
――ChatGPTの登場以来、AI活用のフェーズが大きく変わったようです。
ホール変化は突然起きたわけではありません。技術的には段階的に進化してきたものですし、技術者の間では以前から注目されてきました。実際にGoogleは、毎年開催する開発者向け会議「Google I/O」で、5年前から対話型AIの機能をデモンストレーションしてきました。
状況が急激に変化したように見えているのは、この数カ月の間に多くの人たちが生成AIを実際に触って体験し、どういうものかを感じとれるようになったからです。その結果が現在のような大きなムーブメントにつながっています。
AI活用によって人間は単純な作業の繰り返しから解放され、よりクリエーティブな業務に注力できるようになります。
――AIを導入する際にはどのようなことが課題になるのでしょうか。
ホール肝心なのは、AIが結果を導き出すためのデータを、いかに収集・管理するかというデータ戦略です。構造化データ、非構造化データを含め必要となる全てのデータにアクセスできるようにすればAIの威力を最大限に引き出せます。
もう一つの大事なポイントは、成果を出しやすいところから導入して組織内での理解を広めることです。情報検索や言語変換、チャットボットなど、明らかに便利になったと感じることができる分野から導入していくといいでしょう。
例えば人々はこれまで、文章やマニュアル、メールなどを多言語に変換する作業に多くの時間を割いていました。今後は、Google Workspaceは生成AIで文章のたたき台を作成し、自動的に他の言語に変換できます。これで作業時間を5分の1程度に短縮できるようになるでしょう。
――そういうメリットを引き出すためにもデータ戦略が重要になります。
ホール以前はデータがあってもそれを予測などに利用するには事前の準備が必要でした。しかし、生成AIであればすぐに利用でき、瞬時に結果を得ることができます。しかもサポート担当や営業担当がAIを直接利用できます。こうした変化がビジネスを大きく変えていきます。
――実際に活用するうえでは情報漏洩などへの配慮も必要ですね。
ホールその通りです。Google CloudではAIサービスがビジネスで利用されることを前提としており、エンタープライズレディなセキュリティーとデータガバナンスの機能を提供しています。次世代チャットボットではよりよい顧客体験のために他のシステムとの連携機能を持っていますが、外部からはデータを見られないように設計されています。それを可能にするのがチャットボット「Dialogflow(ダイアログフロー)」です。対話しながら他のシステムを活用でき、セキュリティーも担保します。こうした対話型エージェントの機能はビジネスに大きなインパクトをもたらすでしょう。

――企業は様々な業務、ビジネスシーンに、生成AIはもちろん、各種業務用のAIを導入していくことになると思います。今後、広範囲にAIを導入していくうえでの注意点はありますか。
ホール大事なのはそれぞれのAIを将来的にどう発展させていくかを考えておくことです。それがAI戦略であり、データ戦略です。企業が持つ各種データの、どの範囲をどのように、どのAIで利用するか、それぞれのAIをどのように連携させるか、といったことです。
――Google Cloudは企業のAI活用に向け、どのように貢献していきますか。
ホールもちろん、Googleの知見を生かして強力に企業のAI活用を支援していきます。例えば各種のツール提供。その一つとして、Googleドライブ上で提供するコーディングツール「Google Colaboratory(Google Colab)」にAIコーディング機能を加えます。これらにより、高度なAI活用のための開発を支援していきます。ビジネス系の顧客に向けたデータ活用のための大規模データベースやデータクラウドの構築のためのソリューションがそろっています。データクラウドではサードパーティーのアプリケーションも積極的に活用していきます。
一方では、データ戦略の立案をはじめ、AI利用のためのガイドラインやポリシーの策定なども支援していきます。
――この先はどのような転換点があるとお考えですか。
ホールAI同士がコラボレーションできるようになると、業務処理の効率やソフト開発の生産性が飛躍的に向上し、対顧客でもより個別最適化されたサービスが提供できるようになります。今は必要なデータが分散していて見つけるのが大変ですが、そこでもAI活用が進むでしょう。今のマイルストーンとしては、Googleが培ってきたモデルや技術をGoogle Cloud上で提供し、顧客企業自身がモデルをつくれるようにすることです。生成AIの利用拡大に伴い責任ある情報活用が求められますが、そこにもリソースを投下し、AIの有害な使われ方を防ぐリーダー的存在になるような仕組みを築いていきます。
GoogleはAIプラットフォームを提供する立場であり、顧客企業との責任ある形のコラボレーションを実現するために、これからもAI領域に注力していきます。

Google Cloud
Vice President, Product Marketing
ブライアン・ホール 氏
Google Cloudのプロダクトマーケティング責任者。マイクロソフトでマーケティング、製品管理、エンジニアリングなどの業務を主導し、その後はDoppler LabsのCEO、Amazon Web Services(AWS)の副社長として製品マーケティング、開発者支援、その他多くのマーケティングチームを統率。今年5月から現職。
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