
――経済環境が大きく変化している今、ビジネスにどんな脅威とチャンスがあるとみていますか。
アデア今、私たちが直面している環境はこれまでとはまったく異なるものです。インフレ、景気後退、戦争、どれもがこれまでとは違います。しかし、不確実な時代はチャンスにもなり得ます。2008年の金融危機のときには、Airbnb、Slack、Uberなど多くのデジタル企業が誕生しています。それと同様に今はまさに変革期なのです。
――Google Cloudは変革にどう貢献できるとお考えでしょうか。
アデアクラウド活用のメリットはコスト最適化にあると思われがちです。もちろん間違いではありませんが、それだけではありません。具体的には、企業が抱える5つの要望に応えます。実はこれら企業からの要望は、業種・業態に依存しない、共通のものです。
1つ目は、データをどう活用するか、つまり所有しているデータから、どうしたら大きな価値を引き出せるか、です。その点でGoogle Cloudは優れたプラットフォームとして評価いただいています。2つ目は将来的にも使い続けられるテクノロジーであることです。企業はロックインを防ぐためにマルチクラウドでの運用を望みます。これに対応するために私たちは、インテリジェントで、シンプルかつオープンなインフラを追求してきました。
3つ目はセキュリティーです。サイバーセキュリティーは経営層の最優先アジェンダです。それに応えるために、プラットフォームに初めからセキュリティー対策を組み込む「インビジブルセキュリティー」という概念をつくり出しました。4つ目は社員同士のコラボレーションを促す環境を提供することです。Google Workplaceがそれを実現します。
5つ目はサステナブル(持続可能)であることです。Google Cloudは環境に配慮したサステナブルなクラウド環境を提供しています。
この5つの観点でGoogle Cloudはお客様に貢献できると確信しています。
――どのデータを、どう活用するかを見極めて、成果につなげるには、どのようなアプローチが有効でしょうか。

アデアビジネスプロセスの課題を正確に把握して、プロセスを見直していくことが大切です。例えばサプライチェーン管理のどこに課題があり、それをどのように改善するかというシナリオを考えます。その際に、現状で何を管理できているか、改善の結果何を実現したいのかを繰り返し議論します。改善シナリオが見えてくると、それを実践するために必要なデータが何かもわかってきます。こうした課題の洗い出しや改善シナリオの立案、データ活用の局面でこそ、Google Cloudが提供するサービスや各種プロジェクトを通じて培ってきた知見がお役に立てるはずです。
――Google Cloudは課題解決まで伴走してくれるのでしょうか。
アデア当社には産業別のチームがありますので、業界特有のノウハウや事業環境を考慮しながらお客様のビジネスを理解し、課題を把握するところからサポートいたします。
また、日本企業向けにはシステム開発者やエンジニアの育成を支援するためのテクニカル・アクセラレーション・プログラム「TAP」を提供しています。フルマネージドサービスで、お客様の社内チームと一緒になってソリューションを開発し、新たな付加価値を生み出せる組織づくりを支援します。
クラウドへの移行を機に、社内にスキルを持った人材を育成することで持続的なイノベーションが生まれるようになります。適切なスキルを持つ人材を社内に育てることはクラウドを使いこなすうえで重要です。
――最近のトピックスとしてはどんなことがあるのでしょうか。
アデアテクノロジーの活用において注目すべきは、やはりセキュリティーとAI(人工知能)です。サイバーセキュリティーが脅威となっている一方で、セキュリティー人材は不足しています。当社は培ってきたテクノロジー、プロセス、知見をクラウドのソリューションとして提供してきましたが、最近ではサイバーセキュリティーベンダーのMandiantを買収して組織のサイバー防御態勢強化のための支援を拡大しています。
また、AIでは過去6カ月で大きなブレークスルーが起きています。それが「ジェネラティブAI」というコンセプトです。将来的に不足が懸念されるスキルをAIが補うということになるかもしれません。
――社会起業家の支援にも力を注がれていますね。
アデア社会起業家は変革の原動力として不可欠です。彼らは慈善事業をしているわけではありません。他の企業と競争しています。企業との違いをあげるとすれば、収益を自らの使命とする社会貢献を達成するために使うところです。
企業としては、資本へのアクセス、市場へのアクセス、人材へのアクセス、コアビジネスへのアクセスという4つの面で社会起業家を支援できます。当社はファンドによる資金の提供、調達、テクノロジーの提供などで支援しています。
社会的な使命を持って起業した彼らが成功することは社会的に大きな意義がありますし、私たちも刺激を受けます。そして彼らが成功するためには大企業による支援が必要です。それをすることが私のパッションになっています。

President of Google Cloud Go to Market
アデア・フォックス・マーティン(Adaire Fox-Martin) 氏
EMEA、APAC、日本の各地域におけるGoogle Cloudの営業部門、テクニカル・アカウント・マネジメント、プロフェッショナル・サービス、カスタマーサクセスからなる市場参入チームを統括。また、シリコンバレー以外の地域の、Google最大のテクノロジーハブとなるGoogle アイルランドの代表も務めている。
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