古屋: FITに関しては、理念は良いけれど、その理念の通りに動いていないと認識しています。欧州でも、FITから市場価格と連動した「FIP(フィード・イン・プレミアム)」制度に移行する動きが出るなど、どんどん変化しています。
日本のFITで事業を行っているのは東京の事業者ばかり。地域は土地を提供するだけです。最近は景観や国土保全上の問題も生じてきています。「地方自治法」の第99条に基づき、「太陽光は町の景観を損なうからやめてほしい」という意見書が全国から国会へ山のように届いています。足場の基準も甘い。2015年の鬼怒川の堤防決壊では、太陽光発電事業者が土手を掘削し、ソーラーパネルを設置した箇所から水が氾濫し、大きな災害となりました。この先、設置から20年たったソーラーパネルには廃棄処理の問題も生じてきます。都会の事業者は地域への責任に対する意識が弱く、極端な場合には「廃棄処理をするよりも、『廃棄物処理法』で罰金を払った方が安い」という発想になりかねない。ソーラーパネルは年々、メンテナンスコストの負担も重くなりますから、手放したいと考える事業者も出てくるかもしれません。
これからは、今ある太陽光発電システムを真の地産地消型エネルギーシステムにうまく活用する方法を考えることが重要です。例えば、法律を改正し、国や地方公共団体がパネルを買い取り、コージェネレーション(熱電併給)システムを使いながら分散型エネルギーを構築するといったことがあっていい。民間事業者だけでなく地方自治体や国が関与すれば、プロジェクトへの安心感が増します。そういう方向に持っていくべきだと思います。
柏木: これまで、エネルギーに関して、地域は「原子力発電の設置に賛成するか、しないか」といった程度のかかわり方しかしていませんでした。今後は各地域がそれぞれの特色を生かしたエネルギーシステムを独自につくっていくことが必要ですね。地域の企業群と特別目的会社(SPC)を設立したり、ドイツのシュタットベルケのように主体的にエネルギー会社を設立したり、自治体が音頭を取り、地域とスクラムを組むことが求められます。
古屋: 自治体は地産地消型エネルギーシステムのメーンプレーヤーになるべきだと思います。同時に、自治体や再生可能エネルギー事業者だけでなく、旧一般電気事業者も積極的に地産地消型エネルギーシステム構築にかかわることが必要だと考えています。今まで、旧一般電気事業者は分散型エネルギーシステムについては少し腰が引けていたかもしれません。しかし、第5次エネルギー基本計画は分散型へと大きく舵を切っています。今では旧一般電気事業者も分散型エネルギーシステムの構築に投資していく重要性を認識しているはずです。自治体が設立した電力会社に旧一般電気事業者が投資することで、既存の送配電インフラなども上手に活用し、中小の水力、風力、太陽光、バイオマス、蓄電池など多様な供給源を面的にうまく融通できる真の地産地消型エネルギーシステムを確立できると考えています。
