柏木: 「低炭素」から「脱炭素」へと向かう日本は、今後、使用するエネルギー総量が減っていきます。その中でいかに効率良い需給構造をつくるかが問われます。エネルギー量は減るのですから、従来のままではビジネスの規模が縮小してしまいます。新しいビジネスモデルをつくり、付加価値を生み出していかなくてはいけません。
運輸部門などを見ると、最近は荷主と運送事業者が手を組み、ICTを活用しながらトラックを空にせず、早く、間違いなく配送できるような仕組みをつくる動きが出てきていますね。
藤木: 運輸部門に関して言うと、経済性の問題、環境性の問題のほか、労働力不足という非常に大きな問題を抱えています。どこの運送事業者もドライバーの確保が困難になっています。その中で運輸をいかに効率化していくかを考え、荷主や消費者と連携する動きが広がっています。例えば、自宅が留守の時に届いた荷物は再配達することになりますが、それには大変な手間、コスト、エネルギーがかかります。
そこで、ある運送事業者は1度の配達で荷物を届けることができた場合、受取人にポイントを付与する制度を導入しています。ポイントがたまるとプレゼントと交換するというインセンティブを付与して、荷物が届く時間帯に家にいるよう促すわけです。省エネを実現しつつ、生産性を向上し、労働時間の短縮化や物流量の確保を図る試みで、こうした動きが他の産業にも広がることを期待しています。
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