提供:Google 協力:日経BP 総合研究所

THE NEXT X 変革の扉

テクノロジーによる社会の未来への貢献を目指すグーグル。
「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンに基づく日本における取り組みを紹介する

Google Cloud Vice President ジュン・ヤン 氏
Vol.15

企業向け生成AIの利用環境を整備
責任ある形で企業の活用を支援

Google Cloud
ジュン・ヤン 氏
生成AI(人工知能)をどう活用していくかが企業や団体で議論されている。AIファースト企業としてあらゆるサービスにAIを組み込み、生成AIを活用した試験運用サービス「Bard(バード)」を提供したGoogleは現在の状況をどう受け止め、どのような戦略を描いているのか。クラウドAIおよびインダストリーソリューション担当バイスプレジデントであるジュン・ヤン氏に話を聞いた。

生成AIはいまだ揺籃期
企業の対応状況は二極化

Google Cloud
Vice President
ジュン・ヤン

――ChatGPTの登場以来、世の中が生成AIに沸き返っています。AIを開発・提供する立場から、こうした状況は予想できたのでしょうか。

ヤンイエスであり、ノーでもあります。Googleは以前からAIファーストを掲げ、様々なシーンで大規模言語モデルのAIを開発・活用してきました。Googleは生成AIを含めたパイオニアでもあり、大規模言語モデルの実用化が近づいていることも、その威力も十分にわかっていました。

 ただ、この分野はいまだに揺籃期だということから、私たちは市場へのサービス投入には慎重な姿勢をとってきました。ですから、この時点で、これほどの勢いで、一般の方が興味を示し、使ってみようという動きが広がるとは考えていませんでした。

――これから、企業ではどのように受け入れられていくとお考えでしょうか。

ヤン企業の経営会議などでも生成AIが話題に取り上げられるなど、興味、関心は業種・業態を問わず高まっています。ただ、実際の対応に関しては積極派と慎重派に二分されている状況です。

 デジタルネーティブな企業は理解が早く、すでに積極的に活用し始めています。とはいえ、活用するにはスキルセットが必要ですし、リスクとそれをどこまで許容できるかを考慮しなければなりません。このため、多くの企業はどう取り組んだらいいか検討している段階にあります。典型的なのは医療や金融など規制が厳しい業界です。ステップを踏んで活用の幅を広げていくことになるでしょう。

AIを自在に利用できる世界へ
APIの組み合わせでアプリ開発

ジュン・ヤン 氏

――基盤モデルを開発する難しさはどこにあるのでしょうか。

ヤン基盤モデルをつくるには3つの要素が必要です。①トレーニングのための膨大なデータ、②数千万ドルもかかる高価な処理演算能力、そして③優秀なデータサイエンティストたちです。一般の企業が独自に開発するのは容易ではないでしょう。

 そこでGoogleでは、企業がAIを自在に利用できるように、基盤モデルファミリーを開発しています。言語モデルの「PaLM 2」、画像を扱う「Imagen」、会話とテキストを扱う「Chirp」、テキストをベクトル化する「Embeddings」、そしてプログラムを生成する「Codey」といったものがあります。

 ポイントは、これらの基盤モデルを組み合わせることで様々なアプリケーションを構築できることです。GoogleはこれらをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース。外部にシステムへの接続仕様を公開して、データや機能を共有する仕組みのこと)として提供します。これを使えば、企業の開発者はエンドポイントの開発に集中できます。

 数カ月前に社内で開催されたハッカソン(一定期間集中的にアプリケーションやシステムなどを開発するイベント)で、ライブ動画にリアルタイムで字幕を流し、吹き替えまで行えるアプリケーションを開発しました。画像や音声、テキストなど様々な基盤モデルを連携させることで、わずか1日で完成させることができました。

――テキストや音声、画像を連携させられるのは面白いですね。

ヤンはい。いわゆるマルチモーダルな使い方を実現できます。キーボードではなく、会話や画像から社内の情報を探し出したり、手続きを進めたりできるようになり、より一層生産性を高められます。

 これまでのシングルタスクモデルではデータへのラベル付けや、データサイエンティストによる解析が必要でしたが、トレーニング済みの基盤モデルを使えば最初から価値を生み出すことができます。誰もがAIのメリットを享受できる“AIの民主化”を実現できるわけです。

“責任あるAIへの取り組み”で
信頼されるパートナーに

――企業がAIを活用していくうえでの課題はどこにあるのでしょうか。

ヤン多くの企業はAIを活用する際、基盤モデルを使うことになります。その際に最も重要なのはデータの扱いです。自社が保有するデータを使えるのか、その際にデータは保護されているかなどを見極めなければなりません。私たちは顧客のデータは顧客のものという考えから“責任あるAI”を意味する「レスポンシブルAI(責任あるAIへの取り組み)」を提唱しています。そこではセキュリティーやデータプライバシーなどのAI原則を憲法のように重視しています。

 用途に合わせて機能を組み合わせられるのか、チューニングのためのツールが提供されているのか、といった点も重要です。こうした点は、基盤モデルを選択する際のポイントになります。Googleではプロンプト(生成AIに対する入力)などに関しても、様々なチューニングテクニックを提供しています。こうした活用サポートの環境は大きな差別化ポイントになるはずです。

――最後に日本企業に向けたメッセージをお願いします。

ヤン生成AIは、インターネット、モバイルデバイスに匹敵する大きなインパクトを持っており、大きなパラダイムシフトを生むテクノロジーです。ただ、まだ揺籃期であることも事実です。

 Googleは25年前から一貫してAI活用のリーダー企業としての責任を担ってきました。今後は企業向けの生成AIに日本語版も追加されます。日本企業や日本のパートナー企業に信頼される伴走者として責任を持って日本企業を支援し、一歩一歩、一緒に歩いていきたいと考えています。

Google Cloud
Vice President
ジュン・ヤン(June Yang) 氏

Google CloudのクラウドAIおよびインダストリーソリューション担当バイスプレジデント。オラクルの製品管理およびマーケティング部門で指導的な役割を担い、その後はVMwareのエンジニアリングおよび製品管理担当副社長などを歴任。現在はGoogle CloudのAI製品およびAIを活用したインダストリーソリューションの大規模ポートフォリオを担当。

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