インタビュー

[特別対談]電力自由化と新たな経済成長
電力小売り全面自由化がもたらすインパクトと
分散型エネルギーシステムの可能性(後編)

制度やルールの柔軟性が最大の支援に

「自由化を機に、分散型でも効率の高いものは、経済性も良くなり投資が進む可能性があります」(柏木氏)
「自由化を機に、分散型でも効率の高いものは、経済性も良くなり投資が進む可能性があります」(柏木氏)

柏木: コージェネは熱電併給で効率も上がってきた。自由化になるとキャッシュの流れもできて、投資家もメリットを感じるようになるでしょう。こうした民間の投資を喚起して、アベノミクスにプラスにするためには、例えば熱導管を、公益性のある事業として捉えて、後押しするということも必要だと思います。

 例えば、ゴミ焼却炉の排熱を流し込む熱導管を市庁舎までつなげば、そこに適切な規模のコージェネが入り、デマンドもコントロールして、なるべくピークを出さずに、系統への負荷を軽減できるようになる。ローカルな自然エネルギーも取り込みやすくなる。

 そうなれば、大規模集中型の電源は少し減ってくるけれども、効率の高いものだけが残って、稼働率が上がる。これが、低炭素型国家を実現する一つの柱になると思います。

日下部: 公益性のある施設にも、いくつかタイプがあります。例えば、エリアが特定される鉄道みたいなものは、そこで使う人が費用を払うわけです。

 自分が使ったかどうか分からないけれども、みんなのために費用を払うものもあります。送配電ネットワークがそうですし、再生可能エネルギーの賦課金もそうですよね。この電気型のように設計するのか、それとも鉄道型のようにするのか。

 熱導管の場合は、それほど規模が大きくないので、鉄道型なのかもしれませんね。エリアを特定して、そこの需要家のコンセンサスを得て、共通して使う共有財産を建設するための、例えば仲介ルールのような、新たなルールづくりが必要なのかもしれません。

柏木: これからはエネルギーもコンパクト&ネットワークですよね。適切な規模のコンパクトシティ化、コンパクトコミュニティ化を進めて、そこで合理的にローカルエネルギーを取り込み、さらに全国規模のネットワークの中でうまく機能させる。それを目指すべきでしょう。

日下部: エネルギーの世界は、部分自由化を始めた段階では、技術の革新などあまりない、それならばシステムも変える必要がないと考えられていました。けれども、石油の世界一つをとっても、シェールの技術が出ることで、価格が劇的に下がるということが起こった。電力システムも、再生可能エネルギーなんてだめなんじゃないかと言われていた時代があったけれども、実は立地場所を選べば、相当程度、競争力があることも分かってきました。その需給のマッチングが大変だという議論になってくると、需要制御の技術も進展した。そういう変化を我々は実際に見てきました。技術革新のタネはたくさんあるということです。

 電気事業の制度だとか、エネルギーシステムの規制制度だとかは、そうした新たな事態が起これば、臨機応変に変えていくというような柔軟性があると、実は、産業の発展や経済成長に資する最大の支援になるのだと、私は思います。

柏木: 資源エネルギー庁が、そして長官ご自身が、こういうお考えで、とても積極的に、ポジティブに取り組んでおられる。非常に心強いです。それを、ひしひしと感じることができました。

 
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プロフィール
日下部 聡(くさかべ さとし)氏

日下部 聡(くさかべ さとし)
経済産業省 資源エネルギー庁 長官
1960年生まれ。82年、横浜国立大学経済学部卒、通商産業省(現・経済産業省)入省。89年、米国ロチェスター大学留学。97年、資源エネルギー庁公益事業部公益事業制度改正審議室長。2002年、経済産業政策局産業組織課長。10年7月、大臣官房審議官(経済産業政策局担当)。同年10月、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)。12年、大臣官房総括審議官。13年、官房長。15年7月より現職。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学 特命教授/名誉教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授・名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。