
――生成AIが注目されていますが、どんなところでどのように使われているのでしょうか。
アリソン生成AIのユースケースは幅広い領域に広がっています。効果を得やすい用途の一つがマーケティングです。コピーライティングやキャッチフレーズ、画像作成などに使われるだけでなく、自社のキャンペーンの効果予測や成果の測定にも使われるようになっています。
例えば米国の化粧品大手のエスティローダーでは、Google Cloudでソーシャルメディア上の評価分析を行っています。それまでは社内の人間が数日をかけて分析していたものが、わずか数分でできるようになっています。
フランスの小売り大手のカルフールでは、マーケティングキャンペーンサイトの運用効率化に生成AIを利用しています。従来はFacebook用、X用、LinkedIn用などメディアごとに作成していましたが、1種類だけ作成し、生成AIでメディア別に変換するよう運用を改めたことで、わずか数分で対応できるようになりました。
こうした事例からわかるように、生成AIを活用することで、様々な作業にかかっている時間を大幅に削減できます。

――2023年12月に映像、画像、音声、テキストを一緒に扱えるマルチモーダルAI「Gemini」の提供を開始しました。マーケティング領域では使いやすそうに思えます。
アリソンその通りです。12月に公開したときに示したデモは、不動産の賃貸物件一覧の魅力を伝えるものでした。数秒で動画や写真、テキストなどを取り込んだキャンペーンサイトを生成できました。瞬時にサイトを生成できるだけでなく、多言語に対応しているのでグローバル展開もスムーズです。
マーケティングの本質は、製品やサービスとお客様をつなげることです。こうしたテクノロジーを使えば、次々にテストを実施し、PDCAサイクルを回しながら膨大なマーケティングデータを短期間で獲得できます。
もう一つのメリットは、広告制作にかかる時間とコストの削減です。例えば自動車の広告を制作する場合、同じ自動車でも、東京やパリ、ニューヨークなど場所やシチュエーションに合わせて背景写真などを変える必要があります。従来はそれぞれの広告をつくっていましたが、マルチモーダル対応の生成AIを使えば、1枚の絵を制作し、背景写真だけを入れ替えるなどの作業で対応でき、時間とコストを削減できます。
――時間とコストを削減しながら、より精度の高いマーケティングが実現できるということでしょうか。
アリソン広告素材を迅速に用意することができ、生成AIで予測も的確に行えるので、より効果的に広告活動が行えるようになります。ペルソナをいくつも用意すれば、リアルな市場と同様の振る舞いでテストをすることでパーソナルマーケティングにつなげられます。例えば今まで3つのカテゴリーで実施していた施策をもっと細分化して実施することで、より的確なマーケティング活動を実現できます。
――リアルな活動に生成AIが活用されるようになることで、人との役割分担はどうなっていくのでしょうか。
アリソン生成AIは人のアシスタント、あるいはパートナーという位置づけになっていくでしょう。人はデータに基づいて状況を洞察しアイデアを考える役割を担います。生成AIは作業を代行するほか、アイデアを出す際には壁打ち相手やアドバイザーの役割を果たすことができます。
例えばGoogleドキュメントは、分厚いドキュメントの要約を作成してくれたり、メールの返事の文章を提案してくれたりします。人のクリエーティビティーを向上させるために、AIは当たり前のように傍らにいる必要不可欠な存在になっていきます。
ただし、人が生成AIを上手に使うためには、どういう質問をしたらどんな答えが返ってくるかなど、AIの基本的な仕組みを理解しておく必要があります。様々なAIモデルがある中で、どのアクションにどのAIがパートナーとして適任なのかは人が考えなければなりません。
――今後、Google CloudはどのようにAI活用を支援していくのでしょうか。
アリソンGoogle Cloudとしてはユーザーモデルの確立を支援します。ユーザー企業のためにチャットエージェントを提供し、ユーザーが自社でトレーニングしてビジネスに役立てていくようなイメージです。そのためにセキュリティーを担保するのもGoogle Cloudの役割です。
またAIモデルをオープンな形で選定して活用できるプラットフォーム「Vertex AI」を提供し、AI開発を支援します。日本企業が実証実験から本格活用へと踏み出すことにも伴走してお手伝いしていきます。

Google Cloud
Chief Marketing Officer
アリソン・ワゴンフェルド(Alison Wagonfeld)氏
Google CloudとGoogle Workspaceビジネスのマーケティングを率いるGoogle Cloudの最高マーケティング責任者(CMO)。プロダクト マーケティング、デマンド ジェネレーション、ブランディング、クリエーティブ、パートナーマーケティング、戦略立案、オペレーション、イベント、各リージョンのフィールド マーケティングチームを統括している。
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