インタビュー

[コージェネ普及セミナー対談]
これからの日本のエネルギー
~エネルギーミックスと分散型電源~(前編)

消費者がエネルギーを売る時代に

木場: 来年には電力を選べる時代になるのですから消費者もしっかり勉強して自ら選択する力をつけないといけませんね。

柏木: 「電力を選べる時代」になるだけでなく、「電力を売れる時代」になります。大変革ですよ。

 これまで消費者が買うのは「エネルギーを使う機器」でした。けれど家庭用燃料電池コージェネレーション(熱電併給)システムの「エネファーム」や太陽光発電のような設備は「エネルギーを作る機器」。今、消費者はエネルギーを作る機器を買っているのです。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでには、東京周辺ではすべての需要家にスマートメーターが設置されるでしょう。発電した電気が余った時にはスマートメーターでやりとりして電力を売ることができるようになります。

 仲買人となるのが新電力。現在、新電力には商社、通信、ガス、電機、運輸など様々な業種の企業が参入を表明しています。今まで一般電気事業者(地域独占の大手電力会社)は10社しかありませんでしたが、既に新電力は600社を超えました。

木場: 自由化と規制改革が進むことで、エネルギー産業は今とは相当異なる将来像になるのですね。10年前は「夢の世界」だと思っていましたが、ずいぶんと現実化してまいりました。

柏木: もう1つの大きな変化が、大規模電源から分散型電源への移行です。

 今まで、電力会社は「総括原価方式」といって、供給原価に基づいて料金を決めており、ピークに合わせて電源を持っていたので、少ししか動かない設備もたくさんあります。今、東京電力の管内で年間1%ほどしか稼働しない電源は7.5%もあります。運送業にたとえて考えれば、1年に3~4日しか動かないトラックが100台のうち7~8台あるということです。

木場: それはもったいない。稼働していない設備を維持すれば、どうしても高コストになってしまいます。

柏木: 自由化が進めば、稼働率の低い設備は落としていかざるを得ないでしょう。大規模電源は、コージェネなどの分散型電源へのシフトしていくのが自然な流れです。

 
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プロフィール
木場弘子(きば・ひろこ)氏

木場弘子(きば・ひろこ)
キャスター
千葉大学 客員教授
岡山市生まれ。千葉大学教育学部を卒業後、1987年、TBSにアナウンサーとして入社。同局初の女性スポーツキャスターとして『筑紫哲也ニュース23』など多数のスポーツ番組を担当。92年、与田剛氏(NHKプロ野球解説者)との結婚を機にフリーランスに転じ、現在はテレビ出演、コーディネーター、講演や執筆活動など多方面で活躍する。教育や環境・エネルギーに関わる活動が多い。2001年、千葉大学教育学部非常勤講師に就任。2007年、洞爺湖サミット・クールアースアンバサダー、2007年第1次安倍政権で規制改革会議、2008年、福田、麻生政権で教育再生懇談会メンバーとなる。2013年より千葉大学客員教授。生活者の視点を大切に経済産業省や環境省、国土交通省など5つの省庁で審議会メンバーを務めている。

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)氏

柏木孝夫(かしわぎ・たかお)
東京工業大学 特命教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授・名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。総務省が2014年11月に立ち上げた「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」の座長も務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。