インタビュー

特別対談[前編]
これからのエネルギー産業と
高まるコージェネへの期待

パラダイムシフトを成長の起爆剤に

上田: 我々がエネルギー政策で実現したいと考えているのは、まさにエネルギー産業のパラダイムシフトを起こすことです。

 エネルギー市場はこれまで電力、ガス、石油など縦割りの産業になっていました。これに横串を刺してエネルギー市場をひとつのものとしたい。そこに異業種の企業にも参加してもらい、新しいエネルギー産業の担い手になってもらいたいのです。

 例えば、今まで電力会社は電力を売る会社でしたが、将来はガスも売ることができるようになる。ガス会社も電力を自由に売ることができるようになる。さらには自動車メーカーや住宅メーカーも電力を売ることができ、しかも、自社で売っている電気自動車や住宅に対しては安い料金で提供できる。そういうイメージです。

 日本経済の成長の起爆剤となるようなエネルギー産業のパラダイムシフトを起こしたいと考えています。

「燃料電池によるコージェネレーション(熱電供給)システムなど、発電効率が高い新しい技術も十分に活用できるようになるでしょう」と話す柏木氏
「燃料電池によるコージェネレーション(熱電供給)システムなど、発電効率が高い新しい技術も十分に活用できるようになるでしょう」と話す柏木氏

柏木: 今後は大規模一辺倒だったエネルギーシステムが、大規模型と分散型とが共存するシステムへと変わると思います。例えば燃料電池によるコージェネレーション(熱電供給)システムなど、発電効率が高い新しい技術も十分に活用できるようになるでしょう。

 コージェネの発電効率は50%に迫ろうとしています。家庭用燃料電池「エネファーム」も、純粋な水素を燃料とすれば、700Wクラスの小型なものでも発電効率50%に達します。光電変換を使った太陽光発電、電気化学を使った燃料電池など新しい分野で技術革新が進んでいることもパラダイムシフトを加速するように思います。

上田: 全くその通りだと思います。

 これまでの電力システムには「一般電気事業者」という概念がありました。一般の需要家に対して電気を供給する東京電力、関西電力のような電力会社のことです。電力システム改革後はそういう概念はなくなり、発電する人はみな発電事業者という考え方に変わります。

 発電事業者の中には、火力発電所や原子力発電所で発電する大きな事業者もいる。再生可能エネルギーやコージェネで発電する小さな事業者もいる。みんなが電気の作り手であり、売り手であり、買い手となる。エネルギーシステムをこれまでの一方通行のものから、双方向へと変えていきたいと思います。

 コージェネの場合、電力だけでなく熱も有効活用でき、総合エネルギー効率が高いのが特長です。また天候に左右される再生可能エネルギーと異なり、安定的に電力、熱を供給することができ、バックアップ電源の役割を担えることも大きなメリットです。発電事業者として、発電した電気をいろいろな形で売ることができれば、新しい世界が広がります。

 大規模電源と、コージェネなどの分散型電源を、ベストミックスの形で組み合わせていくのが、将来の日本の望ましいエネルギーシステムの姿だと思います。

 
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プロフィール
上田隆之(うえだ・たかゆき)氏

上田隆之(うえだ・たかゆき)
経済産業省 資源エネルギー庁 長官
1980年3月東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課長、同庁省エネルギー・新エネルギー部長などを経て2008年7月大臣官房審議官(エネルギー・環境担当)に。2010年3月総括審議官、同年7月大臣官房長、2011年8月製造産業局長、2012年9月通商政策局長を歴任。2013年6月より現職。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター 理事長
東京工業大学 特命教授、東京都市大学教授
1970年東京工業大学工学部生産機械工学科卒業。大学院博士課程を経て79年博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、2012年より特命教授。2013年より東京都市大学教授も兼務。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会長、同調査会基本政策分科会委員などを務める。