提供:Google 協力:日経BP 総合研究所

THE NEXT X 変革の扉

テクノロジーによる社会の未来への貢献を目指すグーグル。
「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンに基づく日本における取り組みを紹介する

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表 平手 智行 氏
Vol.20

生成AI活用は企業競争力の源泉
実験的活用から本格導入へ

グーグル・クラウド・ジャパン
平手 智行 氏
2023年は世界中が生成AI(人工知能)に沸いた1年だった。Googleは大規模言語モデルを中心に、生成AI関連のソリューションを次々に投入。こうした中で、日本でも生成AIの実証実験に取り組む企業が続々と現れた。ただ一方で、生成AIが抱える課題への不安などから、いまだに本格採用に踏み切れていない例は少なくない。2024年、市場はどのような動きを見せるのか。グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行氏に生成AIの展望と期待について聞いた。

アクセルを踏み続ければ
日本企業は優位に立てる

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
日本代表
平手 智行

――2023年は生成AIが注目を集めましたが、2024年はどんな動きがあるのでしょう。

平手2024年はまさに、企業が生成AIを活用して社内外に向けたサービスを展開していく重要な年になるでしょう。

 日本でも多くの企業が世界に先駆けて生成AIの実証実験に取り組んでいます。大切なのは、この先です。いま私たちは大きな変革の先頭に立っています。ここはブレーキを踏むことなく、前に進んでいくべきときです。世界に先駆けて生成AIをフル活用したワークスタイルやライフスタイルを確立できれば、日本企業は大きな活力を得ることができるでしょう。Google Cloudは、それを後押しすべく企業に対して支援策を提供していきます。

生成する情報の正確さを向上
非構造データへの対応も容易に

平手 智行 氏

――生成AI活用を加速させるためにどのような支援をしていくのでしょうか。

平手大きく2つの点で課題解決策を提案していきます。一つは生成される情報の正確さ。もう一つはテキスト、画像、音声、動画など非構造化データが扱えるプラットフォームの提供です。

 生成AIには、事実に基づいていない答えを出す可能性がある、いわゆる「ハルシネーション」という課題があります。これは、大規模言語モデルの学習データの範囲が公開されたものに限られることに起因します。企業の自社データの多くは公開されていないため、大規模言語モデルの学習データには含まれていません。しかも学習した時点での情報だけで、最新の情報も反映されていません。このため、生成AIが事実に即さない回答をしてしまう可能性があるわけです。日本企業には、ハルシネーションを理由に、事業判断や顧客向けサービスへの利用に不安を抱き、本格導入を躊躇する例が多くあります。

 ただ、これに関してはすでに、グラウンディングという対策が確立されています。グラウンディングとは、利用企業の社内などにある信頼できる情報ソースを安全に参照させる技術です。この技術を利用することで、生成AIが最新の情報に基づいた確かな答えを導き出せるようになり、企業として実用的な生成AIアプリケーションを開発できます。もう一つの課題である非構造化データの扱いについては、私たちは非構造化データと構造化データを組み合わせて分析できる「AIレイクハウス」プラットフォームを提供していきます。具体的にはBigQueryです。音声認識やOCRの機能を備えているため、音声データや画像データをテキスト化し、他のデータと併せて分析できる状態に変換できます。

――2023年12月には、大規模言語モデルのGeminiを発表しました。どのように活用されるものなのでしょうか。

平手Geminiは、テキスト、画像、音声、動画といった非構造化データをシームレスに扱えるマルチモーダルの基盤モデルとして開発されました。そして今、Geminiは単なるモデル以上の存在へと進化しています。世界中の人々が日常的に使用する製品から、開発者や企業のイノベーションを支援するAPIやプラットフォームまで、包括的なエコシステムを提供できようになっています。

Geminiで日常的にAI利用
現場力の強みを引き出す

――今後のAI活用のポイントはどんなところにあるのでしょうか。

平手特定のAIにロックインされないようなマルチモデルが重要です。それを実現するのが「Vertex AI」です。Googleが開発したAIモデルをはじめとして、オープンソースや商用サービスとして提供されているAIモデルの中から最適なモデルを選択してAIアプリケーションを開発できます。

 また、Geminiは人々や企業が日常的に使用するGoogle WorkspaceやGoogle Cloudなどの製品にも搭載されていきます。これにより、より手軽に生産性を高められる環境を提供できるようになります。

――AI活用では倫理的な面でのリスクの検討や法整備の必要性も問われています。

平手Googleは2016年から「AIファースト」を標榜し、AIの先駆者としてそうした課題に正面から向き合ってきました。2018年には7項目の基本理念である「AI原則」を発表しました。

 これらの理念は理論的な概念ではなく、プロダクト開発における基本方針です。このため、理念に反していれば製品化はしません。実際に製品化を見送ったケースもあります。一方で、有害検知やグラウンディングといった事故防止のための仕組みをつくり、安全性の評価を重ねて続けてきました。今、多くの企業が生成AIのPoC(実証実験)を進めている中で、AI原則の重要性が広く理解され、高い評価を受けています。また、Google Cloudでは、生成AIにおけるリスクへの対処でお客様から最も関心の高い著作権保護に対する包括的な補償を提供しています。Google Cloudの生成AIサービスでは、トレーニングデータおよびその生成物に対して、第三者の知的財産に関わる申し立てがあった場合にGoogleが補償を行うことを規約上で定義しています。このような保護施策により、お客様が安心して生成AIをビジネスに活用していただけるものと考えています。

 企業にとってAIは強力な武器であり、日々驚くような事例が世界中で生まれています。AIは知識や知能を拡張する手段です。現場力に強みを持つ日本企業には現場にアイデアを生み出す力があり、知識や知能を拡張することをAIがアシストできます。日々の業務にAIを活用することで、日本企業の競争力向上につなげていただきたい。私たちが全力で支援していきます。

平手 智行氏

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
日本代表
平手智行(ひらて・ともゆき)氏

1961年生まれ。87年、日本IBMに入社。2006年、日本IBM執行役員と米IBMバイスプレジデントに就任。11年末に退職し、米ベライゾンのエリアバイスプレジデント、ベライゾンジャパン社長に転身。15年7月、米デル バイスプレジデント兼デル代表取締役社長に就任。19年8月、デルとEMCジャパンの代表取締役会長に。同11月から現職。

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