
――現在取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)はこれまでとどう違うのでしょうか。
秦野これまでは、お客さまの利便性向上という視点でデジタル技術の活用を進めてきました。それに加えて、今取り組んでいるのはドライバーをはじめとする現場のオペレーションを改革するためのデジタル技術の活用です。消費行動の変化に伴って物流へのニーズが変わっていく中で、現場のオペレーションを最適化していく必要があるからです。
当社のビジネスは、荷物を運ぶ輸配送ネットワークと荷物を仕分ける拠点、そしてそこで働く人のオペレーションで成り立っています。変化するニーズに応え続けていくには、この3つをセットで変革し、ビジネスの構造を変えていかなければなりません。
――どのようにして変えていくのでしょうか。
秦野拠点の集約・大型化、幹線輸送の効率化、現場オペレーションの仕組み化を進めています。お客さまに最終的に荷物を届けるラストマイルでは、効率的な配送を支援する「仕組み」をつくり始めています。
荷物量は日や時間などによって増減します。そのため、どの地域に何人のドライバーを配置する必要があるか、一人ひとりのドライバーがどのくらいの荷物を配送するかは、常に変わります。しかし、それらの情報はまだ完全にはデータ化されておらず、システムとして十分活用できる状態になっていません。そこでデジタル技術を活用し、ドライバーの担当エリアや配送ルートを「仕組み」で決定できるようにしていこうというのが私たちの取り組みです。その実現のために、データ活用に精通しているGoogle Cloudと2年ほど前から検討を重ねてきました。私たちが目指しているのは、Googleマップにドライバーの知見をデータとして反映し、最適な配送ルートを導き出しやすくする仕組みづくりです。

――Google Cloudやアクセンチュアはどのように関わってきたのでしょうか。
藤田海外でアクセンチュアと協業した輸配送の最適化事例がありました。そこで当社がプラットフォームを提供し、インテグレーションの部分をアクセンチュアに担当してもらうことにしました。
並木Google CloudのアルゴリズムやGoogle マップのサービスとアクセンチュアのアプリケーションを組み合わせたソリューションを日本で展開する準備をちょうど進めているところでした。
――具体的にどのようにプロジェクトに取り組んでいるのでしょうか。
秦野配送手段には、トラックだけでなく、手押しの台車、リヤカー付き電動アシスト自転車など複数あり、地理的な条件を含めるとさらに広がります。すべてのケースを想定した仕組みをまとめて大規模に構築するには相当な時間がかかります。その完成を待っていては、完成した頃には外部環境などの条件が変わっている可能性があります。そこで、配送パターンを細分化して、アジャイル(期間を短縮した開発手法)で開発する方針をとりました。
配送データを収集したり、アルゴリズムで解いたりすることは一様ではありません。配送ルートを考える際も、自転車による配送では急勾配の道は走りづらいなどの制約条件があります。現場のドライバーにもプロジェクトに入ってもらい、この問題はデータで解く、これはアルゴリズムで対応するというように一つひとつ丁寧に検討を重ねています。
並木当社が業務課題や仕様を整理し、Googleと技術課題に対し適切な改善策をつくり、それをドライバーの方に使ってもらいフィードバックを反映しながら対象領域を広げてきました。
秦野アジャイルでソリューションを数週間から1カ月単位でリリースし、現場で実際に確認してまた修正を行い、幹を太くして枝葉をつくっていくような作業を繰り返しています。現在はまだ骨格をつくっている段階です。

――今後はどのような展開をお考えでしょうか。
秦野テクノロジーの力で現場のオペレーションをレベルアップさせることがDXの入り口です。データ化できていない領域にもデジタル投資し、テクノロジーの恩恵を受けられる範囲を広げていきます。輸配送ネットワークや拠点の再編もこれから本格化していきます。それらの取り組みを通して、お客さまへの提供価値の拡大や、社員やパートナーの働き方を改革するとともに、作業効率の向上を図っていきます。
並木今後は生成AI(人工知能)の活用で、画像・動画・音声も分析できるようになり、ドライブレコーダー情報の活用や現場での会話からマニュアルを作成するなど、今までできなかったことができるようになるでしょう。より多様なデータを管理、活用していくことが重要です。
藤田地図情報やアルゴリズムの高度化を短サイクルで実現することで、日本発・グローバル向けの社会課題解決につながるプロジェクトと認識しており、全社を挙げて支援していきます。

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