インタビュー

[特別対談]ローカル・アベノミクスとエネルギー
分散型エネルギーシステムがもたらす
サービス・イノベーションと地方創生(後編)

為替変動に強い地方経済を

高市: 2015年、私がもう一つの目標として持っているのは、「為替変動に強い地方経済構造をつくること」です。為替変動は常に起きます。経済がグローバル化する中、為替の問題は日本単独で何か策を講じて防げるものではありません。先見性のある経営者は、1ドル80~150円の広い変動幅を前提に、どのような状況でも対応できるようリスク管理し、経営戦略を立てていると思います。

「地方ごとに自給自足型の経済をつくれば、円安になろうが円高になろうが、ビクともしません。特に食料とエネルギーは、ある程度は地域内で調達すべきだと思います」(高市氏)
「地方ごとに自給自足型の経済をつくれば、円安になろうが円高になろうが、ビクともしません。特に食料とエネルギーは、ある程度は地域内で調達すべきだと思います」(高市氏)

 これから先、1ドル150円のラインを超えて円安に進むことがあれば、製造業の国内回帰も大きく進むと思います。これは地方にとって大きなチャンス。国内回帰の気運が高まった時に、地方に戻ってもらえるよう、環境を整備しておかなくてはなりません。

 地方ごとに自給自足型の経済をつくれば、円安になろうが円高になろうが、ビクともしません。特に食料とエネルギーは、ある程度は地域内で調達すべきだと思います。そのためには、生産者が、きちんとした供給力を持たないといけません。

 食料に関しては、学校給食に地域で生産したものを使おうという動きが盛んになってきています。ただし現状では、残念ながら生産力が需要に追いついていない地域がほとんどですね。

 エネルギーは今後、地産地消型の分散型エネルギーシステムを導入していくことで、ずいぶん変わってくると思います。

柏木: 私は、自治体主導の地域エネルギーシステムを構築していく上で重要なのは、省庁連携だと思っています。ICT(情報通信技術)は旧郵政省、自治体は旧自治省の管轄です。エネルギーとICTが一体化したスマートコミュニティの実現には、まずは総務省が持てる力を存分に発揮することが必要です。

 さらに、今までにない、新しいシステムをつくり上げるために、資源エネルギー庁、林野庁、農林水産省などとも連携を深め、一体となって付加価値を生み出し、地域活性化につなげていかなくてはなりません。

高市: 昨秋の大臣就任直後に、総務省と全自治体の共同データベースである「地域の元気創造プラットフォーム」に、経済産業省の日本貿易振興機構(ジェトロ)、中小企業基盤整備機構(中小機構)を接続させることにしました。既に省庁連携は始まっていますし、今後も新たな連携の形が出てくると思います。

 こうして、自治体主導で新たにつくりあげる地域エネルギーシステムは地域によって様々な使い方がされると思います。工場、住宅、観光、医療、農業など多様な活用によって、各地の特色も出てくるでしょう。将来的には世界に誇れる日本の地方経済モデルとして発展させていきたいと思います。

柏木: 力強いお言葉、ありがとうございます。期待が大いに膨らみます。

 
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プロフィール
高市早苗(たかいち・さなえ)氏

高市早苗(たかいち・さなえ)
総務大臣
自由民主党 衆議院議員
1961年生まれ。奈良県出身。84年、神戸大学経営学部経営学科卒。89年、松下政経塾卒塾。93年、衆議院議員に初当選、現在は7期目。通商産業政務次官、経済産業副大臣、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、イノベーション、少子化・男女共同参画、食品安全など19分野を担当)などを歴任し、2014年9月より総務大臣。自由民主党の政務調査会長、広報本部長なども歴任。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
東京工業大学 特命教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。総務省が2014年11月に立ち上げた「自治体主導の地域エネルギーシステム研究会」の座長も務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」など。