提供:Google 協力:日経BP 総合研究所

THE NEXT X 変革の扉

テクノロジーによる社会の未来への貢献を目指すグーグル。
「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンに基づく日本における取り組みを紹介する

Google Cloud 技術インフラストラクチャー部門 上級バイスプレジデント ウルス・ヘルツル 氏
Vol.09

クラウドがもたらす本質的な価値は
企業文化を変えることにある

Google Cloud ウルス・ヘルツル 氏
世界の多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、大きな成果を上げている。それを後押ししている要素の一つがクラウドである。とはいえ、単にクラウドを利用すればいいというわけではない。企業がクラウドの威力を最大限に引き出し、大きな成果につなげていくためのポイントは何か。Googleの創業期からのテクノロジー部門のリーダーであり、Google Cloudのインフラの設計と運用の責任者であるウルス・ヘルツル氏に話を聞いた。

単なるテクノロジーではなく
文化としてクラウドを捉える

――今後も先行き不透明な状況が続きそうです。今、企業が注力すべきことは何でしょうか。

ウルス・ヘルツル 氏
Google Cloud
技術インフラストラクチャー部門
上級バイスプレジデント
ウルス・ヘルツル

ヘルツル「リスクマネジメント」「イノベーション」「成長」を実現するための変革が必要です。この3つを同時に達成するのは難しいことですが、強力なイノベーション・カルチャーがあれば可能です。私たちはカルチャーとテクノロジーの両面から明確なルールを構築しました。「データを真実の源とすること」「オープンな情報共有、学習、運用の柔軟性」「顧客とパートナー、そして市場機会に対する信頼を尊重すること」です。

――クラウド活用で変革の推進に成功している企業の特徴は何でしょうか。

ヘルツルまずお伝えしたいのは、クラウドはテクノロジーというよりも“文化”ということです。単なるテクノロジーと捉えると成功しません。

 ビジネスで成功するためには顧客に対する理解、アジャイル(迅速)に取り組める体制、製品やサービスを生み出す力が必要です。これらは言い換えると、その企業の文化の一部です。こうした企業文化があってこそDXにもうまく取り組めるといっていいでしょう。クラウドはそれを支え、その活動を促す基盤となるテクノロジーです。

 “マネジメントの父”といわれるピーター・ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る」という有名な言葉を残しています。例えばアジャイル開発向けにスピーディーな開発体制を整えるとします。ただ、製品/サービスの開発は試行錯誤の繰り返しです。大切なのは、そこでの失敗を許容し、失敗から学ぶこと。その文化がなければアジャイル開発は成立しません。

 クラウドを活用することで、こうした企業文化を醸成し、強化することができます。例えばセブン-イレブン・ジャパンは、全国2万1000店舗からのデータ集約・分析にGoogle Cloudを活用しています。毎日1億5000万件のリアルタイムのデータ処理が発生しますが、Google Cloudを利用することで、これまでバッチ処理で31時間かかっていたものがほぼリアルタイムの1分台に短縮できました。ただ、その価値は時間短縮だけではありません。重要なのは、クラウドに蓄積されるデータを分析し、複雑な課題をすぐに解決できる仕組みを構築した点です。その試行錯誤の過程で次々と新たな気づきを得ることができ、従来と違うアプローチで仕事に取り組める文化へと変革し得たのです。その試行錯誤の過程で次々と新たな気づきを得ることができ、従来と違う考え方で仕事ができるように文化が変わりました。これがクラウドのもたらす価値です。

小さな成功事例を積み上げて
企業文化を変えていく

――日本企業は米国などの企業に比べると失敗に寛容ではありません。

ヘルツル確かに、国によって企業文化にも大きな違いがあることは理解しています。とりわけ米国企業は失敗に寛容なケースが多く、シリコンバレーでは3つのうちの1つがうまくいけばいいともいわれています。

 とはいえ、イノベーションへの取り組み姿勢はその国の文化や国民性だけで決まるものではありません。私はスイス出身で、スイスの国柄は日本に近いと思っています。日本もスイスも世界的に品質が高いといわれ、歴史に残るイノベーションを生み出してきました。しかし、最初からそうだったわけではありません。様々な試みを繰り返して品質を高める文化があったからこそ今の姿があるわけです。そこに改めてフォーカスすべきではないでしょうか。

――DX推進という観点でいうと、具体的にどのように取り組んでいけばいいでしょうか。

ヘルツルポイントの1つはアプリケーション開発を内製化することです。米国は内製化比率が高く、それが失敗を許容する文化にもつながっています。DXを推進するには、アプリケーションを開発できる人材を社内で育てていく必要があります。

 2つ目は、ごくごく小さなことで構わないので、できるだけ早く「成功」と評価される成果を導き出すことです。そのためのチームを形成し、一緒にやり遂げることも重要です。成功体験のイメージは周囲に波及していきます。そうした体験の積み重ねの上にイノベーションは成り立ちます。もちろん企業によって目指す先、道のり、ルートは異なります。このためそれぞれの企業に合った様々なテクノロジーを駆使していく必要があります。

コラボレーション環境が
イノベーションを生み出す

ウルス・ヘルツル 氏
リスクマネジメント、イノベーション、成長を実現するための変革が必要です

――イノベーションを起こすためにはどのような視点が必要でしょうか。

ヘルツル内部からやりたいというワクワクする気持ちを持ってもらえることが大切です。それがモチベーションにつながります。そのための鍵がコラボレーションです。

 イノベーションの2つの障壁はパーミッション(許容)とコラボレーションです。失敗が許容される文化があり、人と人が連携しやすい仕組みがあれば新しいことに踏み出しやすくなり、イノベーションは生まれやすくなると考えています。

 DXで成功する企業にはそれぞれ違いがありますが、きちんとステップを踏めば必ず成功できます。ITエンジニアを育てて内製化を進め、企業文化を変えていくことが重要です。私たちはDXの成功に貢献するために今後もインフラを強化していきます。

ウルス・ヘルツル 氏

Google Cloud
技術インフラストラクチャー部門
上級バイスプレジデント
ウルス・ヘルツル(Urs Hölzle)氏

1999年Googleに入社。現、技術インフラストラクチャー部門、上級バイスプレジデント。Google のサービスを支えるサーバー、ネットワーク、データセンターの設計と運用、および Google のアプリケーションで使用されるソフトウェア インフラストラクチャーの開発を統括している。

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