みずほフィナンシャルグループ
金融を通じ、自然再生と地域成長を両立
水と生物多様性を重点領域に据え、金融と事業開発の両面から自然再生と地域成長の実現を進める。
自然関連リスクを見極めながら、地域に眠る自然資本を新たな事業と持続的な成長機会へ転換する。
みずほフィナンシャルグループ(FG)は、自らの事業活動と投融資の両面から自然資本への依存と影響を捉え、水と生物多様性を重点領域に据えている。サステナブルビジネス部ビジネスアクセラレーションチーム アソシエイトの高田英理氏は「水資源や生物多様性を重要視し、ブルービジネス推進に取り組んでいます」と話す。
取り組みの軸は、自然の価値を測り、事業と金融につなぐことだ。国連開発計画(UNDP)の助言を受けて商品設計した「Mizuho 自然資本インパクトファイナンス」では、ネイチャーポジティブ経営やTNFD対応を評価する。
地域での実装に向けて、2026年1月には佐賀県唐津市と「唐津ネイチャーファイナンス研究会」を設立。市内の海や里山などを実証フィールドとし、ネイチャークレジットの社会実装を探る。自然の保全を観光や地域ブランド、企業の自然関連リスク低減に結び付けるモデルを検証する。
同年6月には、琉球大学とブルーエコノミー分野における共同研究を始めた。対象は、閉鎖循環型の「次世代型陸上養殖」だ。みずほFGが環境・社会・経済へのインパクトを定量化し、その社会的価値を明示する。また、みずほ銀行が資金調達手法と事業化を検討して社会実装を支える。
森林産業での事業化実証
みずほ証券は22年の国内初のブルーボンドなど、社会・環境課題解決に資するファイナンスを組成してきた。25年には名古屋市による国内初のグリーン/ネイチャーボンドのフレームワーク策定を支援。調達資金を東山動植物園の再生整備などに充て、希少動物の保護・増殖や生態系保全に貢献している。
同社サステナビリティ推進部サステナビリティ戦略開発室ディレクターの和田正嗣氏は、「近年は投資家のインパクト志向が高まり、グリーンボンド市場ではより具体的な課題に焦点を当てたテーマ債が増えています」と説明する。
森林産業分野でも実証実験を進めている。四国・中国地方では大規模集約された森林資源を活用し、製材までを含むサプライチェーンの構築・強化を通じて、森林関連産業の活性化に取り組む。三重県、岐阜県ではバイオマス発電所への燃料安定供給や、代替コークスの普及促進に取り組む。森林クレジットを活用した管理放棄地の再生、新たなNature-based Solutions(NbS)事業創出、関連地域産業の活性化を推進し、持続可能な森林経営とネイチャーポジティブの両立を目指している。
みずほFGは産官学金の連携を進め、自然資本を保全対象から成長基盤へと変えていく。
ブルービジネスの概観