インタビュー

新春特別対談 エネルギーインフラの未来 地域を活性化する「真の地産地消型システム」構築を(後編))

新春特別対談 エネルギーインフラの未来 地域を活性化する「真の地産地消型システム」構築を(後編)
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2020年1月15日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

エネルギー分野に精通し、2019年に「真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟」を立ち上げ会長を務める衆議院議員の古屋圭司氏と、エネルギーシステム研究の第一人者として国のエネルギー政策に長年かかわってきた東京工業大学特命教授/名誉教授でコージェネ財団理事長の柏木孝夫氏による対談の後編。2050年までに温室効果ガス排出量を2013年度比80%削減するという目標実現のため、日本は先行する核融合発電の研究開発を支援すること、都心部でも利用可能な地中熱の活用推進が必要であることなどを語り合った。エネルギーの消費動向を活用したデータビジネスの有望性についても確認した。古屋氏は、今後、議員連盟が地産地消型エネルギーシステムの成功事例をつくることを目指し、一番手を走る人たちを徹底的に支援していくと力強く語った。

核融合発電の技術開発を徹底的に支援

柏木孝夫氏(以下敬称略): これまで旧一般電源事業者はピークに合わせて電源立地をしてきました。運送業にたとえれば、1年に3~4日しか動かないトラックを100台のうち7~8台も抱えていたということです。そこに運転手を付け、保険をかけ、メンテナンスをしていたら、自由化による市場原理の中では生き残れません。これからは、自然エネルギーも取り込み、調整用にコージェネレーション(熱電併給)システムを導入した分散型電源の普及が不可欠です。一方で、パリ協定発効に伴い、日本政府は2050年までに温室効果ガス排出量を2013年度比80%削減という目標を立てています。リアリティーのある解として、原子力発電は外せません。

「原発は他に代替性のあるベースロード電源がないのですから、やらざるを得ません。私自身は2050年までには核融合発電が実用化の土俵にのってくると思っています。将来世代のために、現在を生きる我々政治家が、徹底的に技術開発を支援する必要があると思っています」(古屋氏)
「原発は他に代替性のあるベースロード電源がないのですから、やらざるを得ません。私自身は2050年までには核融合発電が実用化の土俵にのってくると思っています。将来世代のために、現在を生きる我々政治家が、徹底的に技術開発を支援する必要があると思っています」(古屋氏)

古屋圭司氏(以下敬称略): 分散型エネルギーシステムの普及を進めても、電力需要のすべてをまかなうことはできません。大規模発電所は絶対に必要です。一部のメディアは「原発に賛成か反対か」というセンチメンタルな議論を進めていますが、こんなことをしても全く何の解決にもなりません。エネルギー基本計画では原子力発電をベースロード電源にすると明記しています。原発は今、いろいろな批判を受けていますが、正直言って、やらなくていいならやりたくない。やらない方がいいに決まっています。しかし、残念ながら他に代替性のあるベースロード電源がないのですから、現実的にはやらざるを得ません。

 私自身は、2050年までには核融合発電が実用化の土俵にのってくると思っています。核融合発電は海水中に含まれる重水素を燃料とします。ウラン燃料を使わず、核廃棄物も出さない究極のクリーンエネルギーで、実現すれば当然、原発に代替するものとなります。核融合発電では日本独自のヘリカル方式、フランスを中心とするイーター方式などの研究が進んでいます。ヘリカル方式が少し先行し、現在のところ4千数百秒間、温度を維持することができます。これを365日維持できれば完成です。将来世代のために、現在を生きる我々政治家が、徹底的に技術開発を支援する必要があると思っています。

 
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プロフィール
古屋 圭司(ふるや・けいじ)氏

古屋 圭司(ふるや・けいじ)
衆議院議員
真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟会長
資源確保戦略推進議員連盟会長
1952年生まれ。90年岐阜県第5選挙区(多治見市・土岐市・瑞浪市・恵那市・中津川市)に初当選。以来10期連続当選。法務政務次官、経済産業副大臣、衆議院商工委員長、文部科学委員長を務める。2012年12月、第2次安倍晋三内閣で国務大臣(国家公安委員会委員長、拉致問題担当、防災担当、初代国土強靭化担当)に就任。16年自由民主党選挙対策委員長、17年衆議院 議院運営委員長等を歴任。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学特命教授/名誉教授
コージェネ財団理事長
1946年東京都生まれ。70年東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年博士号取得。80~89年米商務省NBS招聘研究員、88年東京農工大学工学部教授などを経て2007年東京工業大学大学院教授に就任。12年東京工業大学特命教授に。専門はエネルギー・環境システム。03年日本エネルギー学会学会賞(学術部門)、08年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)など受賞多数。経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長、同調査会総合部会委員等でも活躍。著書に『スマート革命』『エネルギー革命』『コージェネ革命』『超スマートエネルギー社会5.0』など。

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コージェネ財団は、SDGsの推進およびコージェネのSDGsに対する貢献の紹介を目的として、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構 理事長 村上周三氏を顧問に、東京農工大学教授 秋澤淳氏を主査とし会員企業より構成するワーキンググループを設立し、「コージェネレーションのSDGsへの貢献 参照ガイド」と「コージェネ提供価値アイコン」を作成、これを広くご利用いただけるようにいたしました。

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