提供:Google 協力:日経BP 総合研究所

THE NEXT X 変革の扉

テクノロジーによる社会の未来への貢献を目指すグーグル。
「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンに基づく日本における取り組みを紹介する

Google Cloud VP Global AI Business & Solutions フィリップ・モイヤー 氏
Vol.18

生成AI活用はブームに終わらない
すでに社会実装フェーズ、効果も実感

Google Cloud
フィリップ・モイヤー 氏
日本政府や研究機関、企業における生成AI(人工知能)への取り組みを伝えるニュースが日々報道されている。これらの取り組みは、実態としてどこまで進んでいるのか。実験段階なのか社会実装の段階なのか、日本はまたしても諸外国に後れを取っているのか――。Google CloudのグローバルAIビジネス担当 副社長としてAIビジネス&ソリューションズを担当し、各国のAI活用の実態を詳しく知るフィリップ・モイヤー氏に、いま見えている実態について聞いた。

日本の生成AI活用レベルは
世界と同等か、それ以上

Google Cloud
VP Global AI Business & Solutions
フィリップ・モイヤー

――急速に生成AIに対する関心が高まっていますが、感触は少し変わってきたのでしょうか。

モイヤー当初はビジネスにそれほどインパクトがないと過小評価されていましたが、今はまったく違います。どの国に行ってもそれを実感しますが、特に日本では生成AIの開発や活用に携わる人が急速に増えています。政府や地方自治体、企業、そして個人までがそれぞれの立場で生成AI活用に臨んでいます。

 日本では大きく3つの取り組みが進んでいると思います。企業の生産性向上、個人の専門性向上、そして社会全体の高度化です。私のところには毎日、毎週新しいニュースが飛び込んできています。

 Googleが生成AIを正式に発表したのは2023年の上半期でしたが、それ以降、世界のプロジェクト数は150倍になり、資格の認証を受けている人は10万人まで増加しました。Google史上最も急速に広がっているテクノロジーといえるでしょう。

――世界と日本を比べると、取り組み方のレベルの違いはあるのでしょうか。

モイヤー日本政府の使い方は世界よりも進んでいると感じていますが、企業は同レベルか、ちょっと進んでいるといったところでしょうか。業種によっても違いがあります。金融業や製造業は進んだ使い方をしている企業が増えています。

 ただ、生成AI活用はまだ始まったばかりで、差が生じるのはこれからです。私が注目しているのは、日本では規制産業での活用が進んでいる点です。規制をつくる側でも生成AI活用が広がっています。その分、今後さらにドライブがかかってくると予想しています。

短期間でアプリ化され
生産性を向上させる生成AI

フィリップ・モイヤー 氏

――AIはこれまでに何度もブームが来ては下火になることを繰り返してきました。生成AIはそうならないのでしょうか。一時のブームに終わらないとすると、それはどのような理由からでしょうか。

モイヤー一時のブームで終わるとは思えません。今回は実質的に生産性を改善するという効果を上げていて、しかもアプリケーションとして使えるまでの時間が短くなっているからです。その分、効果を実感しやすくなっています。

 実際にソフトウエアの開発効率は10%から20%高まり、コールセンターの生産性も同じくらい改善されています。マーケティングコンテンツのリーチにも大きな成果が上がっています。ROI(投資利益率)の観点からのリターンが見えており、実際に活用することで急速に理解が深まっています。

 今は実験段階ですが、これからはいかにして企業全体、社会全体で使えるようにしていくかが問われるようになります。

――大規模に使いこなそうとする場合、どんなところに難しさがあるのでしょうか。

モイヤー例えば薬の使い方について、AIに答えさせようとすると、今の生成AIだけでは100%正しいとは言えない場合があります。

 このため、必ず確認作業が残ります。金融の投資リスクがどこにあるのかをAIに判断させるような場合も、精度が高くなければ大きな規模では展開できません。

 Googleでは現在、業種別、機能別に大規模向けモデルの構築に取り組んでいます。これは使えるデータ範囲の制限の明確化、安全で正確な応答の担保、AIがブラックボックスにならないためのツールなどがポイントになります。

正確性を担保しながら
実験段階から社会実装へ

――正確性を担保するためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。

モイヤー多くの企業が採用しているのはヒューマン・イン・ザ・ループ(人間参加型のプロセス)です。

 米国のある大手家電量販店では数百万点の製品への問い合わせに答えるカスタマーサービスセンター向けにあらゆる製品、スペック、問い合わせ内容を網羅したAIを実装しています。そこではお客様からの質問にAIがどう回答したのかをエージェントがチェックし、良しあしを判断することを繰り返して学習を進めています。

――どのようなシーンでの活用が広がっているのでしょうか。

モイヤーある製造業では、AIが得意とする要約機能を活用して品質や安全のリポートを要約しています。現場でトラブルが発生した場合に、過去に同様の事象がないかをAIがチェックするなど、品質の観点から過去のデファクトスタンダードを参照しています。

 金融グループの英HSBCでは、数百万社のトランザクションの中からマネーロンダリングの兆候を特定したり、トレーダーの不正取引を防止したりするためにAIを活用しています。

――社会的なことにも生成AIの活用が始まっているのですね。

モイヤー社会という面では、乳がんの発見や糖尿病網膜症の診断支援、洪水の危険性の判断なども挙げられます。洪水についてはすでに1億1800万件の危険な箇所を生成AIで特定しています。

 また、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から製造業向けに生成AIを活用し始めています。金融サービス企業の米MSCIと共同でサプライチェーンの中でESG対応がどう進められているかをモニタリングする機能を生成AIで実装しました。このように多くのシーンで生成AIの実装が始まっています。

フィリップ・モイヤー氏

Google Cloud
VP Global AI Business & Solutions
フィリップ・モイヤー(Philip Moyer) 氏

Google CloudのグローバルAIビジネス担当 副社長。金融テクノロジー企業のCEOなどを務めた後、マイクロソフトでグローバル顧客チーム、業界チーム、サービス組織を管理。その後、AWSで金融サービスのディレクター、Googleの戦略産業チーム(金融サービス、ヘルスケア、小売、通信、M&E、ゲーム)運営などを歴任した。

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