インタビュー

[新春特別対談]
コージェネが加速する社会インフラ革命
分散型システム、熱の有効活用から生まれる
新たなビジネスと経済成長(後編)

調整電源としての水素発電に期待

柏木: 日本が「脱炭素」へと進むためには、CO2(二酸化炭素)を発生せず、究極のエコエネルギーともいわれる水素をいかに活用するかも極めて重要です。水素社会への展望を聞かせてください。

藤木: 新エネルギーと省エネルギーをうまくつなげる仕組みは幾つかあります。1つは地産地消であり、もう1つは水素です。

 水素はコージェネで使うと非常にエネルギー効率が高い。日本は世界に冠たる燃料電池技術を持っており、省エネという観点で言えば、水素燃料電池に優るものはないと私は思っています。

 一方、再生可能エネルギーを普及させていく上でも水素は重要です。現在、不安定な再生可能エネルギーのバッファーには火力発電が使われています。太陽がかげったり風が止まったりして太陽光発電、風力発電が十分出力できない時には火力発電で補っています。しかし、太陽光、風力はクリーンなエネルギーなのに、それを補完するエネルギーが化石燃料というのはいかにもバランスが悪い。バッファーにもクリーンな水素発電を活用できれば理想的です。調整電源としての水素にも着目していきたいと思います。

柏木: 再生可能エネルギーの環境性が高いのは周知のこと。できる限り普及させたい思いは誰もが共有しています。その不安定なところを支える技術としても水素が重要になってくるということですね。燃料電池は日本が最新技術を持つ大型商品であり、産業政策上も重要です。今、実現しつつある定置用燃料電池や燃料電池自動車の活用を広げ、水素・燃料電池分野で市場を獲得していくべきです。

 スマートコミュニティの中に水素パイプラインや水素ステーションを取り込み、コージェネや燃料電池車を最大限に活用する。世界に誇れるエネルギー需給構造の具体例をどう作り上げていくか、17年は正念場の1年となりそうです。

藤木: ここががんばりどころだと思っています。エネルギーをきっかけに世の中をどう変えるか、目に見える形で発信していかなくてはなりません。単体の技術も重要ですが、システムとして全体をどう作り上げていくかが問われていると思っています。

柏木: 超スマート社会というのは最終的にはSystem of Systems(システム・オブ・システムズ)になっていきます。デマンド側でたくさんスマートコミュニティができて、それが積み重なってまたシステムが出来上がるという形です。技術と制度を上手にリンクさせてシステム・オブ・システムズを構築し、実践していきたいですね。

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プロフィール
藤木 俊光(ふじき としみつ)氏

藤木 俊光(ふじき としみつ)
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
1988年、通商産業省(現経済産業省)入省。富山県商工労働部長、知事政策室長、中小企業庁長官官房政策企画官、事業環境部金融課長、経済産業省大臣秘書官事務取扱、製造産業局産業機械課長、経済産業政策局企業行動課長、経済産業政策局経済産業政策課長、大臣官房総務課長を経て、2015年7月から現職。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学 特命教授/名誉教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授/名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。

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来る2月15日、コージェネ財団は、「IoTネットワークによる超スマートシティへのアプローチ」をテーマに、「コージェネシンポジウム2018」を東京・千代田区のイイノホールで開催します。翌16日には、テクニカルツアーも実施します。ぜひご参加ください。

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