日経ビジネス
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THE NEXT X 変革の未来

新たな企業価値創造に向け、戦略的にX(トランスフォーメーション)に
取り組むための着眼点と方法論に焦点を当てDXの本質に迫る

<対談>早稲田大学ビジネススクール 入山章栄 氏 × グーグル・クラウド・ジャパン 平手智行 氏
Vol.02

デジタル変革で既成概念を覆す
先進的な企業が取り組む
データ経営とは

<対談>
早稲田大学ビジネススクール 入山章栄 氏
×
グーグル・クラウド・ジャパン 平手智行 氏
気鋭の経営学者である入山章栄氏とグーグル・クラウド・ジャパンの日本代表である平手智行氏が、「データ経営」に成功している日本企業の事例を紹介しながら、その実現に必要となるアプローチと効果について語り合った。日本企業が打つべき次の一手は何か。データ経営のプラットフォームに求められる要素と具体的なアクションについての議論もお伝えする。

デジタル化が進むと
組織とビジネスが変わる

早稲田大学 ビジネススクール 教授 経営学博士 入山章栄 氏
早稲田大学 ビジネススクール
教授 経営学博士
入山章栄

――データ経営で成功している日本企業の事例を教えていただけますか。

入山例えばある生活協同組合(生協)は、ビジネスチャットツール「Slack」とコラボレーションツール「Google Workspace」を取り入れたことで組織全体が一気に変わりました。様々な現場の人たちの声が集まり、情報が可視化されました。つまり、多様な人材を組織内で融合するダイバーシティ&インクルージョンが進んだのです。

前回、デジタル化のためにダイバーシティが不可欠という話をしましたが、逆にダイバーシティを推進するためにもデジタルが重要です。デジタル化によって組織の境界線がなくなり、立場の異なる人たちの意見や情報が届くようになります。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表 平手智行 氏
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
日本代表
平手智行

平手数値化も重要です。コロナ禍でサプライチェーンのリスクが浮き彫りになりましたが、変化に柔軟に対応するには手動では限界があります。状況を数値化して可視化することにより、関係者が情報を共有でき、デジタルツインによるシミュレーションが可能になります。実際に経験則や暗黙知を数値化したいというニーズは増えています。こうしたデータ経営はECサイトや金融サービスにも広がっています。全ての業種で始まっていると言えるでしょう。

入山コロナ禍で潮目が変わりましたね。B2Bはこれからかなと思っていましたが、データを活用して世界中から最適な機器を最適なタイミングで調達しているエレクトロニクス商社も出てきました。

データを活用して
行動様式に寄り添う

――データ経営のプラットフォームではクラウドが活用されているのでしょうか。

平手弊社のクラウドを活用いただく事例がとても増えています。あるコンビニチェーンはユーザーの行動様式の変化に対応するためにGoogle Cloudを活用しリアルタイムのストリーミングを通じて1.5億件ものデータを1分間で集計、15分後には店舗に通知しています。POSのデバイスはそのままで、クラウドでデータの活用方法を変え、2時間後に売り切れになることを予測して充足することで消費者のニーズに応えることができるようになりました。

入山データ活用の基盤としてのクラウドと迅速に対応できる物流網の両方がすごいということですね。

デジタルとリアルを支援して人と事業をつなげています
デジタルとリアルを支援して人と事業をつなげています

平手数値化とGoogle マップを組み合わせることにより、必要なものを必要なときに届けるというゴールに向け、デジタルとリアルを支援して人と事業をつなげています。それができるのが弊社の強みです。ある小売・消費材メーカーでは、地図上で店舗の位置と製品在庫情報を提供しています。これによりお客様は在庫のある店舗をすぐに検索でき、必要なものを購入できます。品ぞろえの多さよりも、行動様式に合わせた製品の提供が重視され始めているのです。

入山カスタマージャーニーをより精緻にした“行動様式ジャーニー”が実現できているというわけですね。これまでの概念が覆されます。

ITツールに対する
先入観を払拭すべき

――データを活用する仕組みについてはどのように考えればいいでしょうか。

平手ITについても経路依存(初期の出来事がその後の出来事に大きな影響を与えること)があると思います。これまでの企業の基幹システムは長期利用を前提に莫大な費用をかけて超密結合でつくられています。データ経営ではそのデータを疎結合化し、ヒト中心にデータを取り出す仕組みが重要になります。

第2フェーズには日本企業に大きなチャンスがあります
第2フェーズには日本企業に大きなチャンスがあります

入山事業部ごとのシステムがカスタマイズされているため、連結ができずに身動きがとれない状態になっていて、デジタルの民主化が進んでいませんでした。しかし、その時代はもう終わりです。クラウドを活用すれば、中小企業でもコストをかけずにデータ活用ができるのです。

現在、IoTであらゆるモノがネットでつながるという第1フェーズを経て、収集したデータをリアルな世界でどう活用するかという第2フェーズに入ろうとしています。第1フェーズで日本企業は後れをとりましたが、第2フェーズには日本企業に大きなチャンスがあります。日本企業は顧客とのタッチポイントで最も重要な”ぬくもり”を提供できるからです。しかし、デジタル人材がいないという課題が指摘されています。

平手「リスキリング」が注目されていますが、これまで社内人材への投資を後回しにしてきてしまった結果でしょうか。ただ、今は特別なスキルがなくても使えるツール群が豊富に出てきています。こうしたツールをあとは、どれだけ早いタイミングで使っていくかがポイントです。

入山DXに特別なスキルは必要ありません。しかもクラウドならば費用もそれほどかかりません。誰もが簡単にできるのがDXです。今何よりも大事なのは、早期に実装することです。

グーグル ・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表
平手智行(ひらて・ともゆき)

1961年生まれ。87年、日本IBMに入社。アジア太平洋地区経営企画、米IBM戦略部門を経て、2006年、日本IBM執行役員と米IBMバイスプレジデントに就任。国内では通信、メディア、流通、公益などの業種別事業やサービス事業を担当。11年末に退職し、米ベライゾンのエリアバイスプレジデント、ベライゾンジャパン社長に転身。15年7月、米デル バイスプレジデント兼デル代表取締役社長に就任。19年8月、デルとEMCジャパンの代表取締役会長に。同11月から現職。

早稲田大学ビジネススクール教授 経営学博士
入山章栄(いりやま・あきえ)

慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。13年より早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授。19年より現職。主な著書は『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP社)など。

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