柏木孝夫氏(以下敬称略):総務省が昨年11月に立ち上げた「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」では、地域活性化における重要なキーワードとして「サービス・イノベーション」を挙げています。イノベーションとは、構造変革によって新たな付加価値を生み出すこと。確かに自治体が分散型エネルギーを取り入れることで、色々な付加価値のあるサービスを生み出す可能性があります。
例えば、高齢化への対応です。一人暮らしの高齢者は増えていく一方。住民一人ひとりのエネルギー使用情報を自治体が持つようになれば、家族に安否を知らせる「見守りサービス」を提供することもできる。安心・安全に暮らせる自治体には人が集まってくるはずです。
高市早苗氏(以下敬称略):そうですね。やむを得ず離れて暮らしている家族に情報を伝えるというのも、自治体の新たなサービスになり得ます。
イノベーションとは、技術革新の成果が国民に還元され、活用されるまでのプロセス全体だと思っています。サービス・イノベーションを実現する上で障害となるような規制は緩和していかなくてはなりませんし、自治体や事業者も知恵を絞って新たなサービスを生み出すことが必要です。

「自治体主導で地域エネルギーシステムを整備し、民間の経営センスやノウハウも生かして、様々なサービス・イノベーションを実現できれば、地域は活性化します」(柏木氏)
柏木: 様々なサービス・イノベーションを生み、雇用を生むような自治体改革が必要ですね。「改革」というと、リストラのイメージを持たれがちですが、決してそんなことはない。
自治体主導で地域エネルギーシステムを整備し、エネルギーを売買するようになれば、キャッシュの流れが生まれます。
ここで民間の経営センスやノウハウも生かして、生活総合支援事業を請け負うなど、様々なサービス・イノベーションを実現できれば、地域は活性化します。ドイツの公益事業体「シュタットベルケ」のようなものを、日本に適した形でつくり、成長させるということです。
高市: イノベーションは、省エネ分野でも大いに求められます。
東日本大震災の直後には、日本中がエレベーターを止める、電気を消すなど、「我慢する」省エネに進みました。みんなでそうやって協力し合いながらやりくりしたのは貴い経験ではあります。けれど、それまで2フロアで働いていた従業員が1フロアで働くようになったり、薄暗い中で暑さや寒さを我慢して働くということでは、「労働安全衛生法」上の新たな問題を生みかねません。
イノベーションによってエネルギー効率の高い、省エネを実現できる製品を生み出す。それがたくさん売れることによって税収が増える。雇用が増える。利用者側も必要なエネルギーを使って快適な環境を得られるというのが、うれしい省エネの形だと思います。
柏木: そこに地場産業が食い込み、省エネした分の一部を対価として受け取るESCO(Energy Service Company)型のサービスを提供すれば、地域の発展にもつながりますね。産業は省エネ機器をたくさん売り、自治体は税収が増え、利用者はエネルギー費用が安くなる。三者にとって「WIN・WIN・WIN」の関係をつくることも夢ではありません。