第一ライフグループ
投融資先との「対話」で自然再興
第一ライフグループはグループ各社の取り組みを通じて機関投資家と事業会社の両面からネイチャーポジティブを推進する。幅広い分野にまたがる投融資先とのエンゲージメントが、持続可能な社会の実現を後押しする。
第一ライフグループ各社は多様な保険サービスを提供する事業会社として、また幅広い資産を保有する機関投資家として自然資本を含む環境課題の解決に戦略的に取り組んでいる。同社は「サステナビリティ・テーマ型投融資」を2029年度末までに総額累計5兆円、うち環境・気候変動問題の解決に資する投融資は累計2.5兆円にする目標を掲げている。
自然資本に関しては、TNFDが開発したLEAPアプローチに基づいて、投融資先の自然資本への依存と影響、リスクと機会の評価を行っている。特に自然関連のリスクが高い電力や食品といったセクターについては、TNFDが提言するシナリオに基づいて、リスクや機会を分析。グループ各社の投資価値への影響についても評価するなど、毎年分析を高度化させてきた。26年は、高リスクセクターのバリューチェーン分析や経済価値ベースの財務影響分析にも着手した。
「自然」の重点対話先を選定
また、第一ライフグループは自然資本を投融資先とのエンゲージメントにおける重点テーマの1つとしている。自然関連のリスクが顕在化する可能性が高い30社を重点対話先として選定。エンゲージメントにおいて、自然資本関連の課題に対応するための「ガバナンス」やリスクと機会の分析といった「戦略」、「LEAPアプローチ」の実施状況、「指標と目標」の設定状況などを確認している。
LEAPアプローチの取り組みを進める企業は増加している一方、適切な目標やKPIまで設定できている企業は依然として多くない。Group Chief Sustainability Officerの酒井由紀子氏は「測れなければ懸念で終わる、測れて初めて戦略になる」と述べ、自然の状態を測定する指標に関する考え方や概念がより明確化されることへの期待を示した。
実際の投融資においても、自然へのポジティブインパクトを意識している。24年10月には、アジア開発銀行が発行したバイオダイバーシティ・ネイチャー・ボンドを全額購入している。本債券で調達された資金は、インフラ整備等の社会課題の解決に自然の機能を活用する自然基盤型の社会課題解決を図る事業に充てられ、国や地域社会の成長を促進しながら、自然の生態系を保護、管理、回復させることを目指している。
機関投資家としての側面だけでなく、事業会社としても、自然資本への取り組みが進んでいる。北海道足寄町の「第一生命の森」など国内外のグループ会社で自然や生物多様性の保全・回復に向けた活動を実施している。また、セイコーエプソンの「ペーパーラボ」を導入し、社内で使用済みの紙のリサイクル推進を通じて環境負荷低減や資源循環にも貢献している。第一ライフグループはこれからもグループ各社の取り組みを通じて機関投資家と事業会社という2つの側面からネイチャーポジティブの実現を主導していく。
投融資でも自然資本を意識
アジア開発銀行が発行するバイオダイバーシティ・ネイチャー・ボンドなど自然資本に関連した投資を実行している