提供:Google 協力:日経BP 総合研究所

THE NEXT X 変革の扉

テクノロジーによる社会の未来への貢献を目指すグーグル。
「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンに基づく日本における取り組みを紹介する

佐川急便 田中 嘉一氏×佐川急便 川村 博之氏×グーグル・クラウド・ジャパン 渕野 大輔氏
Vol.39

Google AIでビジネス変革
佐川が挑む次世代物流構想

佐川急便 田中 嘉一 氏
×
佐川急便 川村 博之 氏
×
グーグル・クラウド・ジャパン 渕野 大輔 氏
グーグル・クラウド・ジャパンと戦略的パートナーシップ協定を締結し、次世代物流システムの実現を目指す佐川急便。AI(人工知能)を駆使することで、物流をどのように変えようとしているのか。佐川急便でDX(デジタル変革)を推進するキーパーソン2人とグーグル・クラウド・ジャパンでエンタープライズ向けプロジェクトを技術営業の立場から支援する統括責任者に話を聞いた。

ベテランの暗黙知を可視化する
将来を見据えて試行錯誤

川村 博之 氏
佐川急便株式会社
東京本社 デジタル企画部 部長 ※取材当時
川村 博之

――佐川急便はグーグル・クラウド・ジャパンとの戦略的パートナーシップにより、AI活用に取り組んでおられます。どのような課題を解決し、どのような姿を目指しているのでしょうか。

川村中期経営計画「SGH Story 2027」では、9つの重点戦略のうちの一つに「DX、R&D、最新テクノロジーへの投資による事業競争力向上」を掲げています。それに基づき、佐川急便を中核とするSGホールディングスグループでは「SGH-DX戦略」を策定しており、AIを含むデジタル技術やデータ活用によって長期ビジョン「SGHビジョン2030」を実現しようとしています。今、従来の延長線上にはないAIの驚異的な進化に直面する中で、私たちには「攻めのデジタルとスピード」の実現を期待されています。例えば、セールスドライバーが知識として持っている顧客や配送ルートに関する情報を集約し、集合知として扱えるようにしたり、精緻な需要予測を実現したりすることで、お客様への提供価値を高めていきたいと考えています。

田中今のビジネス上の課題は輸送力の安定化です。トラックドライバーの残業時間が960時間に制限される、いわゆる「2024年問題」では、就業環境の改善が見込まれる一方で、これまでのようなベテラン社員の知識と経験だけに頼った配車計画では業務が効率化されているとは言えず、持続可能な輸送に懸念があります。私たちは社会インフラとして持続可能で安定的に物流サービスを提供するため、業務効率の一つとして、ベテランと新人ドライバーの知見の差を標準化させようと、集配ルートに関してはAIを活用して最適なルートを算出する方法をGoogle Cloudとの実証実験を通じて模索しています。

田中 嘉一 氏
佐川急便株式会社
東京本社 デジタル企画部 デジタル変革推進担当部長 ※取材当時
田中 嘉一

――AIを活用していくうえでの課題はどこにあるのでしょうか。

川村AIによる配送ルートの最適化は、一足飛びには実現できません。そもそもどのような状態を最適と呼べるのか、その定義が難しいからです。配送先を回る際の移動距離が短ければいいというものではありません。道路の広さや建物の何階まで届ける必要があるか、途中の通りに急な上り坂など時間がかかるところがないかなど、影響する要素はたくさんあります。特に急いでいるお客様もいれば、ご不在のお客様もいます。宛先が店舗などであれば店の営業時間が何時かも考慮する必要があります。ベテランのセールスドライバーは、こうした条件を考え合わせてそれぞれの最適ルートを導き出しているわけです。ですから、見えているデータに基づいてAIが導き出したルートには、なかなか腹落ちしてもらえません。

田中実証実験の中では、配送条件に関するデータを使ってみていますが、それでも、高いビルへの配達など、エリアごとの特性としてデータ化されていない情報がたくさんあります。実験では、ドライバーにヒアリングしながらデータを補正する必要がありました。テクノロジーが進化しても、そういった泥臭い取り組みがないと納得感は得られません。

渕野おっしゃっているように、AIである程度までは最適ルートの計算は可能です。ただ、それを業務に落とし込んで、真に生産性向上に貢献できるものとするには、感覚的な評価ではなく、成功の基準の定量化が欠かせません。まず、生産性向上に寄与するデータを収集、可視化してAIやエージェントが活用できる状態にすることが重要なステップです。

川村現時点では、ベテランのセールスドライバーが配送ルートを作るほうが効率的です。しかし、それはいつまでも続けられるものではありません。今必要なくても10年後など労働力がますます減っていく将来には不可欠なものになると考えています。そのときになってつくろうとしても間に合いません。今から開発を続けて、経験が浅いドライバーでも効率的に配送できる仕組みを実現していくことで、将来の安定的な輸送力確保を目指していきます。

誰もが使えるテクノロジーが
AI活用を加速させていく

――なぜAI活用の戦略パートナーとしてGoogle Cloudを選んだのでしょうか。

田中配送ルートのシステム化にGoogle Maps Platformが魅力的だった点に加え、取り組むべきテーマによっては、GeminiやNotebookLMの技術要素の親和性が高く、有効な選択肢の一つであると判断しました。特に一部部門では非常に重宝されています。Google Cloudのよさは最新のテクノロジーが使いやすい形でラインアップされている点。社内で開催したハッカソンでは一般社員からも『業務エージェント』による現場の効率化など、具体的な活用案が多く提案されました。

渕野生成AIやエージェントで業務を効率化すると同時に業務プロセスを変革して業績を押し上げるために、AIモデル、データ基盤、エージェント基盤など、フルスタックで支援できるのが我々の特徴です。今後も物流という社会課題を解決するために戦略的パートナーとして貢献していきます。

――今後の展開としてはどのようなことをお考えでしょうか。

氏
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
執行役員 技術統括本部長 カスタマーエンジニアリング
渕野 大輔

川村ゆくゆくはトラックのナビ上であらゆる情報を網羅したいですね。お客様の情報や過去の営業実績、コースの難易度、エリア内の特殊な事情などが網羅されていれば、ドライバーの負荷を減らせますし、新人でもベテランと同じように仕事ができて不公平感もなくなることを期待しています。

田中手組みでデータを集約して解析するのでは壮大すぎる構想かもしれませんが、AIエージェント同士が議論して最適解を導き出すことによって、近いうちに実現できるのではないかと思っています。

川村物流インフラの維持と増強が求められているからこそ、AIによる効率化で限られた時間を有効活用し、働き手にとって魅力ある業界にしていきたいと考えています。そのためにGoogle Cloudの力をお借りしてAI活用に取り組んでいきます。

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