木場: 柏木先生は先ごろドイツで電気、ガス、水道、交通などの公共サービスを展開する「シュタットヴェルケ(都市公社)」の視察に行かれたそうですが、日本も参考にすべき点がありましたか。
柏木: ドイツには大きな電力会社が4つあります。そこからの電力供給が全体の8割でシュタットヴェルケからの電力供給が2割。うまくローカル・エネルギーを取り込んでいます。この電力の源はだいたいがコージェネによるもの。コージェネで生んだ熱を使い、同時に生んだ電力を小売りに回しています。
いずれは日本も自治体主導で地域の電気やガス、水道などを供給するインフラサービス会社を日本でも展開するのが望ましいと考えています。ただ自治体が公社を経営すると、どうしても割高になってしまう。シュタットヴェルケは、例えば自治体が株式の51%を持ち、理事会や監査会に市長や役人が入っていますが、経営は完全に民間が行っています。こうした仕組みは日本も参考にするとよいと思います。
木場: 柏木先生は、こうした公的サービスはやがて新たな生活総合支援サービスへと発展していくと主張されています。エネルギー革命がやがては私たちの生活に直結してくるというのは非常に興味深いことですね。
私が一番期待したいのは高齢者の見守りサービス。実は母が一人暮らしをしていて、日々、どんな様子で過ごしているのかが気になります。こういうお年寄りの状況をスマートメーターで把握でき、知ることができたら嬉しいですね。
柏木: エネルギー使用というビッグデータをうまく活用すると、色々なサービスが可能になります。
今、おっしゃった高齢者の見守りサービスもその1つ。電気をいつ、どれぐらい使ったかという情報を追っていけば、仮に異変が起きた時にもすぐに気付きます。パスワードを入力してHEMSに入り込むと、小型カメラを通して部屋の様子が見られる。赤外線センサーで顔色や発熱しているか否かを確認できる。このデータを近くの病院に転送すれば的確な診察を受けることができる。無事手当てしてもらい帰宅した後は、テレビ画面で自分の制限条件に合う食事メニューを選び、ケータリングしてもらう――。安心・安全な暮らし、医療、食など今まで独立していたサービスが一体になり、バリューチェーン化していきます。シュタットヴェルケが総合生活支援企業へと進化していくわけです。
木場: エネルギー分野の進歩が、高齢者の孤独死予防といった社会問題の解決にもつながるのは素晴らしいことだと思います。セキュリティー、医療、食など様々な分野で私たちの生活が豊かになる。そういう発展性があるというのも、とても夢のある話です。
柏木: うまいことを言った人がいましてね。「コージェネレーション」は「高Generation」だと。つまり、コージェネは高齢化社会の申し子だというわけです。確かに高齢化が進む中、日本経済の再生のためにも、我々の暮らしを豊かにするためにも、コージェネは非常に重要な存在だと思います。
木場: 分散型エネルギーやコージェネのメリットをしっかり理解した上で、私たちもスマートに生きていきたいですね。今日はどうもありがとうございました。