柏木: ドイツのシュタットベルケ(都市公社)のように、自治体主導で地域の電気やガス、水道などを供給するインフラサービス会社を日本でも展開するのが望ましいと考えます。シュタットベルケは託送料のような対価を徴収するのですが、地域エネルギーを取り込んだビジネスについては、民間に任せるという形です。民間のノウハウも入れることで、非常に発展的なモデルになります。
増田: 先ほど柏木先生がおっしゃられたように、ネットワークや制御などの技術の進展によって、電気やガスと併せて排熱もうまく活用しながらエネルギー効率を高めることができるようになりました。各地域の特性に合ったタイプのエネルギーを中心とした、コンパクトシティづくりが可能になってきたと思います。

「自治体主導で地域の電気やガス、水道などを供給するインフラサービス会社を日本でも展開するのが望ましいと考えます」(柏木氏)
柏木: エネルギー革命の根幹は、実は自治体革命なんですよね。
増田: そういう意味でも、人口減少というマイナスで暗い課題に対して、もし明るい希望を見出すとすれば、今までの街づくりや、地域の生活のあり方を一新させる出発点とすることです。このような状況でなければ、自治体も行政も、街づくりも、なかなか変わらないでしょう。エネルギーを中心にしたコンパクトな街づくりについて、改めて考え直す好機と見るべきだと思います。とはいえ、資金はあまりありませんから、地域に効果的にお金を回すことで民間の投資機関を呼び込むなど、二つも三つもメリットを積み重ねた仕組みが必要です。
柏木: スマートコミュニティが築かれると、ICTでエネルギーの情報を収集できて、それを活用した「見守りサービス」なども可能になりますから、安心・安全な暮らしを実現できます。自治体が運用するのであれば、見守りサービスの安心感もより高まりますよね。エネルギーの使用状況を把握するということは、生き様そのものを見るのと同じですから、よく分からない事業者に任せるのは心配でしょう。官がその役割をきちんと果たすことで、新たなビジネスモデルが出てくると考えます。
自治体革命は、シュタットベルケのような新しい地域創生につながると考えますが、それを実現していくためには、国や県、市町村はそれぞれどのような役割分担で推進したらよいでしょうか。
増田: 大枠はやはり国や都道府県が設計するべきだと思います。国や県が各地域の人口減少について把握する。一方で、地域の生活者にダメージを与えないように、むしろ将来の発展に導くような絵を描き、その処方箋を書くのは、市町村が自由にアイデアを出しながら行う。そして全体の監督は都道府県が担い、人口フレームとうまく合致するかどうか照らし合わせながら調整していくような方法が良いと考えます。そして、それを実行する上で民間資金をどのように集め、投入するのか、それは市町村ごとの競争だと思います。
このような形で、エネルギーを中心にしながら自治体行政が変わってくれば、海外へ打って出るなど、次の話へとつながっていくのではないでしょうか。地域のグローバル企業をダイレクトに海外へ持って行っても良いでしょうし、あるいは、行政が環境制御の技術を海外の自治体とお互いに提供し合うなど、色々なアイデアが膨らんでくると思います。