インタビュー

[新春特別対談] 水素社会実現による新たな価値創生 2020年、東京を水素社会のショーケースに(前編)

[新春特別対談] 水素社会実現による新たな価値創生 2020年、東京を水素社会のショーケースに(前編)
2017年12月27日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

再生可能エネルギーから製造でき、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない究極のクリーンエネルギーとして、水素エネルギーへの注目が高まっている。水素エネルギーの活用は脱炭素社会を実現するための重要な切り札となり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックは日本の水素社会に向けた取り組みをアピールする絶好のチャンス。水素エネルギー普及に向けた現在の状況と今後の課題について、自民党議員連盟「FCV(燃料電池自動車)を中心とした水素社会実現を促進する研究会」の会長を務める元経済産業大臣の小渕優子 衆議院議員とエネルギーシステム研究の第一人者として国のエネルギー政策に長年かかわってきた東京工業大学の柏木孝夫 特命教授/名誉教授が議論、提言する。

福島でつくった水素を東京で使う

柏木孝夫氏(以下敬称略): 「パリ協定」の発効で、各国の温暖化抑制に向けた取り組みは待ったなしとなっています。注目すべきが水素エネルギー。再生可能エネルギーから製造でき、発電効率が高く、二酸化炭素(CO2)を発生しない水素は究極のエコエネルギーであり、今後、日本は水素社会を実現していくことが求められています。

 小渕さんが会長を務める自民党議員連盟「FCV(燃料電池自動車)を中心とした水素社会実現を促進する研究会」(通称:水素議連)は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにおいて、日本の水素・燃料電池分野の技術や取り組みを世界に発信し、「水素によるおもてなし」を実現しようと東京都の小池百合子知事に提言されたそうですね。

「ぜひ実現したい具体策の一つが、福島県内で再生可能エネルギーを使って製造した水素を東京に持ってきてエネルギー源とすること。選手村で使うほかにFCVやバス、できれば船にも使いたい。聖火リレーに使うトーチにも取り入れたいですね」(小渕氏)
「ぜひ実現したい具体策の一つが、福島県内で再生可能エネルギーを使って製造した水素を東京に持ってきてエネルギー源とすること。選手村で使うほかにFCVやバス、できれば船にも使いたい。聖火リレーに使うトーチにも取り入れたいですね」(小渕氏)

小渕優子氏(以下敬称略): 東京オリンピック・パラリンピックは日本の技術や取り組みを世界に披露する絶好の場です。私たち水素議連は競技会場、選手村、ホテル、商業施設、交通手段を水素エネルギーによって運営することで、オリンピック・パラリンピックを水素関連の製品・技術を輸出するための「水素ショーケース」としたいと動いています。小池知事は水素議連の前会長。よい連携ができると思います。

 水素議連には水素やエネルギーに関心が高い議員が100人以上集まり、活発に議論しています。私は2016年10月に会長に就任しましたが、こんなに頻繁に開かれる議連はなかなかないと思いますね(笑)。色々なところに視察に行ったり、企業の方からレクチャーを受けたりしながら水素社会に対する認識を深めているところです。

 私たちは自民党政務調査会内の資源エネルギー戦略調査会水素社会推進委員会(渡辺博道委員長)とも密接に連携しています。水素議連で議論したことを委員会に持ち込み、党の決裁にしてもらうという道筋も出来上がっているのでスピーディーに物事が進みます。責任は重大ですが、やりがいがあります。

柏木: 再生可能エネルギーによって発電した電力を水素に変えておけば、いつでも燃料電池で発電できます。太陽光発電や風力発電は天候による変動性が高いのが難点ですが、その調整機能を果たせます。BCP(事業継続計画)性にも優れていますから、オリンピックやパラリンピックのような一大イベントには重要な役割を果たすことができますね。

小渕: 水素議連の提言は、これから東京都でもよく議論していただきたいと思いますが、ぜひ実現したい具体策の一つが、福島県内で再生可能エネルギーを使って製造した水素を東京に持ってきてエネルギー源とすること。選手村で使うほかにFCVやバス、できれば船にも使いたい。聖火リレーに使うトーチにも取り入れたいですね。東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所での原発事故に苦しんだ福島で、環境に優しい技術を使ってつくり出したエネルギーを東京で使うことには、とても大きな意味があります。福島復興を世界に発信しつつ、水素社会実現のモデルケースを構築したいと考えています。

 
前ページ前ページ 123 次ページ次ページ
 
インタビュー 記事一覧
 
 
 
プロフィール
小渕 俊光(ふじき としみつ)氏

小渕 優子(おぶち ゆうこ)
元経済産業大臣
自由民主党 衆議院議員
自民党議員連盟「FCV(燃料電池自動車)を中心とした水素社会実現を促進する研究会」(通称:水素議連)会長
1973年群馬県生まれ。96年成城大学経済学部卒業。2006年早稲田大学大学院修了。1996年東京放送入社。99年衆議院議員秘書を経て2000年衆議院議員に当選。06年文部科学大臣政務官、08年内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画・公文書管理・青少年問題・食育)、10年自民党人事委員長、11年自民党幹事長代理に就任。12年第2次安部内閣で財務副大臣を務める。13年衆議院文部科学委員長を経て14年第2次安部改造内閣で経済産業大臣および内閣府特命担当大臣(産業競争力・原子力経済被害・原子力損害賠償・廃炉等支援機構)に。16年10月に水素議連会長に就任。群馬県第5区で当選7回。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学 特命教授/名誉教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授/名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経済産業省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。

News & Topics

経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取りまとめた「第5次エネルギー基本計画(案)」が公開され、当財団としてパブリックコメントを提出いたしました。その結果および「第5次エネルギー基本計画におけるコージェネの位置づけ」について、資料を取りまとめております。

詳細はこちら詳細はこちら

一般財団法人
コージェネレーション・
エネルギー高度利用センター

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-4
アーバン虎ノ門ビル4階
TEL. 03-3500-1612
FAX 03-3500-1613