バイオシード・テクノロジーズ
収益と環境を両立するコメづくりを普及
水を張らない節水型乾田直播(DDSR)を核に、複数の技術を組み合わせて新農法を開発した。
農業の高収益化と環境負荷削減を両立させられる次世代農業の普及を図る。
コメの生産コストを大幅に下げるとともに、メタンガスやCO2などの温室効果ガスの排出を大幅に抑制する――。農業経営の高収益化と環境負荷削減を両立させる農法を普及させているのがバイオシード・テクノロジーズ(東京都港区)だ。2018年にスタートしたベンチャー企業だが、既に単年度黒字を達成している。
営業利益12%の農業法人も
同社が農家に提供しているのは、「DDSR-MAXX®」と名付けた統合型のソリューションだ。田んぼに水を張らない節水型乾田直播(DDSR:Dry Direct Seeding Rice)という農法を核に、植物や土壌に働きかけて植物本来の生理機能を引き出す農業資材(バイオスティミュラント)や土壌の保水力を高める土壌改良資材などを組み合わせた。
DDSRは、水が比較的豊かな日本ではなじみが薄いが、世界では一般的な農法の一つだ。育苗や代掻き、田植えといった手間のかかる作業を省ける。
環境保全の効果としては、まず液体ポリマーを主成分とした土壌改良資材を活用することによって、水使用量が大幅に減る。水田と比べ農業用水の使用を75%削減できるという。温室効果ガスの削減効果もある。水田では嫌気性微生物のメタン生成菌の活動が活発になるが、乾田では土壌に酸素が含まれるためメタン生成菌の活動が抑制される。その結果、メタンガスの発生を90%抑えられるという。
化学肥料の使用を抑えるためにバイオスティミュラントの技術を活用する。天然の窒素固定細菌を含んだ農業用資材によって、空気や土壌に含まれる窒素を植物が吸収できるようにする。化学肥料の使用量を減らせれば、その分のコストも低下する。
種まきの作業も効率化した。種子を封入した100%生分解性のシートを土中に敷くだけのシーダーテープ直播工法を採用した。大規模な農業機械を使わず、手押し車の規模のものでも作業が可能になる。農業機械からのCO2排出量も削減できる。
同社が提供するDDSR-MAXX®を採用した東北地方のある農業生産法人は、コスト削減効果によって大手食品メーカー並みの営業利益率12%を達成したという。
「猛暑や豪雨の多発などの気候変動の影響でコメづくりはますます大変になっている。全く新しい技術を開発したわけではなく、既に普及している技術の組み合わせで、世界と比較しても価格競争力の高いコメづくりが実現できる」と広瀬陽一郎社長は普及に力を入れる。
DDSR-MAXX®の概念図