インタビュー

特別対談[後編] 総合エネルギー企業の創生で新たな経済成長を

特別対談[後編] 総合エネルギー企業の創生で新たな経済成長を
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2014年1月20日(月)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

エネルギー政策は、日本の経済再生と不可分だ。安倍晋三内閣が推し進める経済政策「アベノミクス」の第3の矢である「成長戦略」の具現化において、重要な役割を担う。安定供給を確保するとともに新たな成長をもたらす上で、コージェネレーション(熱電併給)システムを中核とするスマートエネルギーネットワークの導入拡大や、スマートメーターの普及による双方向性の実現など、最新の技術を取り込んだ革新的なエネルギーインフラの構築に大きな期待がかかる。エネルギー産業のパラダイムシフトを起こしたいと語る上田隆之 資源エネルギー庁長官。総合的なエネルギー企業の実現と、その国際展開の重要性を強調する柏木孝夫 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター理事長。お二人に、これからのエネルギー産業の目指すべき方向について議論していただいた。

スマートメーターはコージェネの普及も後押し

柏木孝夫氏(以下敬称略):電力の自由化はこれまでも段階的に進んできました。小売りの部分自由化で、現在、契約電力50kW以上の需要家に対しては、既存の電力会社だけでなく、新規参入した「新電力(特定規模電気事業者)」も電力を供給できるようになっています。

 しかし、現在のところ、新電力が獲得したシェアは3.5%に過ぎません。50kW以上となると大がかりで、ベース電源となるような大規模電源を持っていないと、新規に電力事業に進出しにくかったからです。

 今後、家庭まで含めて全面自由化されれば、いろいろなビジネスモデルが生まれ、経済活性化につながると期待できます。既に民間企業の間では、全面自由化を念頭に置いて新しいビジネスモデルを開発しようという動きが一気に広がってきています。

「自由化によって、家庭用サービスと法人用サービスを統合した新しいビジネスが出てくるはずです」と上田氏は話す
「自由化によって、家庭用サービスと法人用サービスを統合した新しいビジネスが出てくるはずです」と上田氏は話す

上田隆之氏(以下敬称略):かつての通信の自由化と同様のことが起きると思います。通信自由化では、新たな通信事業者がたくさん誕生しました。今、通信事業者は固定電話、携帯電話、テレビ、インターネットと幅広い事業を総合的に手掛けています。エネルギー分野でも、自由化によって、家庭用サービスと法人用サービスを統合した新しいビジネスが出てくるはずです。

 カギになると考えているのが情報通信技術です。需要家のニーズが供給事業者にきっちり伝わってこそ、新しいビジネスモデルが生まれるからです。30分、1時間といった単位で需要家がどれぐらいの電力を使っているかという情報を正確に把握することが重要で、そのために必要なのが「スマートメーター」です。全戸に導入することを目標に掲げています。

 例えば、夜にたくさんの電気を使う人には、夜の電気料金が安い事業者が電力を供給する。「高くても再生可能エネルギーによる電気だけを買いたい」という人には再生可能エネルギーのメニューを持つ事業者が電力を供給する。スマートメーターを通じて、今まで隠れていたニーズが供給事業者に伝われば、そのニーズに対応できる事業者が電力を供給するシステムが構築できるようになります。

柏木: 確かに、コージェネや再生可能エネルギーの普及を進める上でも、きめ細かなエネルギー制御を可能にするスマートメーターは要となる存在です。この分野で、日本は世界市場に向けた成長戦略を立てる必要があると思います。一時期、それぞれの電力会社が自らの供給エリアだけに適用できるスマートメーターを開発するような動きがありましたが、それでは国際的な競争には勝てません。

 
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プロフィール
上田隆之(うえだ・たかゆき)氏

上田隆之(うえだ・たかゆき)
経済産業省 資源エネルギー庁 長官
1980年3月東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課長、同庁省エネルギー・新エネルギー部長などを経て2008年7月大臣官房審議官(エネルギー・環境担当)に。2010年3月総括審議官、同年7月大臣官房長、2011年8月製造産業局長、2012年9月通商政策局長を歴任。2013年6月より現職。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター 理事長
東京工業大学 特命教授、東京都市大学教授
1970年東京工業大学工学部生産機械工学科卒業。大学院博士課程を経て79年博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、2012年より特命教授。2013年より東京都市大学教授も兼務。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会長、同調査会基本政策分科会委員などを務める。