インタビュー

特別対談[後編]
総合エネルギー企業の創生で
新たな経済成長を

総合エネルギー企業が国際競争力の源泉に

上田: おっしゃる通りです。標準化されたインターフェースで、需要家のデータが供給事業者に提供されることが基本であり、それによって競争は進みます。そういう方向で指導しています。

 需要家のニーズに対応した電力供給システムを構築するには、需給調整のノウハウや、調整するためのプログラムなども必要になります。スマートメーターにソフト、サービスなどを一体化したシステムは日本の強みとなり、世界市場でも競争力を持つものになると思います。

「「エネルギーシステムの国際的な展開も目指してほしい。日本の成長戦略を支える数少ないメニューのひとつになると思うからです」と柏木氏は話す
「エネルギーシステムの国際的な展開も目指してほしい。日本の成長戦略を支える数少ないメニューのひとつになると思うからです」と柏木氏は話す

柏木: 今回のエネルギー基本計画の出口は、「総合的なエネルギー企業」の創生だと考えます。電力、ガスは万国共通の商品です。これまで日本は、工業国家として成熟するために、エネルギーの安定供給を最も重視していました。今後は、それを成し遂げつつ、エネルギーシステムの国際的な展開も目指してほしい。日本の成長戦略を支える数少ないメニューのひとつになると思うからです。

上田: 世界のエネルギー会社は探鉱、開発、生産といった上流部門から輸送、精製、販売など下流部門まですべてを手掛けています。今まで、日本のエネルギー会社は電力もガスも内向きでしたが、大きなパラダイムシフトの結果、日本の電力会社、ガス会社ももっと大きくなり、上流部門から下流部門まで、また電力・ガスから再生可能エネルギーまで、ありとあらゆるものを扱う、総合的なエネルギー企業へと変貌するでしょう。それらの企業は日本の新しい国際競争力の源泉になると信じています。

 日本が持つ技術や能力を世界の温暖化問題の解決に役立てることにも、もっと積極的に取り組むべきと思います。例えば、日本の最先端の石炭火力発電所の技術を米国、中国、インドに導入すると、日本の総排出量を上回る15億tものCO2を削減できます。

 今回の基本計画見直しで、我々は国際的な視点を取り入れることを重視していました。米国のシェールガスが、中東やロシアに影響を与え、ひいては日本のエネルギー戦略にも関係するなど、もはやエネルギー政策は国際的視点抜きには語れないからです。

柏木: 今回のエネルギー基本計画で「国際的視点」と「経済成長」が取り入れられたことを非常に評価していますし、日本の成長戦略に、エネルギーを中心とした成長戦略が織り込まれることを期待しています。そのひとつが、コージェネを核としたスマートコミュニティ構築による経済成長への貢献であり、主に新興国を対象とした新たなエネルギーインフラとして海外展開することなどで成長戦略につながると確信しています。また、東京オリンピックは世界に向けて日本の革新的なエネルギーシステムをPRする絶好の機会にもなり得るでしょう。

 
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プロフィール
上田隆之(うえだ・たかゆき)氏

上田隆之(うえだ・たかゆき)
経済産業省 資源エネルギー庁 長官
1980年3月東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課長、同庁省エネルギー・新エネルギー部長などを経て2008年7月大臣官房審議官(エネルギー・環境担当)に。2010年3月総括審議官、同年7月大臣官房長、2011年8月製造産業局長、2012年9月通商政策局長を歴任。2013年6月より現職。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター 理事長
東京工業大学 特命教授、東京都市大学教授
1970年東京工業大学工学部生産機械工学科卒業。大学院博士課程を経て79年博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、2012年より特命教授。2013年より東京都市大学教授も兼務。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会長、同調査会基本政策分科会委員などを務める。