
――Google Cloudとパートナーシップを締結した背景について教えてください。
鈴木NTTデータグループは2023年から現在の3社体制に移行しました。中でも、日本国内の事業を担当するNTTデータは3つの役割を担っています。グループ全体の「稼ぎ頭」であること、日本のお客様に対してNTTデータグループ世界20万人の社員の知見を生かしたグローバル水準のサービスを提供すること、そしてデジタル技術で日本を元気にすることです。
この役割を果たすために、NTTグループやNTT DATA, Incとの連携、国内事業部門間の連携に加え、パートナーとの連携を重視しています。
Google Cloudをパートナーに選んだ背景にあるのは、IT環境の変化です。IT基盤がクラウドにシフトする流れの中で、多くの企業が世界のテクノロジーの潮流を気にするようになってきました。それをさらに加速させたのがAIの進化です。この急激な変化に対応するにはグローバルでの技術や動向を熟知したパートナーが不可欠です。パートナーと協力して最新テクノロジーの導入、活用を支援することで、世界に進出しようとするお客様へのサポートをグローバル水準で強化できます。Google Cloudはその期待に応えられるパートナーだと考えました。

――AIを軸にしたパートナーシップでどんなことを実現していくのでしょうか。
鈴木AIの利用はクラウド環境が主流です。しかし、業務特性によっては、データを管理・運用する主権を国内あるいは自社内に置く「ソブリン性」が求められる場合があります。パートナーシップを通じて、お客様が求める水準に合わせたソブリン性を実現するAIシステム基盤を提供します。
上野機微データを扱う企業が、クラウド上でのAI活用をためらう傾向にあることはわかっていました。そこでソブリン性を担保した「Google Distributed Cloud エアギャップ」というソブリンクラウドソリューションを打ち出しました。このラインアップによって、より一層幅広い業種や用途にAIの活用シーンを広げることができます。
鈴木金融や公共などの分野では、生活者の機微な情報やデータを活用しづらい状況にありましたが、ソブリンクラウドによってAIで便利なサービスを提供できるようになります。求められるテクノロジーを打ち出す明確なポリシーを持っていることがGoogle Cloudの大きな魅力です。
上野Google Distributed Cloud エアギャップのような課題を解決できる最新のテクノロジーと開発基盤を届けるのがGoogle Cloudの役割ですが、それだけではお客様が利活用できる状態にまで実装することは困難です。NTTデータが持つ顧客業務への深い知見と高い実装力があって、お客様の業務変革を実現することができます。
鈴木最近のAI活用のキーワードは「チャット型」から「タスク型」です。AIを活用して抜本的な改革を実現するには、人を中心とした業務プロセスにおいてチャット型でAIにサポートしてもらうフェーズから、AIを中心としてタスクを実行するAIネイティブなビジネスプロセスへの変革が必要です。そのためにはAIの力を最大限活用することと、AIネイティブなプロセスを新たに構築することが求められます。Google Distributed Cloud エアギャップがあれば機微なデータをクラウドで扱えないお客様においてもそのような変革を実現することができます。また当社のコンサルティング力とエンジニアリング力を生かして、お客様にAIネイティブな業務プロセスを提言し、実装することで、AIを活用した価値創出を実現します。
――これから日本企業をどのようにサポートしていくのでしょうか。
鈴木これまでの業務プロセスはシステムと組織と人で構成されていました。そこにAIという要素が入ってきたことで役割分担が大きく変わります。当然、働く人のマインド変革も必要です。私たちは、そういった新しい環境づくり全体を支援しようと考えています。
例えば大手金融機関向けに、これまでの基幹システムに加えてAI導入に向けた伴走も行っています。具体的には、AI導入をけん引するAI CoE(Center of Excellence)という組織を設置し、人財を育てるAIアカデミーを立ち上げたりと、システム構築にとどまらない組織全体の変革を支援してきました。
上野多くの経営者の方が個人でAIを使うようになり、業務活用への意識変化を肌で感じています。個人から組織的な利用へのシフトは、今後さらに加速するでしょう。
鈴木ソブリンクラウドによってAIをフル活用できるインフラが整えば、あらゆる領域でより大きな価値提供が生まれます。今まで機微なデータがAIで活用できなかった行政や医療、金融の世界でもAI活用が進んでいきます。
そういった次世代のインフラを目指した取り組みの一つが、2025年11月に開始した「ペンリィ」です。電気、ガス、水道といった引っ越し時の手続きをワンストップで行えるサービスで、地方自治体でご利用いただいています。今後もこうした生活基盤プラットフォームを日本全国で整備していきます。生活基盤のプレーヤーは様々ですが、Google Cloudのソブリンクラウドと結びつけることで、ライフイベントを一つのプラットフォーム上で提供し、より利便性を高めていけると考えています。
上野目指している世界観は私たちも同じです。ワクワクする日本をともに創っていきたいと考えています。

株式会社NTTデータ
代表取締役社長
鈴木 正範(すずき・まさのり)氏
1988年日本電信電話(現NTT)入社。NTTデータ通信(現NTTデータグループ)に転籍後、主に金融業界を担当。2016年執行役員第二金融事業本部長、2020年取締役常務執行役員戦略統括本部長、2023年NTTデータ(国内事業会社)取締役副社長執行役員金融分野担当に就任。2025年6月から現職。
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
上級執行役員 パートナー事業 兼 法人営業統括
上野 由美(うえの・ゆみ)氏
25年以上にわたりIT業界に従事し、国内外で豊富な経験を積む。グーグル・クラウド入社以前は、Cisco Systemsにて業務執行役員として、マーケティング、ビジネス開発、アジアパシフィック・中国・日本地域におけるコラボレーションセールス事業などを統括。「多様性こそイノベーションの源泉」を信条とし、多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍を推進。
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