT(情報通信技術)で制御する仕組みを加えれば、ライドシェアサービスの「Uber」や空部屋シェアサービスの「Airbnb」のような、全く新しいサービスが生まれるかもしれません。設備、ICT機器等への新たな投資も引き出せるのではないかと思います。

 
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プロフィール
藤木 俊光(ふじき としみつ)氏

藤木 俊光(ふじき としみつ)
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
1988年、通商産業省(現経済産業省)入省。富山県商工労働部長、知事政策室長、中小企業庁長官官房政策企画官、事業環境部金融課長、経済産業省大臣秘書官事務取扱、製造産業局産業機械課長、経済産業政策局企業行動課長、経済産業政策局経済産業政策課長、大臣官房総務課長を経て、2015年7月から現職。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学 特命教授/名誉教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授/名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。

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来る2月15日、コージェネ財団は、「IoTネットワークによる超スマートシティへのアプローチ」をテーマに、「コージェネシンポジウム2018」を東京・千代田区のイイノホールで開催します。翌16日には、テクニカルツアーも実施します。ぜひご参加ください。

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