インタビュー

新春特別対談
脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム
「システム思考」で最新技術を社会に実装(前編)

求められるのは「System of the Systems」の発想

「日本は『One of the Systems』は大変得意です。代表例がクルマ。単体で見ると、システムもソフトも素晴らしい。ただ、クルマを含めた都市、まちという『System of the Systems』は欧米諸国に遅れがちです。我々も『System of the Systems』の発想を持たなくてはなりません」(柏木氏)
「日本は『One of the Systems』は大変得意です。代表例がクルマ。単体で見ると、システムもソフトも素晴らしい。ただ、クルマを含めた都市、まちという『System of the Systems』は欧米諸国に遅れがちです。我々も『System of the Systems』の発想を持たなくてはなりません」(柏木氏)

柏木: ソサエティー5.0の実現には、IoT、ビッグデータ、AIなどサイバーレイヤーと電気自動車(EV)、家電、燃料電池、太陽光発電、風力発電、コージェネレーション(熱電併給)システムなど物理レイヤーとの高度な融合が不可欠です。再生可能エネルギーやコージェネを取り込んだ地産地消型の分散型エネルギーシステムを構築した上で、熱導管や電力の自営線、光ファイバーを敷設し、デマンド側をきめ細かく制御しながら熱や電力を無駄なく使うスマート&マイクロコミュニティーを形成することが求められますね。

赤石: AI、IoTなどを既存のものにまぶすのではなく、社会構造やシステムそのものを「リデザインする」という発想を持つことが重要だと思います。

 今、内閣府では大型研究開発プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を推進しています。「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」「自動運転(システムとサービスの拡張)」「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」など12の課題を取り上げ、研究開発を続けていますが、最終的には全部を結びつけるシステムをつくりたいと考えています。大きな統合システムをつくるのではなく、お互いに分散型のデータを連携できるオープンシステムをつくり、人間中心の最適化した社会を実現したいと考えています。

柏木: 日本は「One of the Systems」は大変得意です。代表例がクルマ。単体で見ると、システムもソフトも素晴らしい。ただ、クルマを含めた都市、まちという「System of the Systems」は欧米諸国に遅れがちです。アングロサクソンの人たちは「One of the Systems」をうまく使いながら、その上に〝森〟を見せることがうまい。我々も「System of the Systems」の発想を持たなくてはなりません。

赤石: それは非常に重要なポイントです。例えばクルマに関していえば、今や世界は自動運転からさらに進み、「MaaS(Mobility as a Service)」実現に向けて走り出している。移動手段をサービスとして提供し、次の時代の勝者になろうとしています。我々日本人が不得意な分野で世界は一歩も二歩も進んでいる。ここから我々が「System of the Systems」にどう取り組むかは大きな課題です。

 
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プロフィール
赤石 浩一(あかいし こういち)氏

赤石 浩一(あかいし こういち)
内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション・原子力担当)
1985年東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2004年経済産業省資源エネルギー庁エネルギー政策企画室長、05年経済産業省通商政策局米州課長を経て06年日本機械輸出組合ブラッセル事務所長に就任。07年経済産業省商務情報政策局情報政策課長、11年経済産業省大臣官房会計課長(併)監査室長、12年経済産業省大臣官房審議官(環境問題担当)、13年内閣官房副長官補室日本経済再生総合事務局次長、14年経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)を務める。17年内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)(併)内閣府大臣官房審議官(科学技術・イノベーション担当)を経て18年7月より現職。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)
東京工業大学 特命教授/名誉教授
コージェネ財団 理事長
1970年東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授/名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経済産業省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に『コージェネ革命』『超スマートエネルギー社会5.0』など。