2040年のエネルギーミックスなどを決める第7次エネルギー基本計画の策定が始まっている。ロシアによるウクライナ侵略や中東の緊張の高まりなどから、エネルギー安全保障に改めて注目が集まる。
一方、世界各地で気候変動によるとも指摘される異常気象が多発するなど、気候変動への対応は待ったなしの状況にある。2050年カーボンニュートラル達成に向け、日本はどのようなトランジションを実施し、エネルギーのベストミックスを実現するべきか。日本のエネルギー政策の立案・実行を担う資源エネルギー庁の村瀬佳史長官と、エネルギーシステム研究の第一人者で、エネルギー政策にも長年かかわってきた東京工業大学名誉教授、コージェネ財団理事長の柏木孝夫が語り合った。(※特別対談は2024年9月11日に行われました。)
柏木孝夫氏(以下敬称略): 2040年のエネルギーミックスなどを定める第7次エネルギー基本計画の策定が始まっています。
カーボンニュートラルに向けて、日本はどうトランジションを実施し、エネルギーのベストミックスを実現するのか。今後のエネルギーシステムのあり方を考えた時、私自身は原子力も含め選択肢を削らず、大規模型電源と分散型電源を共存させた百花繚乱のエネルギーシステムを構築することが重要だと考えていますが、最前線ではどんな議論が進んでいますか。
村瀬佳史氏(以下敬称略): 2024年は第7次エネルギー基本計画策定に向けて大事な1年です。春に岸田文雄前首相から策定の指示をいただき、5月から総合資源エネルギー調査会で月に2回程度のペースで、集中的に様々な議論を行っています。
第6次エネルギー基本計画を策定した際との状況の違いとしては、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化などの地政学リスクの高まりを受け、改めてエネルギー安全保障への関心が高まっていることなどがあります。1973年、第1次オイルショックが起きましたが、その同年エネルギー安全保障への危機感が高まる中、資源エネルギー庁は設立されました。国際エネルギー機関(IEA)は翌年の設立です。
半世紀を経て、再びエネルギー安定供給やエネルギー安全保障が大きなテーマに浮上してきた形です。
一方、半世紀前とは明確に違うのが、地球温暖化の抑制に向けた取り組みを強化しなければならないことです。2025年には国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開かれますが、それに先立ち、「国が決定する貢献(NDC)」の2025年2月までの提出が求められています。こうした中で検討されている、第7次エネルギー基本計画では、エネルギー安定供給と地球温暖化問題への対応の両立が重要な論点になると考えています。