APU 国際経営学部長 大竹敏次さん

APUのゼミは、各国の留学生と日本人学生がごった煮状態で入り交じっています。
私の担当しているゼミもそう。経済や経営の勉強は、本人が自国で学び、体感してきたそれぞれの国の「常識」を前提として背負ってしまう。それぞれの常識は異なりますから、ゼミでグループ学習をするとどうしてもぶつかり合う。喧々囂々(けんけんごうごう)のけんか状態になることも珍しくありません。その結果、お互いの意見を聞きながら、1つの成果にまとめていく。なんだか、国際会議を見ているようです。
私が担当するゼミ生も、「APUでいろいろな国の学生と触れ合い、人間的に成長できた」とよく言っています。 国際環境での学習能力とコミュニケーション能力を「現場感覚」で学ぶことができる。これは、日本のどこの大学にも、あるいは世界のどこの大学にも負けない、APU ならではの教育環境だと思います。
そんなAPUで育った学生のキャラクターは、一言でいうと「日本人のマインドを持った国際人」ですね。日本文化を知り、謙虚さや和を貴ぶ心を持ちつつも、国際人として議論ができる。日本人学生はもちろん、各国の留学生が「和の心」を持つ国際人になって旅立っていく。
APUは留学生が約半数を占め、教員も半数が外国籍という多文化環境が強みです。しかも出身国は常時80ヵ国前後。日本人の学生は、そんな国際的な空気の中にいきなり放り込まれるわけです。そこで4年間過ごすことによって身に付く、異文化を理解・許容するグローバル人材としての視点は、他では決して得られないものです。
しかしながら、これからのAPUは、もっともっと学術研究面での独自性を出していかねばなりません。
学生たちはグローバルな感覚を大学で身に付けることができますが、その感覚を実際の仕事で生かすためには、専門知識が必ず必要になります。国際経営学部でいうと、マーケティング、ファイナンス、財務……。
APUでは、「専門知識の学習」という大学教育の本分以外に、学生たちは多角的な「学び」を求められます。語学、コミュニケーション、プレゼンテーション、教養……。それらすべてを4年間という短期間で修得するのは難しい。でも、だからこそ挑戦する意義がある。多文化環境に引かれて集まる優秀な学生たちも、それを望んでいるのです。
APUの国際経営学部では、学術研究面でどんな点をこれから強化していくのか?
文部科学省が定めるスーパーグローバル大学(SGU)創成支援に選ばれたことも含め、まずこれまで築いてきた国際的学術環境を活用しつつ、教育の質を世界水準に向上させることを追求していくことは明確に打ち出しています。
学生が英語で論文を執筆できることは、国際的なアカデミアで存在感を発揮できる前提となります。
さらに国際経営学部では現在、国際的なビジネス教育の評価機関であるAACSB*の認証取得を目指しています。その過程では教員の質についても保証し、AACSBに資料を提示しなくてはいけません。そのため国際経営学部の先生方には、論文提出などの課題を課しています。それをクリアした先生だけが、国際経営学部の教員を続けていけるのです。
*AACSB the Association to Advance Collegiate Schools of Businessの略称
もちろん、AACSBの認証を取得するには生徒の学びの保証も必要です。国際的な環境で専門知識を学ぶのと同時に、これからの必須能力であるコンピュータスキルについても学べるプログラムを構築しようとしています。大学院ではインターンシップなどを通じて企業と関係を深め、リアルビジネスを学べるMBAプログラムを作る計画が進んでいます。
また、国際経営学部で学ぶ学生には、ソーシャルレスポンシビリティ、社会的責任を意識させるようにしています。ビジネス上のモラルを守るのはもちろん、地域に貢献するという部分に、国際経営学部としても取り組んでいきたいと考えています。
私も関わっている研究テーマの一つが「グローバル・ニッチ・トップ」です。
これは、従来の経営学で主に分析の対象とされてきた大企業のことではなく、ニッチ市場でナンバーワンをとる中・小規模の会社のことです。
「小さいけれど、田舎にいるけれど、世界一」。そんな企業の研究です。
実は5年以上前から、国際経営学部の教員の4分の1、10名ほどのグループで「グローバル・ニッチ・トップ」の研究を進めてきました。
理由があります。
実は、APUのある大分県こそは、「グローバル・ニッチ・トップ」な企業がいくつもある、ユニークな地方なのです。例えば、麦焼酎「いいちこ」でおなじみの三和酒類株式会社が典型ですね。焼酎ブームの中心となった「いいちこ」は、まさにグローバル・ニッチ・トップです。大分県は、かつて一村一品運動を展開し、それぞれの地域が他にない全国レベルで誇れる商品やサービスをブラッシュアップして、市場に打って出ようという試みを地域ごとに行ってきました。その結果、生まれたのが「関サバ関アジ」であり、「いいちこ」をはじめとする「麦焼酎」であり、別府や湯布院などの「温泉」であり、豊後牛であり、ゆずこしょうであり、かぼすであり……。そして、APU自身が、「世界のどこにもない国際大学を別府へ」というコンセプトで生まれたわけですから、「グローバル・ニッチ・トップ」を大学自身が目指しているともいえます。
このプロジェクトには韓国、フィリピン、ドイツなど外国籍の先生が半分以上参加しています。すると、国際的な比較研究もできます。マネジメント、ブランディング、マーケティング……分析すべき切り口も多様です。非常に幅広く応用が利く、実践的な研究が行われています。それをさらに大学院の講義で使用するなど循環的な学びのシステムができつつあるのです。これからは日本以外の国々でも、グローバル・ニッチ・トップを目指す企業が躍進することでしょう。
グローバルである、ということは、必ずしも国際畑で仕事をする、海外でビジネスをする、ということではありません。いま述べたように、自分の地元で世界に打って出る商品や、世界中の人が引きつけられる観光サービスを生むことは、海外で仕事をする以上に「グローバル」な仕事です。
ベトナム、インドネシア、セネガルの院生が卒業するのを記念して
APUの卒業生たちが、さまざまな場所、さまざまな分野、そしてさまざまな国で、真のグローバルな仕事の体現者となることを、私たちは願っています。
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田舎で世界を学べば、 「和の心」を持った国際人になります |
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「アジア太平洋」を丸ごとキャンパスに そこから未来のリーダーを輩出していく |
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APUは日本の中の「世界」でした
だからイノベーションが生まれ続けるんです |
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ため池にクヌギ林にシイタケにサンショウウオ! APUパワーで、大分・国東半島を世界農業遺産へ | |
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