
「デジタル革命を活かした分散型エネルギーシステムを構築し、多様な施設を呼び込んで面的利用を進めれば、脱炭素に向けた大きな一歩になると思います」(柏木氏)
柏木: 従来のエネルギーシステムはデマンドありき。ピークに合わせてメガインフラを構築してきました。今はIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)などデジタル革命で生まれた最新の技術を活用し、デマンド側で電力の使用を最適化する「デマンドレスポンス」も可能になっています。
他方でコージェネのエネルギー効率はどんどん向上しています。熱導管を敷き、コージェネが電気と同時に生み出す熱を地域の冷暖房などに使う。自然エネルギーもなるべく多く取り込む。デジタル革命を活かした、このような分散型エネルギーシステムを構築し、ゴミ焼却場、病院、介護施設、保育施設、植物工場など多様な施設を呼び込んで面的利用を進めれば、脱炭素に向けた大きな一歩になると思います。
藤木: 事業者間、地域内で協力し面的利用を進めることは非常に重要です。それにはアグリゲーター、コーディネーター的な存在が必要。点在する小規模な発電設備やシステムを1つの発電所のようにまとめて機能させるVPP(バーチャルパワープラント)の技術も求められます。新たなプレーヤーが登場し、マーケットを切り拓いていくことを期待したいですね。
実はその分野で新たなプレーヤーがたくさん入ってくることを見込んで、16年6月、経産省の省エネルギー・新エネルギー部の中に受け皿となる新エネルギーシステム課という新しい課をつくりました。新しいエネルギーシステムにかかわる課です。従来からある新エネルギー課はエネルギーを創ること、省エネルギー課はエネルギーを使うことにかかわっています。これまでは別々に政策をつくってきましたが、両者をつなげ、創る側から使う側まで一体で見ていくことが重要です。我が省として本腰を入れてその分野に取り組むという姿勢を示すためにも新しい課が必要だと判断しました。