インタビュー

[コージェネ普及セミナー対談]
これからの日本のエネルギー
~エネルギーミックスと分散型電源~(前編)

「見える化」で省エネ行動を喚起

「自由化が進めば、稼働率の低い設備は落としていかざるを得ないでしょう。大規模電源は、コージェネなどの分散型電源へのシフトしていくのが自然な流れです」(柏木氏)
「自由化が進めば、稼働率の低い設備は落としていかざるを得ないでしょう。大規模電源は、コージェネなどの分散型電源へのシフトしていくのが自然な流れです」(柏木氏)

木場: 3つのE、「供給安定性(Energy Security)」「経済性(Economic Efficiency)」「環境保全(Environment)」を同時に達成しなくてはなりません。あちらを立てればこちらが立たずで、複雑な方程式を解く必要がありますね。

柏木: 出てきた答がこれです。再生可能エネルギーは22~24%にする。原子力をベースロード電源と位置付け、20~22%取り入れる。残る56%が化石燃料。天然ガス27%、石炭26%、石油3%とする。これによって自給率24.3%を達成し、今よりも少し安い電力コストを実現し、CO2排出量を25%削減する。こういう形です。

 現状では最善のバランスだと思います。そして、技術の進展の状況に合わせて、エネルギーミックスも随時見直していきましょうというのが、この小委員会のスタンスです。

木場: エネルギーミックスの議論で前提になった「エネルギー基本計画」についても改めてお聞きします。昨年4月に閣議決定された基本計画によって、日本のエネルギー産業はこれからどう変わっていくのでしょうか。

柏木: エネルギー基本計画には自由化と規制改革によってエネルギーシステムの改革を進めていくことが明記されています。電力は2016年に、ガスは2017年に小売りが全面自由化されます。業界の垣根がなくなり、エネルギー産業はこれからアライアンスが増えていくでしょう。独占禁止法に抵触しない範囲で「ガス&パワー」会社が登場し、セットメニューを提供するようになるはずです。エネルギー制御にはICT(情報通信技術)が不可欠ですから、携帯電話など通信系の企業とアライアンスを組むこともあるかもしれません。様々なビジネスモデルが生まれ、日本経済を押し上げる効果があると期待できます。

木場: 先日、ある電力会社の方とお会いする機会がありました。「あなたのお宅にお得なメニューはこれ」「電気代が1万円を超えているなら相談を」といった提案が出てきてびっくりしました。これからのエネルギー企業は従来とは全く異なるエネルギーサービスを提供しそうです。家庭部門も自由化され、私たちも来年春にはどの電力会社から電気を買うか、「選ぶ」必要が出てきますね。

柏木: そうです。自由に選べます。もちろん、今まで通りでも構いません。

 かつて通信の自由化で新たな通信事業者がたくさん誕生し、幅広いサービスを提供し始め、ユーザーが自分の好みで選ぶようになりました。同様のことがエネルギーでも起きるのです。携帯電話の「話し放題」「つなぎ放題」のように、エネルギーの定額料金制が出てくるかもしれません。電気、ガスだけでなく、インターネット通信費用、携帯電話費用などを組み合わせたメニューになる可能性もあります。

 電気代、ガス代と別々に払っていたものを、トータルで払うようになるのですから、ユーザーが現状をきちんと把握し、よく考えた上で、メリットの大きい選択をすることが大事です。暮らしは大きく変わりますよ。

 
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プロフィール
木場弘子(きば・ひろこ)氏

木場弘子(きば・ひろこ)
キャスター
千葉大学 客員教授
岡山市生まれ。千葉大学教育学部を卒業後、1987年、TBSにアナウンサーとして入社。同局初の女性スポーツキャスターとして『筑紫哲也ニュース23』など多数のスポーツ番組を担当。92年、与田剛氏(NHKプロ野球解説者)との結婚を機にフリーランスに転じ、現在はテレビ出演、コーディネーター、講演や執筆活動など多方面で活躍する。教育や環境・エネルギーに関わる活動が多い。2001年、千葉大学教育学部非常勤講師に就任。2007年、洞爺湖サミット・クールアースアンバサダー、2007年第1次安倍政権で規制改革会議、2008年、福田、麻生政権で教育再生懇談会メンバーとなる。2013年より千葉大学客員教授。生活者の視点を大切に経済産業省や環境省、国土交通省など5つの省庁で審議会メンバーを務めている。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
東京工業大学 特命教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授・名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。総務省が2014年11月に立ち上げた「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」の座長も務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。